おおよそだいたい、合唱のこと。

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2018年8月24日金曜日

【三大学サマーコンサート】

2018年8月22日(水)於 東海市芸術劇場 大ホール

スミマセン、
平日演奏会をその日のうちに、っていうのは、なかなか難しくなってきました苦笑
え、回転寿司食ってたって?……なんのことかなぁ(すっとぼけ
さて、この演奏会シリーズ。てっきり、同グリを幹事として、毎年必ず寒梅館でやるものだと思っていました。なんか最近、別の地域でやることもあるみたいですね。ということで、今年は名古屋で。そういえば、数年前には金城で行われたこともあったようです。
幹事が幹事だけに(同グリ……といいつつ、今年はグランツェかしら?)、実力を持った団が揃う傾向にあるこのジョイント。今年は名古屋開催。名古屋ではめったにないタイプの、「関西型」ジョイントコンサートです。

・ホールについて
何回目かのこのホール。最近中京テレビ「PS」で紹介されたという門池は、今日は行きませんでいた笑
なんていうかこう、多目的に使えて、木目調で、2階席はバルコニーみたいになっていて、そういう意味では、ある種寒梅館みたいなホールですよね(何)。とはいえ、こちらの方が響きます。さすがに笑 あと、客電を上げるとホール側面でさり気なくワンポイントが光っていておしゃれです。電波遮断装置もあり。さすが、オープン若干年の新しいホールだけはある。
残響が豊かなホール。それでいて広い。それ故、悪く言えば、音が散り気味に鳴ってしまいます、固めて出さないと、音量が飛んでこない。鳴らすのが大変なホールです。それは、大人数だろうとなんだろうと変わらない。結構に難しいホールだなと思います。
そういえば、反響板のしまい方って見たことあります?あれ、ステージの上に吊るだけだって思ってませんか? 普通の反響板って、おおむね天反、側反2枚、正反に分かれていて、大体、それぞれ吊るすだけですよね。……なんでこんなこと話し始めたかって言うと、それだけに限らないから笑 例えば、このホール。反響板の形からして、側反、天反がセットになっていて、そのまますべての反響板を奥にずらすと格納されていくスタイル。例えば、熱田文小でも、面白いしまい方をしています。いろいろ見てみると、奥が深いですよ、反響板も。

今日のひな壇は7壇。さすがにこれだけの人数乗せるためですからね、これくらいないと笑

・エール
グランツェ:団歌・小林秀雄「グランツェ、それは愛」(峯陽)
金城グリー:「校歌」(森田松栄)
同グリ:Wilhelm, Carl「DOSHISHA COLLEGE SONG」(W.M.Vories)

この演奏会最大の難関……その、整列とか、そういう意味で笑 とはいえ、割とスッキリと並んでくれました。さすが、どの団も本番慣れしているだけはありますね。ジョイント文化も学生団のうちになくなって来た現在、名古屋圏でエール交歓を見ることのできる、非常に貴重な機会となりました。ちなみに曲間には握手付き笑 各団。
グランツェ:グランツェの語尾は、テヌートでななくちゃんと切ってほしいところ。全体として、内声が雑になりがち。特にオープンハミングが課題。上澄みを使おうとするところとがなる声がダブる。やるならいずれにしろ、徹底的に。
金城:この人数でこの声量は十分。とはいえ、その声量自体は少し力が入っていたか。聞こえはいいものの、音に深みがない。もう少し柔らかく、かつ音量のある響きがほしい。
同グリ:この曲を愛知県でやってくれたというだけでオジサン感動です!本当、カレソン大好きなんです。同志社関係ないけど自分笑 指揮の方が打点の打ち方が遅め。ただ、演奏の速さが心地よい。このよく開いたア母音には、目が覚める思い。/r/は普通まかないけれども、寧ろ巻いているくらいの勢いがちょうどいい笑

グランツェは退場せずそのままオーダーして、第1ステージ。いちいち捌けてると、大変ですからね笑

第1ステージ:混声合唱団名古屋大学コール・グランツェ
松本望「アポロンの竪琴」(『歌が生まれるとき』より・みなづきみのり)
松下耕「狩俣ぬくいちゃ」(『八重山・宮古の三つの島唄』より)
信長貴富「リフレイン」(『等圧線』より・覚和歌子)
指揮:谷敷優希
ピアノ:小寺翔子

指揮者として2人ラインナップされていましたが、1人となった由。世の中いろいろあるもんです。
この団、最大の魅力が、人数が多いこと。人数が多いから、ある程度なにやっても映えるし、なにやってもサマになるし、なにやっても形にすることができる。変な話、総団員数の半分であったとしても、十分、巨大な合唱団とは呼ばれるものですから。
でも、それが問題なんです。この団、ある程度なにやってもどうにかなるから、中途半端な状態で演奏されていても、意外と気づかずに演奏されている(否、気づいてはいるかもしれないけれど)。実はスタッフ入りしていたコンクールでも演奏を少し聞きましたが、この団、好意的に言えば過渡期にある。それが、非常によく見えてしまっている。
何かと言えば、このステージも、非常に漫然とした演奏が目立ってしまっていました。楽譜は非常によく辿れているのだと思います。ただ、それ以外のなんでもない。1曲目では、メッセージ的に訴求する弱音部で音楽が止まってしまっているし、特に閉母音の響きの悪さが、それに拍車をかけている。さらに、比較的慣れのある2曲目でも、肝心のストンプで勢いを欠いてしまい、いまいち乗り切れない。挙げ句、3曲目に至っては、表情が悪い。否、難癖でもなんでもなく、それが為、特に一番ではピッチが落ちてしまっていた。
しっかりと、これからの演奏のあり方を見直すべきなのだと思います。厳しい言い方すれば、この団は、人数の多さだけでどうにかしようとして、どうにかなるフェーズをとうに終えている。もっと、音楽的にいい表現とはなにかについて、考えていくべきときが来ている。多分、普通に聴いている人にとっては、十分満足できる内容だったと思います。ただ、この手の詰めの甘さは、聞く人に聞かせたら、バレますよ。

第2ステージ:金城学院大学グリークラブ
【本田美奈子.の世界】編曲:小林啓一
太田美知彦「つばさ」(岩谷時子)
アメリカ伝承歌「アメイジング・グレイス」
Holst, G.「ジュピター〜組曲『惑星』より」
指揮:小原恒久
ピアノ:酒井志野

名古屋からもう一団体。あんまり意識してなかったんですけど、瀬戸線沿線とはいえ、ここ、名古屋市内なんですね←
比較的、低声が充実しています。とはいえ「低声部」が充実している、という意味にとどまります。高声はそこまで響きが豊かに出来ていないことからして、もう少し、豊かな響きで鳴らせるといいのだと思います。
主旋律はいいのですが、それ以外のパートについては、少し音が薄い。主旋律ばかり浮きだってしまっていて、非常に淡白な演奏に聞こえます。特に、上記のことからして、ハイソプラノのオブリガードがもっと骨太だと、聞きやすいような気がします。下の響きがよく入ったハーモニーだと、低声によくブレンドされて良いのではないでしょうか。
どの曲も美しくて、キレイなメロディが並んでいます。でも、美しいメロディって、それだけだと、冗長になってしまう。美しいことがいけないわけではなくて、美しいメロディが様々な表情を見せるさまをもっとしっかり描写したかったところです。特に、広さ故響きやすいものの散りやすいホール。
なんにせよ、音がもっと集められて、鳴らせると良かったのだと思います。音量がしっかり出れば、相対的に、弱音はちゃんと聞こえるようになりますから。特に高音。まず、ちゃんと鳴る音があってこそです。
とはいえ、人数が20人あまりと少ないながら、グランツェとも遜色ないくらいの、しっかりした音が鳴っていました。

インタミ15分。祝電は、名古屋関係のみ。もっとも、関西だとあまり祝電文化が残っていないので、まぁさもありなんと言ったところか。

第3ステージ:同志社グリークラブ
多田武彦・男声合唱組曲『雪と花火』(北原白秋)
指揮:八木和貴

入場は割とゆっくりと。腕をしっかり振っていたのが印象的。ちょっとカクカクしていたような気もしますが笑 前より一列ずつオーダー。別の団ながら北海道のときはステージが狭かったので、やや苦しそうでしたが、今回はそんなこともなく。
なにより、トップが見事。軽くかつ芯のある高音が、しかも音にちゃんと当たる。他にも、フレーズのとり方や三和音など、音楽を構成する要素はそつなくクリアできている。さすが関西の雄。見据えているのは、楽譜にかかれていることのそのさきにいます。
その上で。この演奏、やや集中力に欠ける点がありました。特に、弱音部に張り詰めた空気感が見られない。私から申し上げるでもなく、タダタケ音楽においては何より大事な要素の一つかと思います。特に、音の末端に対する意識。音の切り際が雑になってしまいました。それ故、曲全体としても、繰り返しの多い曲、一部冗長になってしまった箇所も多くあります。
その実、曲の終わりについては問題ない。1曲目のセカンドはトップと比べて少し勢いが無かったのですが、終曲のパートソロは非常に素晴らしかったと思います。そして、何より、最後の爽やかな終曲のカデンツ! もはや大学の男声団がなくなって久しい名古屋にあって、この若々しい男声アンサンブルが聞けるのは、もはや貴重な機会と言えます。しっかりと出ている音量の中に響く、優しい三和音。心に沁み入りました。

第4ステージ:三大学合同ステージ
高嶋みどり・混声合唱組曲『私は空に手を触れる』(みなづきみのり)

そして、最終ステージ。あえて書いておきたいのですが、ステージ上では歌い手は客に背を向けないこと。否実は、誰のことかといえば、私の知り合いについて言っているのですが、絶対に御法度です。歌う前に伊東先生が少しトーク。最近この人、躊躇なくみなづきみのり作品のことを「私が書いた」というようになっていますね笑
人数としては、グランツェが過半数で、200人弱。でも、音としては、間違いなく、グランツェでは聞かれなかった音が鳴っていました。この、強音のインパクト、これは、この日のグランツェでは得られなかったものでした。そして、音楽が非常によく進む。でもこれは何より、歌い手全員がちゃんと意識した結果。200人という大人数であろうとなんだろうと、どういう音楽を奏でたらいいか、皆が理解して歌っているから、ちゃんとアンサンブルが進行する。
ただ、流石に、この人数であるからして、ディティルには荒かった部分もあります。特に、弱音に対する集中力。そう、奇しくも、三団体とも苦手だった部分です笑 その点、3曲目や4曲目はもっと研究されたい。指揮・ピアノピンスポ以外の照明を50%に絞った3曲目は、そのムードを、演奏の集中力を高める事によって、もっと磨くことが出来たのではないでしょうか。
大人数は、少人数アンサンブルの集合体。その意味では、もっと集中力の高い演奏ができたと思います。然し、音楽的に意味のある合同ができるというのは、実力あるからして、ですね。どの団も。その点、各団のポテンシャルを再確認させられた、いい演奏だったと言えそうです。

「うまく合唱しようというのもそうだけど、合唱が、人を育んでくれたらいい。」と、伊東先生のありがたいお言葉を頂戴しつつ、アンコール。

・アンコール
まつしたこう「ほらね、」(いとうけいし)

そして、この演奏……うまいんだけど、なんだか、ちょっと怖かったよ?!笑 表情だけでも、もう少し崩してもいいような……なんだかんだ、表情って、演奏に出ますし。

・ロビーストーム
女声:木下牧子「ロマンチストの豚」
男声:竹花秀昭「斎太郎節」
混声:木下牧子「夢見たものは…」

まさか、ロビーでやるとは!笑 人数的に、ちゃんと乗るんですね……広さ的に、「鳴り」では、ロビーの方がよかったりします笑
何より白眉は斎太郎節。せっかく関西の方々もいるし、ということで、手拍子にブラボーも個人的にご発声しておりましたが……拍手五割弱、ブラボーは見事に浮く……かなしい。否、こんなだみ声どんちゃん騒ぎを文化とのたまってたまるか! っていうお声はご尤もかと思いますが、でも、個人的にはやっぱり、この曲は、お祭りなんだよなぁ笑

・まとめ

形容するのが難しい演奏会です。どの団も、決して悪くなかった。ただ、どの団も、今一つパッとしない要素を含んでいる。それは、この三つの団の積み上げて来たものを回顧すれば、もっと出来るはずだ、という、期待からくるものなのかもしれません。
その意味では、期待を裏切らないでいてくれたのが同グリでした。否、決して、100パーセントとはいえない演奏でしたが、やはり、あのしっかり当たる高音は、訓練された男声ならでは。片や、名古屋の混声二団の方は、正直、もう少し出来たのではないかという、ちょっと悔しさにも似た思いがあります。
突然ですけど、ポケモンのカスミって覚えてます?ハナダジムのリーダーです。って、このネタ、最大の問題点は、今の大学生だと知らないかもしれないのとなんですけど、まぁそれはいいや笑
あのカスミ、ゲームで話しかけると、自分のポリシーについて話すんですね。みずタイプのポケモンで攻めて攻めて攻めまくることだと。単一タイプに加えて攻勢一方という、これまた非常に危ういものの考え方ですが、しかし、カスミは強かった。フシギダネ使いでピカチュウ→ライチュウ育ててたのに強いと思ってた。少なくとも初見では序盤最大の関門ですよね、あそこ。
で、なにが言いたいかっていうと、ポリシーですよ笑 否決して、各団がポリシーを持っていないわけじゃない。だけど、そのポリシーをちゃんと共有して、伸ばそうと努力出来ているかなって話。中途半端になってしまうと、それは、中途半端な何かにしかならない。しっかりと最後まで、その思いを実現することに精力を傾けられているか。たとえば、グランツェなら、上澄みの音をキレイにハモらせることだったり、金城なら、低めの響きを豊かに聞かせることだったりするのでしょうか。自分たちの強み・伸ばしたいことはどこにあるのかを見直して、その強みがより伸びるように仕向けていく。
もちろん、簡単なことではないし、不十分かもしれない。でも、漫然と歌うよりは、聴きどころが明白になって、「面白い」演奏になると思います。

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