おおよそだいたい、合唱のこと。

ようこそお越し頂きました。
主に、管理人が参りました、合唱団の演奏会のロングレビューを掲載しております。
また、時折、気分に応じて、合唱如何関係なく、トピックスを記事にしています。
合唱ブログのつもりではないのに、気付いたら合唱ブログみたいなことになってきました。
やたら細かいレビューからノリツッコミまで、現状、合唱好きな方の暇つぶしには最適です。
ゆっくりしていってね!!!

2016年4月18日月曜日

【コーラスめっせ2016 おぼろ月夜コンサート】

2016年4月16日(土)於 いずみホール


此度の熊本における大地震により被災されました方、またその関係者の皆様にお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方々に対しまして、謹んで深く哀悼申し上げます。

冗談抜きで、東日本の際は、被災地にいないにもかかわらず、随分気が病んだものでした。Twitter の情報の濁流の中に揉まれ(Twitter が悪いわけでもないけれど)、その中で自身を制御できずにいましたことをよく覚えています。幾度にもわたる揺れの中で、同世代、あるいはもっと若く、希望に満ちた子たちの中にも、大きな被害を受けた人たちがあるとききます。テレビに流れるその被害の有様に、どうしても、心を寄せずにはいられません。どうか、残された皆様のご無事を心よりお祈り申し上げております。
本ブログは、演奏会のレビューを通じて、「消えてしまう今」を残す、という作業を繰り返しています。その意味にあって、時代文脈性はどうしても切り離せないものがあります。今、ここでしか鳴らせない音楽を、今、ここにしか生まれない音楽を、そして、その受容の有様を残していくことで、微力、かつ僭越ながら、一つの時代を創るお手伝いをさせて頂いているのだと思います。その延長線上にはまた、熊本をはじめ全九州、ひいては全日本、世界中でおきている数々の喜怒哀楽があります。その心が少しでも安らぐのなら、たとい叶わずとも、そんな思いを抱かずにはいられません。
どうか被災地が、一日も早く、幸せな歌声に、和声に、笑い声に包まれますように。


……ん? アトリウムにおけるなにコラの Slavnostni Sbor のような倍音に包まれる日?

余計なことをいうんじゃないよ君は(笑)
あとね、倍音という意味では、はもーるKOBE の「鉄腕アトム」なんかも非常によk(ry


そんなわけで、半ば強引にチケットを渡されたので(失礼)、めっせ聴きに行ってきました。ゆったり出て、おっちゃんの講習会はおろか GU も聞き逃すような時間に行ったわけですが、今日の目的はただ一つ、このコンサート、ということで。何気に、予習もせずに行ったので、あらゆる意味で驚きの連続でした笑

ちなみに、翌日は「さくやこのはな」などは聞かずに、名古屋で1日仕事(休日出勤とかじゃないよ)。帰りのアーバンライナーでも疲れがたまって思うように筆が進まず、翌日も翌日でそんな感じだから全然書けず、ということで、こんなに遅くなっちゃいました。面目丸つぶれ。スミマセン苦笑


・ホールについて

確かこの前の東混以来だったかな。そりゃもちろん良いホールなんだけれども、いい加減さ、このブログに出てくるの何回目よってレベルだから、そろそろ書くことが尽きてきているんだよね……えっとなんだろう、あと何書いたら良いかな、今日は開演前にアイスコーヒー飲んでワッフルを食べました、とか、ホールの売店では大阪土産は売ってません、とか、ここのクロークは、心の底から使いやすい素晴らしいクロークだと思います、とか、そんなところでしょうか……?
ああ、そうそう、きょうは、大阪城公園駅を降りたら、何やらワインバルイベントやってました。当日3,500円でワインチケット10枚もらえるとか。1枚でどれくらい飲めるのか……もし1枚1杯だったら、死人が出かねないレベルですよね笑
他にも、いずみホール至近の大阪城公園では、アリーナ形式の大阪城ホールが近いこともあって、様々なイベントが行われています。以前はジャニーズのコンサートとかぶっていたこともあります。ダフ屋がいっぱいいたのが印象的でした。確かその日は東混でしたが……たぶん、東混のチケット取り扱ってるダフ屋さんはいなかったと思う……笑


司会:小川真由(フリーアナウンサー)

愛知県滝高校放送部出身だそう。阪大外国語学部所属時から合唱団アナウンスをしていたのだとか。なんか、妙な親近感を感じますが、たぶん、こっちの片思いでしょう←


・オープニング:高校女声合唱合同演奏

北川昇「翼」(みなづきみのり)
指揮:林香世(兵庫県立神戸高等学校合唱部・顧問教諭)
演奏:
大阪信愛女学院中学・高等学校コーラス部
大阪府立清水谷高等学校合唱部
開明高等学校合唱部
四天王寺高等学校コーラス部
兵庫県立神戸高等学校合唱部


まずは高校生による爽やかな女声合唱。アルトには男の子も何人か見受けられました。

ひな壇から溢れ出すほどの人数による女声合唱、何がすごいって、この人数、しかもジョイントなのに、ユニゾンがめちゃめちゃ揃うんだ! だからこそ、ハーモニーが広がった時の和声は本当に輝かしい物がありました。さり気なく揃うハーモニーが特徴の北川音楽、ともすると、経過音に対しては、もう少し配慮ができたのかもしれません。しかし、最初の音こそ不安があったものお、最後に鳴る倍音は、どの合唱団でも聞かれないような素晴らしいものでした。


1st. アンサンブル・キアーラ(女声・大阪)

松下耕「四月のうた」[女声合唱とピアノのための『愛の詩集』](谷川俊太郎)
Howard, Bart “Fly Me To The Moon”
松下耕「夕餉」[無伴奏女声合唱のための『うたおり』](みなづきみのり)
松下耕「静かな雨の夜に」[女声合唱とピアノのための組曲『静かな雨の夜に』](谷川俊太郎)
指揮:伊東恵司
ピアノ:角田奈央


歌ごころのある演奏。とてもさり気なく旋律を演奏する中に、しかし、言葉の節々に、しっかりと表現を忍ばれせる。音圧でピアノに負ける場面こそあったものの、ユニゾンの揃いも武器に、豊かな音楽が印象的でした。特に、 “Fly Me To The Moon” における、軽いフレージング、そして最後の弱音は非常に素晴らしい! その秘密は、音量がピアノでも声がヘタらない、しっかりとした発声にあったように思います。いずみホールの中に溶けいるように、しかししっかりと鳴る弱音、そのアンサンブルは、普通よりもどこか奥行きが深いアンサンブルだったように思いました。



2st. 合唱団ボイスフィールド(混声・兵庫)

北川昇・混声合唱組曲『まわる地球』(工藤直子)から[初演]
「まわる地球」
「みずめぐり」
「だっこ」
「海と空」
指揮:天野裕介
ピアノ:山内愛


爽やかだ! 爽やか過ぎる! シャツも白いし眩しいぞ! というのはともかく、とにかくさわやかな音を鳴らす団でした。ちゃんと音は取れているのですが、それ以上に優先されているのが、ギラギラとした表現への欲求。一言一言、擬態語や擬音語、副詞があったら何かやらなきゃ気が済まないかのような貪欲な表現が目立ちました。北川センセもそういう部分を重点的に作曲するもんだから……笑

しっかりと鳴らせば自然にアンサンブルが整う、それを体現しているのが、この団なのだと思いました。特に1曲目は、この団の声にもよくあっていました。色々な感情を思い起こさせるこの曲、そしてこの演奏。すごく好きな音楽でした。


3st. 合唱団ことのは(混声・大阪)

信長貴富・合唱のための6つのソング『ワクワク』(谷川俊太郎)から
「詩」
「ほほえみ」
「風のマーチ」
「ワクワク」
指揮:高嶋昌二
ピアノ:藤澤篤子


最初鳴らした時のその音が、すべてを物語っていました。「愛する人よ」、その一言だけではっとさせられる。そう、ちょうど、バッカスで聞いた大阪メールを思い起こさせるような演奏です。そよ風に寄せる sub p.、そして揺蕩い、思いを増す中にひっそり響く、愛の睦言。リズムが跳ねても振り回されることなくジャジーな世界を体現し、そして多彩な表現を着実に決めていくのは、まさに堂々たる高嶋音楽の世界。この団、語尾をすごく抑えるのですが、しかし、それは決して、語尾を捨てているわけではないのですよね。徹底的に語尾を語尾としてコントロールしてやるという意思を感じる。言ってみれば、一番気を使っているのは語尾、というくらいに。残響をも、コントロールされているかのような、スキのない音楽。「ワクワク」は、それまでにないくらいに明るい音作りが出来ているのもまた、この団の素晴らしい点。カデンツは、決めるものではなく、音楽を形成するためのツールなのですよね。記譜からエンタテイメントにいかに結びつけるか、その点において、とてもワクワクさせられる演奏でした。「歌って楽しいんだ」という言葉がまやかしで無いのだとしたら、その言葉は、こんな団のためにあるのかもしれませんね。否ホント、素晴らしかったし勉強になりました。



インタミ15分。水飲んでました。そういえば、開演前に、千原先生がソファに座ってコーヒーソーサー片手に談笑していたのを拝見したのですが、あまりにも絵になりすぎていて、なんというか、その、あの←何



4st. 相澤直人公募合唱団

相澤直人「あいたくて」(工藤直子)
相澤直人「また あいたくて」(工藤直子)
指揮:相澤直人
ピアノ:石若雅弥


石若先生! 相澤先生との付き合い、ゲームだけじゃなかったんですね!?(失礼) これまた高校生にも負けないくらいの人数による合同演奏でした。最近はカーネギー・ホールに演奏旅行しに行くなんていう快挙を成し遂げた、もう、日本が誇る合唱指揮者・作曲家です。別に、マリオメーカー職人とか、そういうのじゃありません

さて、音楽については最高にドラマチストな相澤先生。しかし一方で、わびさびもスゴいんです。ものすごくいろんなこと仕掛けてるんですが、その多くが自主性のもとに委ねられ、そして、アッサリと過ぎていく。だからこそ、隅の隅まで、自律した音楽がしっかりと鳴っているのだと思います。音については色々言えそうなものの、でもそのような感じだからこそ、ちゃんとこのアンサンブルは音楽を鳴らせていたのだと思います。相澤先生の、動的な音楽の捉え方は、やはりこの演奏でも見どころでした。ことのはのような、動きのための和声、というのが、作曲においても、演奏においても、徹底されていました。
しかし、タイトル的にしょうがないとはいえ、dur→moll よりは、moll→dur のがよかったな……(´・ω・`)笑


5st. ヴォア・セレステ&フェアリーズ(女声・兵庫)

Dobrogosz, Steve “A Fairy’s Tale”
“A Fairy’s Tale”
“Two Unicorns”
“Bubbles and Gumdrops”
“Ouroboros”
“The Ocean Bed of Barsoom”
“Wisteria”
指揮:山口英樹


軽いアンサンブルで融け合うさまは、カノンが主体となっているこれらの曲群としては、非常に合っていたように思います。さり気ないフレーズの処理が、さらさらっと軽くアンサンブルを作っていたように思います。

しかし一方で、弱音に表現が至ると、それがやや弱めなようにも聞こえてしまったように思います。「ウロボロス」のような曲は特に、静かながらも、もっと力のある音が鳴って欲しかったように思います。「バルスームの海の底」は、面白い曲。ヴォカリーズの動きのある、キレの良い伴奏が心地よく響きました。
しかし、最後には、おしゃれな和音が控えめに、よりそうように鳴っていく――もしかしたら、これはこれで良いのかもしれません。


6st. アンサンブルエヴォリュエ(混声・大阪)

千原英喜・混声三部合唱とピアノのための『ありがとう―谷川俊太郎の3つのうた』[混声版初演]
「誰もしらない」
「にじ」
「ありがとう」
千原英喜「寂庵の祈り」[混声合唱とピアノのための組曲『ある真夜中に』](瀬戸内寂聴)
指揮:飯沼京子
ピアノ:熊谷啓子


先ほどの団とは対照的に、ボリュームたっぷりに、そそいて曲の表現のままに、たっぷりと味付けされた演奏。しかしまぁ、千原センセはまたハデなことをおやりに……笑

しっかりと声を出したアンサンブルは、とてもこの曲と合っていたように思います。その意味では、選曲に恵まれました。音の出ることに命かけているというかなんというか笑 それでいて、出だし等、丁寧に音が出るように配慮されているバランス感覚には、眼を見張るところです。一方で、欲を言えば、この団はもっと、弱い音に意識を向けたかったところ――さっきの団とは対照的な物言いですね笑 意思を持った弱音、とでも言いましょうか、そういう音を鳴らすことができたら、この団は、もっとうまくなれるんじゃないかと思いました。
しかし、「ありがとう」最後のカデンツは感動的。それはやはり、ボリュームのなせる業なんですけどね笑
そして、こんな日に聴く「寂庵」――沁みるものがありました。


インタミ10分。あ、そうそう、このインタミの前、飯沼先生が、客席にいた千原先生を紹介しそびれかけてました。危ない危ない笑



7st. 豊中混声合唱団(混声・大阪)

柴田南雄・合唱曲『みなまた』より
I. 海(徳富蘆花)より
a. 春の海
b. 故郷の
II. 浜の唄
a. 田植唄
b. 蕨採唄
c. 子守唄
d. 籾摺唄
III. 淵上毛銭の四つの詩 より
b. 無門
d. 約束
指揮:西岡茂樹


そして、水俣がテーマのこの曲。相変わらず、とよこんはよく歌える団です。輪唱を中心に形成されているこの曲にあっても、十分その輪郭をみせるだけの力は持ち合わせています。

でもだからこそ指摘しておきたいのが、訴求力、という課題。否、周りの団がすごかったから、なのかもしれませんけどね。カノンが大団円を生み出すような曲ということを考えると、各パート、各歌い手が、もっともっと個性を出して歌ってしまったが方が、いっそ、面白いアンサンブルになったんじゃないかな、とも思いました。少し、棒読みというか、単調な出来になってしまったのが残念です。群像は、個が立たないと、イマイチ映えないのです。
しかしながら、舞台転換も含めた、サウンドスケープ的な音像世界には、眼を見張るものがありました。特に、「浜の唄」の最後が、消え入るように舞台も暗転し、ペンライトをつけていたのが段々と消えていき、とても幻想的な世界観を見せていたように思います。加えて、III は、複雑なテンポによるアカペラ。これを纏めあげた、という意味でも、技術については、本当に申し分ない快演だったように思いました。
しかしこんな日は、水俣出身という淵上毛銭の詩がぐっと来ます。「今日も/夕まで/なにごともなく/生きた/この分では/明日という日は/たしかに/約束されてゐる」(「約束」)



8st. Coro Tomasino(混声・フィリピン)

arr. Calalang Jr., Fidel “Ayug to amianan(Scenes from the North)”(フィリピン民謡)
arr. Guzman Jr., Francisco de “Dandansoy”(フィリピン民謡)
Raz, Ronaldo “Psalm 116”
Pamintuan, John August “Nihon no tame no inori”(訳詞:石原敬子)
Pamintuan, John August “Confutatis maledictis”
指揮:Ferrer, Ronan


さて、招待演奏。指揮者は日本は広島にあるエリザベート音楽大学への留学経験もあり、日本とも縁の深いテナー歌手。国を代表する存在でもあるようです。合唱団も、聖トマス音楽大学の学生合唱団で、学校からの支援も篤いのだとか。

オーダーは、ひな壇を使わず、指揮者を囲むように。海外の合唱団ってこういうオーダーするところ多いよな……などと思っていたら、何やら森のなかのような音が聴こえてくる。そう、1曲目は、フィリピン北部の山の風景を描いた曲。様々な方法で表現される自然のモチーフの音の中に、とんでもないボリュームでのソロが飛んで来る。加えて、子どもの声を真似た女声ソロ、そしてやがて聞こえてきた合唱は、もう型破りの抜群に上手い混声合唱。そう、そこは音楽大学。一人ひとりが抜群に歌えるんですよね。クレシェンドも sub. p も本当に良く映える。そして1曲目は、だんだんと加速し、「過」速していく曲。そんな中にあっても、ストンプをつけながらも、確実にテンポを捉えていく。加えて2曲目の、フィリピン中部の子守歌でも、その歌う力を如何なく発揮します。プロ顔負けとはこのことをいうってもんです。もうね、最初から最後まで魅力的なんです。パミ様の「日本のための祈り」なんていう静かな曲も、しっとりと、まさに日本の今に寄り添うかのように演奏されて、そしてそれがいずみホールの響きによく溶けていく。そして最後にはなんとヒップホップ! しかもまるでシアターピースのようなフル・ダンス! これはもしやドラフトの「Love so sweet」を超えている!?笑 ハモりながら、早い言葉の曲をバリバリに鳴らすという、もう、規格外のことをやってくれました。まさに今日のエンディングに相応しい……否、これまでの演奏を食ってしまうかのような、素晴らしい、否、凄まじいアンサンブルでした。最後に沸き起こった、日本とは思えないような歓声が、この演奏の成功を物語っていました。


・まとめ

合唱にいろんなかたちがある、とは本当によく言ったものです。かれこれ色々な団を(それも意識的に)聴くということをし続けて随分経ちますが、それでも、未だに出てくる様々な名演、そして新たな発見に対して、驚かされ、心躍らされ、そして、勉強させていただいてきました。今日の演奏会だってそうです。この日は全体的に、とても曲に対する情感豊かな演奏が多く見られました。最後の Tomasino に範をみるように、すべての団が、曲に対してどうアプローチし、どのような表現をしたいかという欲求をみなぎらせて演奏にあたっていたのが印象的でした。
演奏には、流行り廃りと言うのが少なからず存在します。音楽のアプローチの仕方には様々なものがあり、その中でどの方法を取るかという取捨選択は演奏家に委ねられています。良いか悪いかは別として、その取捨選択の仕方が、その団の特色を生み出し、おもにその団の多寡、変遷が、その時代の流行を作り出しています。
あくまで主観ですが、随分と、無機的なアンサンブルがもてはやされていた時代が長かったように感じます。それ自体は決して悪いことではないと思います。均質的な音が生み出す和声の正確な表現や、倍音が生み出す次元拡大的な音響は、確かに魅力的なものではあります。しかし、そのためにどうしても、技術的にはフレージング、もっというと、「うた」が犠牲になってしまう場面が少なからずありました。そんな中にあって、最近、少しずつ「うた」が復権してきたように思います。そういうと感情的ですが、技術的には、モチーフやフレーズの扱い方という、無機的な表現が「縦」の表現であるなら、まさに「横」の表現が重要視されてきた、ということを意味します。
その音楽表現の変遷がいいか悪いか、それを決めるのは歴史にほかなりません。でも、どうしても、こんな時代だからこそ、私たちは歌を渇望しているのかもしれません(たしかこれ……信長貴富『くちびるに歌を』のまえがきにも書いてあったことかしら)。もちろん、あらゆる「うた」が、和声先行の「うた」だって、もちろんあっていいと思います。そんな切磋琢磨の中に、本質的な「音楽」が立ち上がってくる瞬間が現れるのだと思います。この日の演奏会は、これからの潮流に期待を寄せることの出来る、面白いラインナップだったように思いました。


いやー、しかしフィリピンはすごかった……笑