おおよそだいたい、合唱のこと。

ようこそお越し頂きました。
主に、管理人が参りました、合唱団の演奏会のロングレビューを掲載しております。
また、時折、気分に応じて、合唱如何関係なく、トピックスを記事にしています。
合唱ブログのつもりではないのに、気付いたら合唱ブログみたいなことになってきました。
やたら細かいレビューからノリツッコミまで、現状、合唱好きな方の暇つぶしには最適です。
ゆっくりしていってね!!!

2015年4月19日日曜日

【コーラスめっせ2015・さくやこのはなコンサート】

2015年4月19日(日) 於 いずみホール

やっぱりアトリウムだけじゃ終われねぇ!
さて、アトリウム終わって今度は、さくやこのはなコンサートへ。なんだか思わぬ知り合いから、こっちのことを半分忘れかかってる知り合いまでたくさんいました。合唱人あるあるですね笑

コーラスめっせ
毎年春に行われて、気づけば定番イベントになってきました。伊東恵司先生を実行委員長に、毎年様々な講習会や演奏会が開催されます。なかに話題になるイベントも盛りだくさん。特に今年は歌曲『美しい水車小屋の娘』を合唱で歌おう、という中々ぶっ飛んだ意欲的なイベントが注目を集めました。他にも今年は、ワールドユースでもタクトを握る実力を持つフィリピンの Velasco 先生によるドイツ語曲、パミントゥアン合唱曲の講習会、さらに定番のコンクール課題曲講習会、さらに合唱指揮者講習会に合唱伴奏者講習会と、本当にイベント目白押し。この2日間は、大阪ビジネスパークが合唱の街に変貌を遂げます。
そんな中、無料で聞くことの出来る「TWIN21」でのアトリウムコンサートに加え、OBPのはずれに位置するいずみホールでは、期間中何個か演奏会が開かれます。そのフィナーレを飾るのが、この「さくやこのはなコンサート」。実は、時間の都合もあると思い、アトリウムコンサートだけ聴いて帰ろかなと思ったら、朝講習会で貰ったパンフに記載された、予想以上に魅力的な団体の面々。こりゃ行くしかねぇやとばかりに、途中まででも聴いていこうと思い立ったのでした。見事にマーケティング戦略にやられた感じですね笑

・ホールについて
もういい加減省略したいんですけどね……?笑 このホールで何度書いたというのだろう笑
中座する際に、ホワイエのバーカウンター前を通ったのですが、そこにはテーブルとお酒を囲んで談笑する人たちが。
目当ての演奏が終わったからでしょうか。なんだか、新鮮な風景だなぁって思いました。
普段演奏会を中座するってことをめったにしないので、あのような風景を見るのはなんだかとても不思議な感じでした。一種の合唱祭みたいなものだから、というのもあるのでしょうが、お酒を囲みながら、ゆっくりと過ごすには、確かにホワイエってとてもいい場所なんですよね。特に、いずみホールのホワイエって、場所がよくて雰囲気も素晴らしい、いい場所なんです。なんだか、贅沢な時間の過ごし方だなぁって思いました。

コーラスめっせは今年で6回目になるそう。そうか、そういえばちょうど自分が所属団入ったあたりからやってるんだなぁとしみじみ。なんとなーく、深い理由もなく、避けてる向きがあったにはあったのですが。その後の印象については、あとで笑
アナウンスはフリーアナウンサーで活躍されている木谷美帆さん。そりゃもう、抜群の実力だったのですが、ひとつ、「みなづきみのり」のアクセントが「み↑なづきみ↓のり」となっていたのはちょっとおもしろかったです。その、なんていうか、斬新で。ああ、そうとも読めますね確かに! と笑

・オープニング:混声合唱団合同演奏
神戸大学混声合唱団アポロン、関西大学混声合唱団ひびき、立命館大学混声合唱団メディックス、大阪大学混声合唱団、貝掛混声合唱団
千原英喜・児童合唱のための「うたおう」(みなづきみのり)

まずは、アトリウムコンサートの最後に披露兼リハーサルした曲の成果発表でオープニング。関混連、通称・KKR(どっちも通称や)のうち4団と、KKRと響きを近くする貝混のジョイントです。KKRはもちろんのこと、その響きからも、ノウハウを共有していることが明白に分かる団員たちによる同声3部のカノンは、音質がとてもフラットになり、まるでひとつの合唱団のように揃った音を鳴らしてくれていました。特に千原先生の曲ということもあり、和音として鳴るところはとても贅沢に倍音を含み、まさに、オープニングにふさわしい爽やかな演奏でした。
弱点としては、カノン部がごく一部ズレかかったところ(これだけ続くと敏感になってしまいますね)、なるとどうしても音量が小さくなること。小さくまとめようと思ったら、その以前の tutti の音量を落とせば解決しないこともないのですが、それだと少々音楽的につまらない曲。そうすると、結局カノンの部分の音が大きいと音楽的にも映えるということになります。なかなかそのバランスは難しいところ。とはいえ、小さなことですけどね。千原先生が客席にいるというプレッシャーの中(伊東先生がそのことで公開レッスン中しれっと脅していた笑)、十分応えた演奏だったのではないでしょうか。

第1ステージ
武庫川女子大学附属高等学校コーラス部
信長貴富・女声合唱とピアノのための『百年後』―タゴールの三つの詩―より
「光よ」
「百年後」
指揮:岡本尚子
ピアノ:多田秀子

演奏会を聴きに行って散々感動を書き散らしたあの団にこんなに速く再会出来るなんて!笑 以前は海外公演でびっくりしていたら、なんとこの団、2年に1回「も」海外公演をしているらしく、ついこの間もライプツィヒに演奏旅行に行ったそう。なんてこった。
しかし、何度聞いても美しい演奏でした。すごくしっかりとした発声をする団、以前の学内の響かないホールで聞いた時も明瞭なサウンドを鳴らしていた団が、いずみホールというよく響くホールで演奏すると、本当に凄い。鳴るってこういうことだ、響きがホール全体を包み込む! 以前、なにコラをいずみホールで聞いた時の印象と近いかもしれません。
ちょうど学年変わり目の時期で大変な頃だとは思いますが、この曲をかつて演奏したのは中高合同演奏。なんとなーく、新高校1年生も混じっていたかな?という感じがしました。3年生が抜けてからの新生・高校コーラス部。変わりのないその不朽の響き高いサウンドに、やっぱり思わず笑うしかない。ごくわずかな音の入りの狂いが少々聞こえてきたことには聞こえてきたのですが、それは、これからの課題というに相応しいでしょう。再演とはいえ、複雑で圧倒的な音感の求められるこの曲をしっかりと決めて歌えるということ、そのことがなによりこの段階での財産です。しっかりと聴かせつつ、今年のシーズンも期待して待っていられるな、そんな演奏。しかしこの2曲、本当にいい曲ですね――。あ、楽譜販売しはじめるそうです笑

第2ステージ
Choeur Chêne
F. Mendelssohn Barthody・3つの詩篇 op.78 より第2曲「Richte mich Gott」
木村弓(arr. 若林千春)「世界の約束*」(谷川俊太郎)
Ola Gjeilo「Evening Prayer**」(St. Augustine)
指揮:上西一郎
ピアノ:浦史子*,**
サックス:辻本純佳**

すっごい個人的な話ですが、「Premire Vol.1」で松波千映子『箱船の教室』を演奏しているCDの音を聞いて以来、ずっと、この団の演奏を聞かなければと思い続けてきました。記憶の限りでは、ようやく念願叶ったといったところ。なぜかずっと聴けずにいたんですよねぇ……。
まったく毛色の違う3曲を演奏。ドイツ語の男女交歓するサウンドに始まり、穏やかに始まった「世界の約束」は途中からジャズエディション、そして、タイトルの如く夕べから夜のバーに合いそうなジャジーサウンドまで。まさに、シェンヌがどこまで出来るのかというのを如何なく魅せつけてくれました。まず何よりプログラムの流れが、まるでひとつのコンサートをみているかのような、充実の内容でした。特にヤイロの曲は、本当に場の空気が一気に変わったかのような錯覚にとらわれました。まるで、近場のオシャレなバーにいたかのような。もう、まるでコンサートホールではありませんでした。いい意味で。
そして、演奏は、予想通りの予想以上! ベースはテナーの、テナーはアルトの、アルトはソプラノの響きを持ち、ソプラノはそのすべてのパートの響きを聴いてひとつに纏める。こんなにも各パートの響きが融け合って一つの楽器として鳴らせる合唱団を聴いたことがありません。思えば、『箱船の教室』でも、一番感動したのは、内声がユニゾンを歌うところでした。メンバーが大幅に入れ替わったと伺っていますが、それでも、実力はそのままなのですねぇ……実際、今でもコンクールで抜群の実力を発揮されておられる。今日も、メンデルスゾーンのドイツ語の飛ばし方や途中ピアノに音量を落とすところなど、自然に音量が小さくなるんだけど、一切推進力を失わず、それどころか、それ以前よりも力をまして、しかし音は確かに小さくなっている。そして、「世界の約束」の、旋法からピチカート風のアンサンブルへと遷移した時の音の出し方の切り替え、そして、音量の大きいサックスとの、主旋律・副旋律の交換における立ち位置の妙など、まさに、思った音をそのまま鳴らしているかのような美しいアンサンブル。まず鳴らしたい音が先にあって、そのためにはこういう楽器を使うといいよな、というのが自然のうちに選択できている。人数規模といい、音色こそ違えど、そこに東混の姿すらダブる。まさに、プロ顔負けの実力。

あまりにもすごすぎて(?)ここの曲紹介の間でトイレ行きました←
いやぁ、次のプログラムは、集中して聞かないと、ね?笑

第3ステージ
アンサンブルアカデミー京都
千原英喜・混声合唱のための『京都人の夜景色』(村山槐多)〈初演〉
〈其の一〉
〈其の二〉
〈其の三〉
〈其の四〉
指揮:桑山博

千原先生の初演ですもの笑 京都の夜、さりげなくそこにある景色を、和声の美しさが表現する。詩の複雑な情景を、時に輝き、時に妖しく、時に反射し、時に自己へ還っていく繊細な、はんなりとした音の響きが描き込みます。確かに詩がしっかりとある歌もので、時折京ことばで語りも入るのですが、音楽をして、京都の世界観を見事に描き切った佳作。世の中には「小京都」と呼ばれる京都と似た地域がいくつもあるそう。せっかくだから、全国の「小京都」合唱団を集めて再演、とかいかがですかね?笑
合唱団は、昔のコンクールで一世を風靡した団体。再結成から10年ほどの月日が流れているとのことです。演奏は、しっかりと個人が声を響かせる、昔ながらのベル・カントなスタイル。しかし、だからといって音が散らかること無く、四声が束になって堅実で骨太なアンサンブルを聞かせてくれます。ちょうどシェンヌの音作りと対局的に、ベースに重きが置かれ、文字通り力強い土台を作ってくれています。しかし、その上に乗っかるアンサンブルが、京都よろしく、とても繊細で華やか。歌の旋律がしっかり伸びながら、和声もちゃんと構築する。いつかは誰もが目指した音楽です(ですよね?笑)。新しい曲ながら、どこか安心感すら持ちながら聞いていられたのは、ひとえに、その響きのなせるところなのかもしれません。

インタミ10分。このインタミへ向けて我慢することが出来たなら……苦笑 しかし、裏方に「あの方」がいらっしゃる演奏会は、やはりインタミが短いのです。あるいは、実行委員長かどなたかがインタミ嫌いなのかしら。15分はあってもいい。
このインタミで、ついにあの方とご挨拶することができました。僕とのエピソードはともかく、めっせについてはおそらくしばらくしたらブログに書かれるかと思いますので、そちらにもやはり期待ですね!笑

第4ステージ
ヴォーカルアンサンブル《EST》
Francis Poulenc『ト長調ミサ』より「Gloria(栄光の賛歌)」
Pietro Ferrario「Jubilate Deo(神に歓喜せよ)」
Arnold Schönberg「Friede auf Erden(地上の平和)」(Conrad Ferdinand Meyer)
指揮:向井正雄

向井先生の懇切丁寧な(これがまた本当に)解説とともに。1曲目と2曲目の間には、「プーランクは第一次大戦前のフランスで作られた宗教曲、フェッラリオは若い世代のイギリスの曲。是非聴き比べてください」と。
プーランク、何気なく注文したこの曲の楽譜は家に置いてあるのですが、こんなに難しい曲だったんですね……笑 縦横無尽に音が飛び移りまくる複雑なメロディと和声を、うまく一つにまとめ切れていました。そして、2曲目は勢いも十分に、しっかり縦を刻む音が鳴っている。全体として、人数こそ減ったのですが(セレクションかも?)、ボリューム、音の刺さり方については以前以上の実力を兼ね備えていたように思います。そして、込み入った和声から解決に持っていく時の、各パートの音量バランスをまとめるうまさという、クレバーなアンサンブルも健在。そうすると、ESTの一番の課題は、言語の発音ということになってくるのかもしれません。そこは少々気になるところ。しかし、ボリュームも今日コレまでで言えば武庫女に匹敵する強さですし(実際武庫女はそれくらいに音量が豊か)、聞いていてスカッとするアンサンブルでした。
シェーンベルクのこの曲には、4つの部分があると解説。およそ聖書にしたがって、地上に平和が訪れるさまを描いたものだとのこと(かなり意訳しましたし、間違いでしたらご教示ください)。それぞれの部分に入ったところで指で番号示しますから! という粋な計らいもありました。ちょっと笑っちゃうようなことですけれども、でも、マジメな話、オペラの字幕みたいでいいかもしれませんね。パッケージすれば、新しい音楽の聞き方になりそう。ところで向井先生、スミマセン、4番を示されるところを華麗に見落としてしまいました……実は4番だけ忘れておられる?まさか笑
他に対してこの曲については、音が最後の当たりでバラけてしまったような気がします。また、「Fride auf Erden」と歌うところと他の場所の間に持つ「落差」を、もう少し明瞭に示せると、アンサンブルとしてよかったのかもしれないな、と思いました。後者は譜面見てみないと詳しいことはわからないですけれどもね。――しかし、先入観でしょうか、でもやはり、この曲には魔物が潜んでいる、気がする。

当方はここで中座。バスの時間が迫ってましたからね。たぶん、実際はよどこんも聴くことが出来たかな……? まぁ、それは結果論、ということで。
後ろ髪引かれながら、大阪駅で空きっ腹をシードルで満たして、回ってるなぁと肌身感じながら大阪を後にしたのでした。
ひとまず、プログラムだけこちらに書いておきますね。

第5ステージ
淀川混声合唱団
松下耕・無伴奏混声合唱のための『うたおり』(みなづきみのり)より
「星」
「薔薇」
「崖」
「戦場」
「夕餉」
指揮:伊東恵司

第6ステージ
パナソニック合唱団
Eriks Esenvalds「Stars」(Sara Teasdale)
arr. E.Esenvalds「Amazing Grace」(John Newton)
三善晃・混声合唱のための『地球へのバラード』(谷川俊太郎)より
「地球へのピクニック」
指揮:本城正博

・まとめ
実は、それとなーく、このイベントを避けていた向きがある。ホントに、とくに理由もないんですけれどね。でも、ちょっとだけ後悔しました。いやぁ、とても楽しい! これ。自分なぞ1日いただけだけれども、なんだか普通の合唱祭よりも、歌って、聴いて、学んで、という三拍子の密度が濃いような。この2日間合わせたら、合唱の酸いも甘いも全部(?)楽しめるんじゃないかなって思える感じです。合唱にはいろんな楽しみ方がある。いろんな音がある。そのどれもを感じ、そして体験することで、また自分の中に新たな気付きが生まれて、新たな音、新たな世界と出会うことが出来る。そんな、合唱のお祭り。来年も参加したいな、って思える、そんなイベントだったのでした。目的の半分くらいはバスチケット消化だったけれども、とても楽しかった!笑

【コーラスめっせ2015・アトリウムコンサート実況中継】

2015年4月19日(日) 於 大阪ビジネスパーク・TWIN21アトリウム

わず!
時間とともに成長する記事――この団歌ったかなって確認や、自分の団の演奏について知りたいなど、皆様どうぞご活用ください笑
という触れ込みで、アトリウムコンサートを「実況中継」よろしくレビュー更新しながら聞いていました。こういう楽しみ方が出来るのは、ホールじゃないからこそ、といえるのかも笑 コーラスめっせについては、次の記事にまとめましたので、併せてご覧ください。

・ホールについて
とは言っても、ここホールじゃないんですけどね笑
複合ビルにある吹き抜け・アトリウム。大阪ビジネスパークの只中に、日曜日だということをいいことに(!?)合唱団がガンガン歌います。このアトリウムコンサートの他、NHKコンクールの課題曲講習会も開かれていました。今日は2日目。関混連や女声、中学・高校などの合唱を聴くことが出来ました。
ホールとしては、――ってか、ホールじゃないんですよね、つまり。スピーカーを使って拡声しています。加えて、こんな響きそうなのに、なんとここ、全然響かない笑 コーラスめっせ用に椅子が用意されているので、そこで聴くのが聴取環境としてはベスト。今回は机が欲しいということで、ステージの向いにある上島珈琲店で執筆しながら更新。ちょっと聞こえづらいところではありますけれど、ここ、ゆったり聴くには穴場ですよ笑
ところで、レビュー書き終わってから小学生向けの講習会を上島珈琲店から出て座席のところで聞いていたのですが、そこから聞くと、あら不思議、結構響きがよかった。つまるところ、上島珈琲店の響きがデッドってことはたぶんにありそうです。否そりゃ、そもそも音楽聞くために作ったわけでもないだろうし、裏ではフォームミルク作る機械がシュコーーーーーーーーーーッ!って、かなりけたたましい音鳴らしてますからね笑

0, Velasco 氏ワークショップ披露演奏

乗ってました――いやぁ、意外と曲者、でも、歌っていると気持ちいい、そんな曲。いい曲を歌うことが出来ました。本邦初演だそう。"Ave Maria" は特に、アンコールピースに如何? Pamintuan"Octo Beatitudines", "Ave Maria"

1, 混声合唱団コーロ KSC
守谷幸子・作詞・編曲「大河の一滴」
岩河三郎・作詞・編曲「モルダウ」
團伊玖磨『筑後川』より「河口」
「春らしいピンクのコスチュームで――」
男声が人数比では少ないものの、しっかりとした発声と音程で支える。やや女声のオブリガードの音程が甘いか。少々女声のビブラートがキツいが、「モルダウ」では、逆にそのビブラートがいい音を見せている。強く鳴るべきところでちゃんと鳴らせる、まずそのことを評価したい。3曲目「河口」中間部ではピッチが明らかに落ちている。しかし、やはり団に合った曲を持ってこれた。オープニングだが、「そのフィナーレああーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!」笑

2, 京都市立嵯峨中学校吹奏楽部
松下耕「合唱のためのたのしいエチュード」より「とうさかみまさか」
菅野よう子「花は咲く」
吹奏楽部――?声質、ハーモニーがいずれも上手。ポリフォニーでリズムがズレたのが惜しいか。また、高音は、より張るといいアンサンブルになるような気がする。2曲目は「花は咲く」。明るく素直な声質によく合った良い選曲。オブリガードにもっと意志が感じられる音が鳴ると、よく機能するのではないだろうか。「ユニゾンの上手い団は上手い団」法則によく合致する。これからも素敵なハーモニーを響かせてください。――否、別に楽器に持ち替えても構いませんので笑

「嵯峨中学校の皆さんにはとりあえずインタビューをする」そうで笑
クラリネットの子。
――吹奏楽だが合唱をしている。そこらへん詳しく
「吹奏楽部では月1~2回合唱をしている。音楽の基本で、アンサンブルや音取りの基本にもなるので、勉強になる。昨年は吹奏楽だけでなく合唱のコンクールにも出て両立している。」
――我々は合唱をしているが、表情、カンタービレを学ぶために楽器だけでなく合唱をして本番を迎えられているというのは凄い。お体に気をつけて(笑)

3, 高石市立取石中学校合唱部
「初出場。リハからガンガン声を鳴らしている。」
猪俣道明・編曲『アニソン・フラッシュ!』より「メドレー 乙女七変化」
木下牧子「鴎」
「ひみつのアッコちゃん」少々低声が下手に出る傾向が見られる。しかし、アンサンブル自体は何より軽く、好感。メロディがしっかりしているが、一部オブリガードが前に出すぎてしまうところも。全体として、フレーズが短くならず、とてもしっかりと「歌って」いるように思えるのが素晴らしいところ。「丸い母音」アやウ、オで暗めに出てしまうのはもっと気にしてもいいかも。オブリガードがその影響で少々暗いことがある。「鴎」は、軽いアンサンブルの長所がよく出た爽やかな演奏。二度のぶつかりが解決を美しく鳴らす、その表現の爽やかさ。曇りながら明るい窓の光を背に飛びゆく青襟の鴎達――ところで、セーラームーンのアレって、曲名何でしたっけ?笑

4, 豊中市立第三中学校合唱部
鷹羽弘晃・編曲「手紙」
木下牧子「手紙」
「鴎」は聴き比べの構図に。
前の三つの中学校と比べ少なめの編成。発声は素直でよく動く音。少人数アンサンブルでマイクを通しているため、少々個人の声が目立つところも。「手紙」、1番と2番の表現が同じに聞こえたのは少々ネガティブか。特に「夢の船よ進め」はもっと躍動感を! 「Keep on Believe it」のイ母音、あるいは別の箇所でエ母音が暗いのはどうしても気になるところ。「鴎」、「彼ら」の歌い方が上手。この曲は押してしまうと露骨に目立ってしまうのが怖いところ。しかし何より評価すべきは、各個人がしっかりと歌うことを是としているところだろうか。少人数ながらよくまとまった演奏。よく響くホールで聞いてみたいところ。

5, 和歌山市立貴志中学校
松下耕『日本の民謡第2集』より「会津磐梯山」
田中和音・編曲「ゲラゲラポー走曲」
1曲目はコンクールからだろうか。最初の1音目から目の覚めるアクセント。そして、透き通るまでによく揃ったユニゾン。この場にクラスター・サウンドスケープ系の曲を入れてくるだけで何より全国クラスの実力が良く出ているが、よくハマっているだけでなく、出て来るべきところでよく出てくる。少々動くところで緊張感が出きらないのは、やはりこのような場だからだろうか。エ母音が少々暗い印象。学年変わり目のこの時期によくこれだけ歌いますわ……笑2曲目は「ゲラゲラポーのうた〜ようかい体操第一」笑 ポンポンとお面を用意してダンス――はやりの曲なのに、何か一時代前の振り付けというか笑 キレイな発声というのはもちろん素晴らしいのだけれども、この曲だったら、もう少し発声を崩しても良かったかも。いやしかし、これは、別の意味で、よくやるわ――w

6, Coir アクティ
信長貴富「ヴィヴァルディが見た日本の四季」より
1曲目はヴィヴァルディの「春」のヴァイオリン前奏から滝廉太郎の「花」をアンサンブル。音の低いところ、細かく音が動くところで音楽が推進力を失うのは少々惜しいところか。他方、カンタービレに歌い上げる部分ではとても美しいハーモニーを聞かせてくれる。今度は「秋」と「村祭り」のセット。「ドンドンヒャララ」が低音にあたるため、そこがならないのは少し惜しいところだろうか。「冬」は「ペチカ」と。ともかく、叙情的な美しさがゆったりとした心地にさせてくれる。こういう、昔ながらのベル・カントを志向する団は、こういうところでいい音を聞かせてくれる。
司会曰く、「サロンコンサートのよう。」

7, こーろ・あろーどら&あろどれった
中田喜直『ほしとたんぽぽ』より「わたしと ことりと すずと」「ほしとたんぽぽ」
Praetorius「Rejoice, ye Christian men, Rejoice」
Chrisopher「Angels!」より
より児童合唱で響いた音が鳴ると良かったか。とはいえ、素直で明るい発声、児童合唱ながらよくまとまった音は好印象。お母さん方?の演奏は、明るく声量もたっぷりで素晴らしい!「Rejoice」は、「Alleluia」でちゃんと言い直せるとより良いかもしれない。とはいえ、強拍・アクセントで確りと叩く音は、女声合唱が時折忘れがちなきもちのよい力強さ。最後は合同で1曲。プログラムに載っていない曲。子どもの爽やかさと大人の力強さが出会って、ちょうど、長所を補い合う好演を見せてくれた。最後は観客の拍手も誘って、アトリウム全体に花を添えました。

8, あんさんぶる・ふぇるまあた&女声コーラスはなみずき
木下牧子「にじ色の魚」
信長貴富・編曲「恋のバカンス」
信長貴富・編曲「恋のフーガ」
拍手の練習で拍手がだいぶデカかったからか(←)、1曲目は低声を中心に少しボリュームが欲しいかな?と思われる一面も。しかし、メロディに骨がしっかり通った明瞭な演奏。美しい演奏の後は、信長貴富編曲の恋の曲2つ。ドロドロした編曲にまけず(笑)、明るい発声で聞かせてくれた。「日に焼けた〜」からの音の弾ませ方、リズムに難しいところもしっかりと歌えているのはお見事。一方、「フーガ」の出だしの「パヤ!」はもっとエッジを効かせてゴリゴリ押せると効果が高かったかも。否、実は疲れていたのかしら?笑 もうちょっと出せるとよかったのに!

9, 池田ジュニア合唱団
水野七星『尾張・三河のわらべうた<その一>』より「せっせっせ」
若松正司・編曲「さくらさくら」
小林秀雄・編曲「ちゃっきりぶし」
昨年は世界を舞台に華々しい活躍をみせた。ちょうど、去年の大阪府合唱祭を思い出させる。報告演奏とでもいうべきだろうか。
低声が少々喉声気味になる。それ故か、高声と低声で絡みきらないのが、聞いてて少々惜しいなぁと思わせる。加えて、少々後鳴りする傾向にあるのか、良し悪しに関係なく、それが独特の浮遊感を生み出す。その中で、フォルテや日本民謡特有の囃子調子をうまくまとめ上げるのはさすがの実力。「さくらさくら」では、分岐の二度の美しさがよく理解された快演。それでいて、縦にハメる箇所、音量が細かく変わるところなど、機動力がよく光る演奏。「ちゃっきりぶし」では逆に、低声のヴォカリーズを聴かせる時に、その響きが良く合った。

10, 合唱団Rinte
石若雅弥『生きる理由』より「大地はまだ・・・」「わたしの中にも」
しっかりとしたボリューム感を持つ男声とよく響きかつ明るいピッチを持つ女声で明瞭なアンサンブルを聴かせる。指揮がしっかり叩くこともあり、出だしの相方がキレイで、それがマルカートの音をよくひびかせる。それに加えて、よく横にも流れた、安心して聴くことの出来る、前進感のある音楽。少々男女のバランスが崩れているのが気になることには気になるのだが、それを忘れさせるほどの、言葉のよく通った、芯のある音が、なによりきかせてくれる。あとこれで、もう一つ和声がハマると、超一級のサウンドというに相応しくなるかも。よく「音楽」が鳴っていた。

11, 合唱団Vivo
Lauridsen「Sure On This Shining Night」
横山智昭・編曲「料理記念日」
少人数アンサンブル。20人いない程度。環境的にどうしても音量がないだけで聞こえづらくなってしまうのが惜しいところ。しかし、響き方がとても気持ちいい。明るい響きながら、鳴らすところでも音量感を欠くことなく響く。上島珈琲店のスチーマーの音にも負けないテナーの旋律と、盛り上がりの要点を衝いた、聞いていて飽きさせない緻密なディナーミク、フレージング。ホールでゆっくり聞きたい演奏。いい意味で、勿体無い。2曲目、女声の出だしがピアノに負けていたのは残念。曲の明るさによく声がマッチしていたように思う。最後の「ラララ」の部分の歌い方が、何より本当に爽やか!

12, コール・ポコ
三沢治美・編曲「女声のためのヒットメドレーCOLORS」
定番の人気曲を女声合唱で。人数が多い!マイク要らずの人数を誇っており、その響きはスピーカーの外からも聞こえてくる。吹き抜けになっているホールの高さがよく活きる、天井の高いアンサンブル。ただ、人数にしては少し音量に欠けるか。音はハモリに来る、という声ではないものの、とても明るいアンサンブルで、スタッカートやアクセントもハッキリとした音を鳴らしてくれる。途中には、なぜか(?)赤手袋でダンスを披露。「年下の男の子」レトロ歌謡曲の不二期をよく掴んだメロディの作り方、特に下降音型の美しさがタマラナイっ!「瑠璃色の地球」の迷いのないフレージングもお見事。身体に染み付いてるんだろうなぁ。

13, 貝掛混声合唱団
信長貴富・編曲『7つの子ども歌』より「一番はじめは」
Doveton arr.「Sur le pon d’ Avignon」
Pamintuan arr.「Go The Distance」
音の揃い方が超一級の実力を持つ合唱団。「一番はじめは」早速その実力を如何なく発揮した美しいアンサンブル。クセのない、一本スジの通った響きで、自然にハモっていく様が美しい。だからこそ、このカノンの響きの完成度がとても高い。「Sur le」聴けば分かるタイプのあの曲。テナーが旋律上がる時に、ほんの僅かに苦しそうにしているのが惜しいか。縦に重なるところが少ないからこそ、男声が裏拍で入るところはもっと響きが欲しかった。とはいえ、美しさは相変わらず。「Go」ソロの声がガンガン響く――って、マイクを1台取るような形でソロ。歌い方はさながらリードボーカル。確かにソロはよく、そして非常にうまく聞こえたが、ソロにコーラスが埋没され過ぎただろうか。こういう環境という特殊状況ではあるものの、もう一つ、コーラスはボリュームを上げても良かったかもしれない。合唱に移った時に、少し合唱のボリュームに不足すら感じてしまった。しかし、最後強くなった後は、がっちり鳴らした素晴らしいアンサンブル。

ここからは、KKRの合唱団も登場です。

14, 立命館大学混声合唱団メディックス
「立命館大学校歌」
Yohanes「JANGER」
青山しおり・編曲「ハナミズキ」
「校歌」旋律を中心にエ母音が暗く聞こえたのが気になる。「リッツメイ!!」のテナーを境にして、アンサンブルが締まったか。学生団にしてとてもピュアで整ったアンサンブルが聞こえてきた。「JANGER」細かい部分のスタッカート、子音とリズムの絡み方が特に素晴らしい。こういう特殊な舞台でありながら、音に対する集中力が素晴らしい。早いパッセージにかなり高いレベルで食いついているのが本当に素晴らしい。逆に、叙情的に、妖しく歌う部分をもっと磨きあげることが出来るだろうか。少し下から音をズることがあるので、その部分をうまく修正できるといい。「ハナミズキ」新入生を入れての、新生・メディックスの披露演奏。逆に、早いリズムのところが、メロディの主要音を歌うのに集中しすぎて、うまく響いていないような気がする。もう少し、言葉を大切に出来るといいかも。しかし、フレーズの長さはそこまで気にならない程度の、よく流れた演奏だった。

15, 関西大学混声合唱団ひびき
「関西大学校歌」
三善晃「木とともに 人とともに」
どうしても人数に左右されるこの環境。メディックスの半分程度の人数で登場。KKRで交流があるだけに、メディックスに負けず劣らず、丁寧でピュアなアンサンブルを聞かせてくれた。少々女声、特にソプラノが低くなりそうなところが気になるところか。「木とともに」ディナーミクに忠実な、丁寧な演奏。ただ、男声を中心に後鳴りをするのが、こういう早い曲だと演奏の質を引っ張ってしまう側面も強い。しかし、ソプラノのメロディに対して、下三声のまとまり、機動力には目を見張るものがある。そして何より選曲! こういう場所で歌うにはピッタリな、春によく似合う曲です。裏のスタッフの方も思わず指揮を振ってしまうくらいに、会場を引き込んだといったところか笑

16, 大阪大学混声合唱団
「大阪大学学生歌」
相澤直人『なんとなく・青空』より「なんとなく・青空」
武満徹『うた』より「明日ハ晴レカナ曇リカナ」
パンフには「晴れることを願ってこの曲を選びました」司会「今日は?……曇りですかね?」
「学生歌」よく流れていて、それでいて、表現にも十分意欲的な演奏。少々後鳴り感は気になるが、安心して聞いていられる盤石の出来。何より、以前より歌詩がよく飛んでくるようになった。「なんとなく・青空」委嘱曲。どうしても音の小さいところが飛んで来づらいが、この主題旋律の壮大さをよく示すに十分なピアノとは言えそうだ。裏から入る対旋律のよく刺さった音が、演奏にいいハリを加える。「明日ハ」確かに音はあっていて、よくアンサンブルしているようには思えるのだが、イマイチ、言葉にリアリティがこもらない。新歓合宿だったとのこと、疲れてた?笑 しかし、1回やったことがあるとはいえ、このレベルの曲をよくぞ愛唱曲といわしめるまでに仕上げている。この団のポテンシャルを見せる。

ここで、小学生の課題曲講習会を宣伝。「ハンドサインとか、眼から鱗のことを教えてくれる、はずです」
小学生向けの講習でもハンドサインやるのか――笑

17, 宝塚少年少女合唱団
ずけらんなおこ「元気が出る歌」「海と空の間で」
「このTシャツの色を見たら、青空――見えてきたんじゃないかと思いますけれども」
文字通り「元気の出る」声を出してくれた。もっといっぱい声を出してもいいかもしれないな、とは思うものの、これくらいでも十分明るい響きが飛んできている。下パートはもっと頑張ってもいいかも。高音など、飛ばすべきところではちゃんと飛ばしてくるのは好印象。他方、弱音になると少し音が抜けるのは気になるところ。「海と空」は、この団の声質、それと、素直な歌い方がよくマッチした演奏。特にこの曲では、フレーズの起伏が丁度曲の表現を際立たせていた。青空色のTシャツと、響きが、この会場に爽やかな風を吹かせていた。

18, 神戸大学混声合唱団アポロン
「商神」
信長貴富「ほほえみ」
千原英喜『コスミック・エレジー』より「わが抒情詩」
「商神」少々重めの響きになっているだろうか。テナーが鳴っているのは嫌いではないのだが、少々他パートに対してうるさいと感じる箇所も。特に女声をかき消しに来るところも。「ほほえみ」単純に、もう少しメロディがよく聞こえてくるといい。そして下三声の中で爆発的なボリュームを持つテナーがやはり気になる。ボリュームとしてはいいはずなのだが。「抒情詩」最初の方がボリューム不足に感じてしまう。しかし、「俺の心はどこにいる」という音はとても明瞭なボリューム。ただ、鳴りたいところでなる、というような少々雑なアンサンブルになってしまったか。大きくなったところのマルカートこそ確かによかったのだが、もう少しフレーズとしてつなぐことが出来ると良かった。

アトリウムコンサートはこれで終わり。この後、小学生課題曲講習会、そしていずみホールのさくやこのはなコンサートへと続いていくのでした――。