おおよそだいたい、合唱のこと。

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合唱ブログのつもりではないのに、気付いたら合唱ブログみたいなことになってきました。
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2014年6月17日火曜日

【第53回愛知県合唱祭】

6月14日(土)・15日(日) 於 名古屋文理大学文化フォーラム 大ホール・中ホール・小ホール

全国的に合唱祭のシーズンですね!この時期になると、巷の合唱人はやたら忙しそうに色々な団で歌いまくることになります(個人差があります)。もちろん、自分の所属団ひとつに絞る人もいるわけですが、学生団と一般団を兼団している人、あるいは一般団を掛け持ちしている人は、2日間稲沢に引きこもりっぱなしになるとかならないとか。何個も掛け持ちしているガチ勢は、酷い時では県を跨いで大移動することにも……おっと、身近な聴衆の方にもいらっしゃいましたね!
そんなわたべは、1日目はあるツテを経由して、合唱連盟の当日スタッフの仕事を頂いておりました。愛知県の皆さん知ってましたか!合唱祭では、昼食場所として部屋を設けて開放しているんですよ!僕は当日、その仕事を貰うまで知りませんでした……笑今後機会があったら積極的に使っていこうと思います笑 2日目は、所属のうぃろうで歌って飲んでおりました。

そんなわけで、1日目の仕事明けのD・Eブロックと、2日目にうぃろうで歌ったHブロックとをちまちまと書き残しておこうと思います。お祭りですからね。

・愛知県合唱祭の特徴
 僕自身、4年間はこの土壌で育ってきたので、特に特異的なものを感じていなかったのですが、Facebook で今年のゲスト・相澤直人先生が書かれていたところにもよると、どうも、他県には見られない特徴があるようです。
 まずひとつは、相澤先生が挙げられていた、ワークショップの存在。講習会形式で曲が指定され、楽譜を入場パスにだれでもゲストの講習を聴くことが出来ます。1時間あまりの講習の後には、披露演奏。1時間前に集まった仲間たちで一度きりのステージに乗ります。特に大学生ワークショップは大人気で、相澤人気も相まって、今年もステージに溢れんとするばかりの受講生の演奏を聴くことが出来ました。
 そして、もう一つ、開催方式は特徴の一つに挙げることが出来るでしょう。2日間の間に、ブロックを明確に分けて開催します。日数的には京都府合唱祭よりも少ないように見受けられますが、50回の区切りに、参加団体数が増えすぎて2日間で捌き切れない、ということで、大ホールに加えて、中ホールでも並行開催するようになりました。言ってみれば、大阪府合唱祭の狭山開催と池田開催が一緒くたになったようなイメージ。しかも小ホールではワークショップが並行開催されていて、そりゃもう、盛り沢山です。今年は、全15ブロック・145団体が、朝10時過ぎから夜19時程まで歌いまくりました。
 全体合唱も、ブロックごとに行われます。合唱連盟50年の記念に、2年前から、愛知県出身の新実徳英先生にかき下ろしていただいた愛唱歌「いつまでも いつまでも」が歌われています。8分の6の、ゆったりとした、ドラマチックな歌です。

・ホールについて
 旧称・稲沢市民会館。大ホールは特にセントラル愛知交響楽団がリハーサル会場として利用しているホールとして有名です。愛知県勤労会館の閉館に伴い、合唱祭の開催を一手に引き受けてきました。大ホールは、奥行きが非常に大きい1階席のみで構成された客席が有名です。天井はあまり高くなく、多目的ホールということもあり、鳴らすという意味ではとても難しいホール。それでも、後述するように、鳴らす団は鳴らすので、そこんところ、甘えていいわけでもありません。今回は出場していませんでしたが、岡混などは、このホールでもうまく鳴らすことでしょう。と、いうのも、実は今年のコンクールは刈谷アイリスから移って、このホールになるのです。うぃろうとしても、そうそう他人事ではいられません。中ホール・小ホールを使ったことはないので、あまり詳しいことが言えませんが、モニターからの音を聞く限り、中ホールの音響は非常に良さそうです。響きのいい文化小劇場の代替として十分使えそうな感じです。
 もっとも、最寄駅の名鉄国府宮駅から結構歩くのがたまにキズ。車窓から、会館脇を通過していく様子が見えるので、団員間からしょっちゅう、ココに駅を作れ、と揶揄されるというトバッチリにもあっています笑 有料特急含め全車停車するのがせめてもの救いか。2面4線の駅で、3面2線と超過密な名鉄名古屋駅の代替に、追い越しなどの対応がされる駅でもあります。

・合唱団の構成
 大阪府合唱祭ではユニークな団の多さに圧倒されましたが、愛知県は、比較的そういった団が少ない印象があります。良くも悪くも真面目な県民性を反映しているような。嘗て全国を圧倒したような団があったり、今でも、コンクールでソツのない強さを見せたり、演奏会プログラムのストイックなユニークさで全国に名を馳せる団があったり。どちらかというと、実力がないと評価されづらい、そんな印象にあります。ストイックで、シビアな地域。逆に、こういうところでネタに走ると、結構爆発的に評価されるんですけどね。「名古屋男声合唱団」とか。今年は打ち上げ中につき聴くこと叶わず。本当に残念。2年前の大喝采、今でも忘れられません、ええ。さながらミュージカルでした。

・ワークショップ
 「ワークショップII」と「大学生ワークショップ」の披露演奏に立ち会えました。
 「ワークショップII」は、相澤直人先生作曲の「やわらかな想い」(さくらももこの詩による無伴奏混声合唱曲集『ぜんぶここに』から)。臨時記号と難しい転調が頻出の、高難度な曲で、さすがにその点での粗が目立ってしまいました。しかし、この短い時間で、十分聴けるだけの、そして、歌の雰囲気をよく湛えたいい演奏をしてくださったように思います。
 「大学生ワークショップ」では、松下耕先生の「今年」(混声合唱とピアノのための『この星の上で』から)。なにより、大曲をよく頑張った!イヨっ!大学生特権!(おばさんみたいだな……w)すごく丁寧にまとまっていました。実をいうと、音圧がもっと欲しいなぁという裏返しでもあるのですが笑、むしろ、この難しい曲をワークショップという制約下でああもキチッとまとめてきたことを肯定的に評価すべきでしょう。僕自身が学生団にいた時代は、歌詩音圧主義で和声二の次という真逆の音作りが主流だったように思う点、どこか隔世の感がございます。

・学生団寸評
D-2「金城学院大学グリークラブ」
木下牧子「夢みたものは」
youth case「ふるさと」
2曲目は、3月の再演でした。ホールに負けてしまっていた印象でした。両曲とも、このホールでも鳴らせるだけの音圧が欲しい。昨年より安全運転で、丁寧さが光る演奏だったと思いました。

D-9「名古屋市立北高等学校」
V. Youmans「Tea for two」
伊藤心太郎「恋するフォーチュンクッキー」
友森先生異動後の初舞台。やはり基礎はしっかりとした十分と聞かせてくれる演奏でした。ややテナーの音色が硬い気がしました。しかし、それにも増して、なおもバッチリ「フォーチュンクッキー」を踊る北高生、名古屋中の希望です!w

D-11「混声合唱団名古屋大学コールグランツェ」
木下牧子「もう すんだとすれば」(『うたよ!』から)
毎度乗り切らないほどの人数の割に、音が散っていたように思いました。聞こえ方としては、ちょうど大学生ワークショップと似通っていた印象。特に中間部、もやっとした音が気になりました。要所要所は〆る辺り、さすがです。

・初出場
E-2「あいち混声合唱団」
鈴木憲夫「どうしてだろうと」(『地球ばんざい』から)
Roger Emerson「You Raise Me Up」
2011年のフェアウェルメンバーが母体。もっとも、2013年卒の僕にとって年上、あるいは同級生の知り合いなんかも入ってますが(向こうが覚えていない、ともw)。昔ながらの愛知県学生サウンドを良くも悪くも踏襲した音作り。先述の通り、詩を読み込んだ演奏をすることや、音はそこそこ豊かになりますが、内声を中心にピッチが気掛かりな演奏でした。加えて、「You Raise Me Up」では、フレーズをもっと長く取ったほうが良いような気がします。しかし、大変なブロックでの初出場、お疲れ様でした笑

・全出場
E-5「グリーン・エコー」
John Rutter「Look at the world」「Golden slumber」
53年連続出場、記録更新おめでとうございます!愛知県合唱祭唯一の記録保持団体です。演奏会のプログラムが毎回新しい流れをフォローし、夏には名フィルを招聘して大曲を演奏することで有名です。この前は『鐘』などを演奏。今度は『嘆きの歌』や『ドイツ・レクイエム』を演奏するとか。メロディを特にしっかりと歌えていたのは好印象でした。声はどうしても揺れているため、ハーモニーを作るには障害になったか。特に「Golden slumber」は御手額がややダレたか。リズムパートが締まりきらないまま終わってしまいました。とはいえ、やはり連続記録は偉大。この調子で、記録更新を。

・コンクール関連団体(上掲以外・拝聴分・昨年までの出場実績による)
E-4「合唱団ノース・エコー」
Max Reger「Nachtlied」
Wilhelm Stenhammar「I Seraillets Have」
珍しくランダムオーダー。日本代表ユニな方がいました。前日に稲沢で歌ってたから負けちゃったんでしょうか
コンクールの都合で、鳴りをメチャメチャ意識しながら聞いていましたが、一番ホールを鳴らせていた団体だったように思います。発声がしっかりしているので、とどのつまり、鳴りについては発声勝負なのかなぁと踏んでいます。基礎って大事ですね。
音楽としては、内声に迷いが全くないのが見事でした。音楽の緊張感も見事。粗こそ見つからないものの、表現になおも伸長の余地が。なんてこった。

H-3「トヨタ自動車合唱部」
Ralph Manuel「ALLELUIA」
出だしが特にビビりすぎたか、始まりがぼやけてしまったのが何より残念。それを引きずったか、対位法的構造が非常に掴みづらい演奏となってしまいました。中間部との対比も、より鮮明に出したかった。全体として、もっと歌いあげても良かったのかもしれません。特にアルトが、もっと出てよかった。選曲が素晴らしいだけに、惜しい。

H-10「男声合唱団 響(ひびき)」
新実徳英「男声合唱とピアノによる『祈り』から」
未出版曲。知り合いのある方が引っ張ってきたそうですが、まぁ、すっさまじい曲でした。再演希望。全部聞きたい。音源欲しい。歌いたい笑
演奏としては、トップにはもっと圧があっても良かったと思います。全体的には、パートの独立的な旋律がより鮮明に聞こえたほうが、曲としても構成が立体的に聞こえて良いような気がします。トップに音圧、とこそ言いましたが、少し力押しが過ぎたのでしょうか。曲に対しても、演奏に対しても、ピッチやタイミングの僅かなズレが本当に惜しい演奏。緊張感を持ちたい。

H-13「豊田市少年少女合唱団」
信長貴富「第五章 ひびかせうた」(童声合唱とピアノのための『ひびかせうた』から)
表現がやや淡白だったかもしれません。主題の説得力は見事なものがありましたが、導入部のpianoがより芯のある音を鳴らせるようになると、より訴求力のあるサウンドになるような気がします。ところどころピアノに負けてしまっていたのも残念。極端には、音がスカスカに聞こえていた印象です。しかし、この曲、非常に素晴らしい作品ですね……例の、5作品初演の日に誕生した曲。また是非、出来れば全曲通して聞きたいです。素晴らしい。

・Remarks
D-1「ensemble Solaris」上手い!前々から思っていましたが、和声の揃いに強みがあります。トップはもっとアグレッシブに出していきたい。Lin Ming-Chieh「安部まりあ」様、堂々の登場←

D-5「SINGERSなも」多田武彦『中勘助の詩から』より、っていう選曲がいいですよね!!!!この曲大好きです!!!!やや重い音色ながら、タダタケらしい音がしっかり出ていました。7/21伏見ザ・コンサートホールでの全曲演奏、どうぞご盛会を。

D-6「名古屋混声合唱団」実力を持っている暖だからこそ、もっと遊んだ演奏をしてみてもよかったか。Gjeilo「UBI CARITAS」は、やや冗長に鳴ってしまいました。

D-7「東海メールクワィアー」嘗て一世を風靡した実力を持つ合唱団。以前ワンステージメンバーでおじゃましました。特にShubertということで、骨太な歌を聞けたように思います。ウ母音の鳴らし方などは気になりましたが。

D-8「名古屋合唱団」須田和宏先生に寄る爽やかな選曲が光りました。「芭蕉布」「風になりたい(THE BOOM)」よい選曲と、よい新指揮者に恵まれました。

D-10「名古屋市民コーラス」演奏は長谷先生のもとでそつなく。登録150人のこの団の後は、登録110人の名大グランツェでした笑

E-3「名古屋コール・ハーモニア」壮年の団。毎回、決して技巧的ではないが、豊かな発声からよい音楽を聞かせてくれるように思います。ところで、曲変更があったようですが、詳細を聞き逃してしまいました苦笑

H-1「あけぼの合唱団」盲者と健常者が手を取り合って歌う団。技術面の課題こそ多いものの、そもそも、目の見えない方が高田三郎「雨」を歌うなど、本当に大変なことだと思います。『水のいのち』全曲挑戦中とのこと。頑張ってください。

H-2「今池混声合唱団」あまり書くと住処がバレてしまいますが、この近くに住んでいた時期があるので、見つけて以来ずっと気になってました笑アルトがお上手なのを筆頭に、中々しっかりとっしたアンサンブルを聞かせてくれました。テンポに乗ってサクサクと進む感じ、フレージングが長めなことに好感の持てる演奏でした。適度に楽譜から目が離れていることもGoodです。

H-4「あかがめ響和国」毎度毎度、みなさんの演奏の後に歌うことになる私達の気分にもなってください!(褒め言葉w)Chilcottの『A Little Jass Mass』より「Kyrie」「Gloria」にパーカッションとコントラバスを入れることで、ジャズっぽい雰囲気が一気に強くなったような気がします。楽器隊特にGood。うた隊は、ラテン語の発音をしっかり楽器に追従してオシャレにして欲しかったデス。特に、「Gloria」「omnipotence」など。一部テナーが浮いたような感じも。中間部、うただけで訴求出来るだけの力を持ちたい。

H-6「Ensemble Famille Voix」平均点の高いアンサンブルを聞けたように思います。パートソロや対位法的な構造に弱みが見られるものの、素直な発声から素直にハモる様は注目に値します。今後の成長の鍵は、低声にアリ、か。ウタゴコロを十分に感じる、新実徳英「聞こえる」。選曲が非常に会場ウケしてました。

H-9「豊田市少年少女グレイス」アンコン優秀者の招待演奏。当たり前に点数の高い演奏でしたが、特に音量面について、音楽構成の表現に疑問が残りました。少年少女ならではの難しさもありますが、もっと自由な表現をしたい所。例えば、ユニゾンが合わせに行っているように感じました。また、低音が、母音の鳴らし方的に低い気がしました。念のためいうと、上手な団がより成長できるように、という意味でのコメントですからね!特に、ブロックの中ではダントツのうまさでした。

H-11「モーツァルト200合唱団」モーツァルト200がついにモーツァルト(KV.260)を演奏した!と、わたべの中で大盛り上がりでした← しかし、さすが、モーツァルト200にとって、モーツァルトはお手のものだった様子、とても身のこなしの軽い演奏のように思いました。

H-14「合唱団CANTUSNOVA」某ギョーカイの有名人、ドイツから堂々の凱旋笑。それはともかく。個人の力に過度に依拠した演奏が気になりました。鳴らす力は持っていますが、鳴り方が非常に微分的というか、旋律が浮かびづらく、和音が独立して、ポツッ、ポツッっと聞こえていた印象。和声全体をしっかり聞かせたい。今後の成長のヒントは、指揮者無しで合わせた、Brian Kay(arr.)「GAUDETE」にあるような気がします。

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