おおよそだいたい、合唱のこと。

ようこそお越し頂きました。
主に、管理人が参りました、合唱団の演奏会のロングレビューを掲載しております。
また、時折、気分に応じて、合唱如何関係なく、トピックスを記事にしています。
合唱ブログのつもりではないのに、気付いたら合唱ブログみたいなことになってきました。
やたら細かいレビューからノリツッコミまで、現状、合唱好きな方の暇つぶしには最適です。
ゆっくりしていってね!!!

2016年2月29日月曜日

【愛知教育大学混声合唱団第46回定期演奏会】

2016年2月28日(日)於 三井住友海上しらかわホール

読んでて思ったんですよ。
昨日さ、書きすぎた←
だって、あれ、5,500字くらい書いてるんですよ? アホちゃうかと笑 最近記事が長くなりすぎているという、良くないクセですね。書かなさすぎもダメなんですけど、書き過ぎもダメなんですよ、こういうの。
今日はそんなこともあってか、昼過ぎも昼過ぎ、課題曲発表始まって少し経った頃にようやく起きたくらいで、そのままラーメン作りつつ番組を見て、しらかわホールへ。今年のNコン課題曲については、いい意味でソツなくまとまった名曲揃いだなと思いました。ディナーミク的な意味で、小学校が少し難しいですかね? 高校は、ある意味で古典的な、しかし随所に技巧を求められる、そして詩もストレートかつ深い(去年のトラウマが……?笑)、よくまとまったいい作品だったように思います。
って、愛教混ですよ、愛教混笑

・ホールについて
さて、しらかわホールです。相変わらず、響きの美しいホールです。ちなみに、以前適当なこと書いていた独特な形の折りたたみ椅子なのですが、その所以はどうも響きにあるみたいです。どこで読んだんだったかな、それも、具体的に何がどうとかいうことはよくわかっていないのですが……椅子の隙間が出来ない分だけ、響きが隙間に逃げていかないのかな、などとこれまた適当なことを言ってみたりして……笑
そういえば、以前名古屋混声で書いた時もそうだったようなのですが、このホール、以前からひな壇が変わりました。材質が変わったのと、段の構造が典型的なものと異なり、箱馬で積み上げる様式で無く、段そのものの大きさが3種類あり、それを並べるだけで3段積み上がってしまうというアイディア。しかも最上段には手すり付き。使った感覚としては、台を嵩上げする噛ませがない分、足音が鳴りづらいように思います。入場時問題になる革靴の足音が軽減される分、ストレスも軽減されるかもしれません。あ、大丈夫です、ストンプはちゃんと鳴りますよ!笑

・エール
「愛知教育大学学生歌」

この曲以来、一貫して内声は響きを作らない、地声ともいえる自然な発声でした。少々後鳴りするような感じ、そして、フレーズの切れ方が少々ブツブツと切れてしまっているような感じこそあるものの、音楽全体を通してよくボリュームの通った充実したアンサンブルをしていたように思います。ただ、このグ◯ンツェに負けず劣らずキャッチーな学生歌、なぜか一時期、うちの団で流行ったんですよね……否いい曲なんだけど、何だったんだろう、アレ笑

第1ステージ
千原英喜・混声合唱組曲『あなたにあいたくて生まれてきた詩』
指揮:杉山和泉
ピアノ:篠田文菜

最近人気の同曲。実は聴くのは初めてでした。何かこう、千原先生のこういう曲って「なぜか」キワモノ感がするんですけれども(笑)、決してそんなことはなく、とてもキャッチーで明るく爽やかな、第1ステージに、そして、この合唱団にとても良く合っている曲でした。発声は、非常に軽く、その地声チックな雰囲気もまた、この曲にとってはこれでいいのかもしれません。いい曲だな、と思います。特に個人的に好きなのは3曲目「あげます」(谷川俊太郎・詩)。鈴とグロッケン(実際の編成では「所謂のど自慢の鐘」チューブラーベル)が奏でる雰囲気もおしゃれに、この曲独特の華やかさを出すにはちょうどいい声でもあったようにも思います。季節感こそ少し外れてはいるものの、それは仕方ないですね笑
1曲目「あなたに〜」(宗左近・詩)では、ヴォカリーズが少し気になりました。決して間違っているわけではないものの、どこか、表現的に必然性に欠けているような気がしました。言葉にない感情というとオカルトチックですけれども、ヴォカリーズの音程、そして和声のもつエネルギーというのを、千原先生はとても鮮やかに描き分ける作曲家です。6曲目「きりん」(天野忠・詩)でも「ダバダバ」が「ダバダバ」とカタカナのままに聞こえてしまってはジャズの雰囲気が落ちてしまうことからしても、それぞれのヴォカリーズにはなにかしらの意味を持っていると考えるべきでしょう。他にも、2曲目「雲は雲のままに流れ」(工藤直子・詩)では、クレッシェンドとデクレッシェンドの連続・通称「松葉」(「三善アクセント」もビックリの謎通称←)のが、ついているからつけた、というような表現に留まってしまったのは惜しいところ。そこに「松葉」がいないとおかしいよね、というくらいの必然性をうまく表現してみたいところです。

「只今より、舞台転換を行います」というアナウンス。うーん、ない演奏会に慣れすぎているだけなのか、しかし、このアナウンス、要るのかなぁ、と、どうしても思ってしまうところ……。

第2ステージ
大田桜子・混声合唱組曲『母の手』(星野富弘)
指揮:大矢真広
ピアノ:佐藤有紗

大田桜子さんといえば……Nコンですね!(今週末2度目)
再演の機会は決して多いわけではない、いわば発掘品。1曲目「たんぽぽ」をはじめとして、こちらもキレイなハーモニーで合わせてくるタイプの曲。しかしその中に、「いわし」のように諧謔的な曲もあったりして、表現の幅は意外と広い曲でもあります。そういう意味では、1ステと同系統で続いていた曲ということもあるだけに、もっと表現で遊んだ方が、ステージ全体としてもあまりダレなかったかもしれません。特に3曲目と4曲目「母の手(ばら・きく・なずな)」の間での落差をより出せると、より表現の幅を広げられたかも。しかし、それにしても、基本的には音程・ハーモニー・フレージングと、そつなくこなしているのが印象的でした。とはいえ、「木のように(老木)」の最後は、もっとしっかり歌い上げちゃってもよかったかなぁ……欲張り?笑

インタミ10分。短い! と思ったけれども、考えてみたら、次が仕込みや後片付けに時間のかかるステージだし、これでいいのかもしれませんね……笑

第3ステージ
演出付きステージ「Into the book」
演出:笹口滉平
原作:内藤和佳、近藤晴香
愛(arr. 佐藤有紗・他)「さくらんぼ」〈抜粋〉
Fukase(arr. 西村翼)「RPG」(Saori/Fukase)〈抜粋〉
上田真樹「僕が守る」(銀色夏生)

さて、プロたちの演出付きステージ。というのも、この大学、文字通り教育大学なので、特に初等科の子たちは、今後将来学芸会などで本職としていくであろう……という、文句のつけようもない、ただの余計なお世話ですね笑 ともあれ、この団の演出付きステージは、いつ見ても面白いんです。それでも、この団、過去2年ほど演出付きステージを封印していたそう。したがって、久々の演出付きステージ。しかし、そんなことは微塵も感じさせない素晴らしい演出付きステージでした。言葉もしっかり飛んできて、それで、力を抜くべきところではちゃんと力を抜いて演技が出来ている、そして、それぞれの歌もしっかりと練習されていて(あえていうなら、僕が守るは難しいのだなぁ、と笑)、加えて、笑わせるところではしっかり笑わせてくるこの感じ。しかも、その笑いも、無理に笑わせるのではなく、しっかり脚本の大筋の中に収まっているのがなおさら良いのです。少し展開が拙速なのは、演出付きステージあるある、ということで笑 とても面白く見せていただきました。しかし、笑いを取るネタが「ツムツム」……なんか、歳取ったなぁ……笑
ちなみに、どなたかは公開されていないのですが、演出ステージのBGMでピアノを弾いてらした方がめちゃめちゃうまかったです。いやぁ、贅沢なBGM。

再びインタミ10分。

第4ステージ・客演指揮者ステージ「Bob Chilcott Songbook Selection」
O Danny boy
Over the Wave
The Runner
The Skye Boat Song
Aka-Tonbo
The Lily and the Rose
指揮:友森美文(客演)
ピアノ:平松八江子(客演)

やっぱりさ、僕思うのよ。今年、絶対、「Danny Boy」の流行り年だって笑 CMでも、「ヒト・コミュニケーションズ」と「JR東海ツアーズ」で使われたりしてたし、今度だって、アレンジ違いだろうと、3本目ですよ、3本目。……うち1本は弊団なんですけれども、まぁ、それは、それということで笑
さて、メロディがしっかりしているのが、チルコットの歌モノの最大の特徴。ともすると、例えば、言葉の問題だったり、フレージングの問題だったりというのが、全くごまかせず、いざ失敗してしまうと全面に出てくるのがなかなか曲者だったりもします。逆に、うまくいったら、それはそれで自然に聞こえるだけなので、すげえ、と思わせるのも難しいんですけれどもね……苦笑
実際、この団は、フレージングの問題は特に無いんです。特に「赤とんぼ」なんかは、ヘタにイギリスの合唱団に歌わせるより上手ですよ、これ(当たり前?笑)。でも、他方で、1曲目「O Danny Boy」なんかに代表されるのは、言葉の問題。どうしても、カタカナに聞こえてしまうのが気になりました。もっとも、ヘタな母音を出してしまって音が篭もるのを防ぐという意味では、カタカナは「次善の策」とも言えなくもなかったりしますが……笑
曲としては特に、3曲目が面白い! チルコットというと、明るく豊かな響きのメロディが特徴的な曲が多いようなイメージがどうしても先行しますが、この曲では縦のリズムがすごく大事になってきます。今日は少し緊張気味だったかしら? 昨日と言っていることが逆行するようですが、自分たちが楽しんで歌うことで、こういった曲は、テンポがおのずと生きてくるような気がします。それでも、十分楽しく聴くことが出来ました。加えて、6曲目「The Lily and the Rose」のフォルテが今日イチ。発声の位置が変わらないままに自然にボリュームが増えていくのは、まさにお手本のようなフォルテ。あやかりたいものです。

団長挨拶。奇を衒わず、しっかりと実直に話されていたのが印象的でした。

・アンコール
大谷)森山至貴「春の天使」(みなづきみのり)
友森)新実徳英「母の手(ばら・きく・なずな)」(星野富弘)

弊団初演曲ですね。再演ありがとうございます!笑 最近雑誌付録で出版されたのですよね、そういえば。さすがに取り組んだ曲だけに、いろいろ言えることはあるにはあるのですが笑、とはいえ、この曲、学生団のアンコールにすると泣けてくるんだろうなというのは想像に難くないところです。友森アンコールは、星野富弘さんの詩からの連想。今日の『母の手』もよかったのですが、やはり『花に寄せて』も名曲ですね。この団に合うんですよね、この曲は、やはり――。

・ロビーコール
「ジェリコの戦い」
「夜のうた」
「ロマンチストの豚」

ある方と話していて、「テナーの豚の処理が上手い」(ブタ、とテナーが単独でリフレインするあの部分が上手という意味ですね笑)と表現したらなぜか大層ウケましたので、ひとまず掲載しておくことにします笑 あのホール、夜のうたが合いますねェ……って、ロビーか← めちゃ響くんですよあのロビー←

・まとめ
爽やかな演奏が印象的な、そして、どの曲もそつなくこなす、非常に優秀な演奏を見せてくれました。まさに学生団のお手本とでも言うべき温かさと親密さが、サブパンフや、果ては演奏からも感じ取ることが出来て、とてもあたたかい気持ちで聴くことが出来ました。プログラムとしては、最初から最後まで、強みを活かす選曲こそ出来ていたものの、同系統の曲が続いたこともあり、変化をつけるのが大変な構成。ともすると、もっと各曲の個性を豊かに曲を作っていったほうが、ステージ全体が締まるような気がしました。もちろん、プログラムに変化をつけるのもあり。
しかし、今年は今年、来年は来年、ですもんね。今年の団スローガンが「わ」だったとのこと。その言葉のままに歌う、これはこれで、全然悪くはなかったのだと思います。温かい気持ちにさせてくれる、とてもいい演奏会でした。

2016年2月28日日曜日

【混声合唱団愛知学院大学グリークラブ第51回演奏会】

2016年2月27日(土)於 熱田文化小劇場

なんか、久々に休日らしい休日を過ごしていたような気がします。
午前中は遅くに起きてまったりしつつ、午後の最初の方は、テキトーにパスタを茹でて、途中で思いついて「行列の出来る店」シリーズのアラビアータを温めて、それにタバスコかけて、日付切れそうな大根と豚肉の煮物(レトルト)をおかずに食べ、さらにそのままドリップでコーヒーを淹れて、しじみマドレーヌ(リアル)を食べながら、ああ、今日雨降るかなぁ、降るなら地下鉄で行くしか無いかなぁ、などと30分くらい悶々としつつ、テレビのグランパス初陣を見ていたらシモビッチの初ゴール&決勝点を華麗に見逃し(なんでサッカーってゴールに限って見逃すんでしょうね?)、時間になったので熱田文小へ。でも時間余ったので演奏会前に熱田神宮で柏手。そろそろこの運気鎮めてくださいませんか神様。

・ホールについて
以前もこのホールで演奏を聞いた様子をレビューしたことがありますね。……って、以前はミュージカルという相当な変わり種だったのでアレですが笑
このホール、ついこの前、リハーサルで行ったんですね。リハーサルということは、もちろんお客さんはゼロ。一般に、ホールは、お客さんが少なければ少ない程響きがいいという法則があります。つまり、人気公演であればある程、響きが悪くなるというジレンマを抱えているわけです。逆に、例えばリハーサルの場などという時は、めちゃめちゃ響く。それこそ、しらかわ以上の残響が鳴るんです。あっれー、このホールってこんなに響いたかなぁ? という疑問をいだきながら、今日、演奏を聞いてみる。お客さん8割。すると、全然響かない。このホール、どうも、お客さんが入ると途端に響きが悪くなるホールみたいですね。かたや、しらかわホールで歌っていた時は、お客さんが入ってもしっかり自然な残響が残っていた。そこがやはり、多目的ホールとしての性格を残す熱田文小の限界なのかな、とは思いました。あと、このホールは、鳴らない音も拾ってくれるようなホールではない。鳴らない音は徹底的に鳴らない。つまりは……?笑

・エール
Spohr, L「わが歌 - Das Lied」(三浦和夫・訳詞)
平井康三郎「愛知学院大学校歌」(小出有三・制定、折口信夫・詩)

ひとまずの印象としては、勢いに欠ける、というのが第一の印象。特にダスリートだとそれが目立つんですね。勢いがないために、ピッチが落ちて聴こえてくるのが、非常に残念でした。ただ、全体の音が整理されているのは好印象でした。しかし、愛学、もともとこんな音だったかなぁ……? もっとゴリゴリした音を鳴らしていたような笑

第1ステージ・副指揮者ステージ
松下耕「今、ここに」(伊藤玲子)
平吉毅州「ひとつの朝」(片岡輝)
久石譲(arr. 富澤裕)「旅立ちの時〜Asian Dream Song〜」(ドリアン助川)
信長貴富「夜明けから日暮れまで」(和合亮一)
指揮:大塚成将
ピアノ:吉田まつり

プログラム上では、2曲目と3曲目が逆順になっていたのは急な変更だったとして、なぜかプログラム解説では2曲目と3曲目の解説「だけ」入れ替わっていたという。なぜだ……笑 「今、ここに」や「夜明けから日暮れまで」など、声質によく似合った選曲。同時に、特にテーマはなさそうでしたが、どこかひとつの緩いテーマを感じさせ、かつ、シンプルながら深い音楽作りをする上でも十分歯ごたえのある、良い選曲。そういえば、「ひとつの朝」にかけて、Nコン課題曲発表ですね
「今、ここに」上述のように、発声的には非常に合っている選曲だが、内声がボリュームに対してもっと配慮のある音を出せると良かったか。……否、外声がもっと出すという意味での配慮、かな? なんにせよ、語尾ごとに旋律が切れる曲だけに、その語尾が逐一放り投げられる傾向にあったのは是正したい。「ひとつの朝」男声の出だしはもっと力強くありたい。曲中、「旅立ちは〜」の部分に求められるのもまた、結局、力強さ何だよなぁ。「旅立ちの時」例えばこういう曲では、丁寧さが逆にアダになったりもする。音は悪くないものの、なんだかよくわからないまま曲が終わってしまった。逆にテナーの第5音が最後ポーンと飛んできたのは浮いてしまったか。「夜明けから日暮れまで」最近に限らず、信長先生の作品は結構主従が動く作品が多い。そんな中で、詩的にも曲的にも、要点を掴みづらい演奏に鳴ってしまう感じ。キレイにできているからこそ言いたい、流すだけが音楽じゃない、と。

客席明転。4ステでもここで休憩か、と思ったら、そんなことは無く、直ちに開演前アナウンス、そして本ベル。……なんのための案内だったんだろう?

第2ステージ・正指揮者ステージ
木下牧子・混声合唱曲集『光と風をつれて』(工藤直子)
指揮:吉井優太
ピアノ:大本絢子

学生団に珍しく全員見譜。てっきり「けんぷ」だと思っていたら、青島広志先生が読売で「みんぷ」と読むべきだ、と主張し、でもどっちにしろ、そんな単語はそもそも辞書で出てこない。……つまるところこれ、「譜持ち」と言ってしまえば解決するんじゃ……←
「譜持ち」、賛否がわかれるんですけど、僕は嫌いではありません。実際今日の演奏でもそうなんですが、なんだかんだ、演奏は安定するんです。プロの演奏もそう。浅学を捻り出す限りでは、ついこの前横浜シンフォニエッタが暗譜演奏をやったくらいで、基本的にはオケの世界は見譜ですし(あ、そういえばこの時「見譜」って言葉がないと困るわ笑)。ただ、声楽だと、どうしても譜持ちで生じてしまう弊害がひとつ。持ち方が悪いと、どうしても姿勢が悪くなってしまう。今日見ていても、どうしても、腕だけあげていて猫背気味になってしまう子が見られました。逆に、超理想的な持ち方ができている子も。ここんところ、どうしても、個人の気付き次第なのだろうなと思いました。
って、譜持ちの話に割きすぎた笑
「いっしょに」約束された名演。この声に合わないはずがないんです。よく溶けたアンサンブルが、この曲の雰囲気をありのまま示していました。「秋のまんなかで」「おーい」の呼びかけがどうしても弱くなりがちな曲。1曲目とちゃんと切り替えなきゃいけないという意味で、割と難しい曲です。実際、この団も然り。加えて、音符が短いところでテンポを巻いてしまいがちになり、どうもチグハグな構造に。「雨」最初のピアノ(楽器的な意味で)のはじめ方がすごくいい! この曲は、ピアノが非常に大事な役割を持っていますね。アルトにもっとボリューム的な配慮を求めたい。しかし一方で、まだまだソプラノがピアノに負けてしまっている。雰囲気を取るか音量を取るか……否、そういう問題では無いはず。「あいたくて」、本日一本目……あ、もしかして選曲理由はそういうこと!? 流行りとかじゃなくて!?笑「それを手渡さなくちゃ」の前がしっかり聞こえてきたのが非常に好印象でした。「はじまり」出だしは非常に素晴らしい。アンサンブルの持ち味がよく出ていました。ただ一方で、六拍子に入ったあとのテンポが揃わないまま展開してしまいました。誰が合っている、とかそういう話ではなく、単純に「揃っていない」。拍がハマるだけで、もっと表現の幅が出てくるような気がする同曲。例えば、その後、三拍子に戻るという楽譜上の表現だけでも、そのことが言えるでしょう。
全体として、悪い演奏ではなかったように思います。何より、曲とアンサンブルの相性が非常に良かった。しかし、それに甘えること無く、より曲ごとの歌い分けを明白にすることが出来るとよりよかったか。とりとめないけれども、もっと自由に歌ってしまっても良かったような気がします。

インタミ15分。実は前半、最終ステージを振る神田先生を背にステージを聴いていたのでした……イヤイヤ、冷や汗だった……笑

第3ステージ・同声ステージ
女声
福山雅治(arr. Takahiro Iwase)「誕生日には真白な百合を」
梶浦由記(arr. Takahiro Iwase)「storia」
男声
谷村新司(arr. 西脇久夫)「いい日旅立ち」
米米CLUB(arr. 広田圭美)「浪漫飛行」
指揮:吉井優太
ピアノ:大本絢子

この団おなじみ。「混声合唱団グリークラブ」という、訳の分からない名前になっている理由は、ひとえに、嘗てこの団が男声合唱団だったことに由来します。混声への転換をしてもなお、今のところ、卒団生合同演奏は男声合唱。それもあってか、同声ステージはまだまだ大事な要素のひとつとなっているようです。今日は全曲ポップスで。そこんところ、ちょっと時代は変わりつつあるのかも。
「誕生日には」メゾの出だしをはじめとして、もっともっと聞こえてこないと、旋律を楽しめないか。全体として音の鳴り始めが遅かったことも含め、もっともっと積極的に歌いに行って欲しかった。「storia」「歴史秘話ヒストリア」のアレ、ということで笑 和声の中にメロディを見出すという意味で、とてもおもしろい曲ですよね。その再現はバッチリといったところ。ボリュームの問題については、よく出ていたとは思うものの、出だしの音はあくまでメゾピアノ程度であるという意識をもってくれるといいような気がします。一部の声が浮き立つという部分があって、非常に上手なのはよかったのですが、アンサンブルという意味では残念。でも、ボリュームはそれくらいに合わせとくべきかなあ。
「いい日旅立ち」この曲、男声に合うよなぁ……つくづく。女声よりボリュームはよく出ていたものの、トップはそれでももっと張ってくれていい。フレーズがわかりやすく鳴っているのがとても好印象。ただ、内声がやや無理する部分があったのは惜しいところ。真の意味で「惜しい」。「浪漫飛行」最初のテナーはもっと思い切って出さないと!笑 どことなくテナーとベースのテンションの温度差が気になるところ笑 ただそれ以上に、いったいどこか主旋律か見えないサビかなぁ。2番サビを超えたところで、全員が舞台前方へ出てきて歌う。この時、指揮者は振りながら歌っていたけれども、多分、10人あまりの人数だと、振らずに合わせたほうがアンサンブルも精緻になるし、トレーニングという意味でもそちらのほうが良いと思いました。楽しそうではあったんですが、自分が楽しいだけじゃ楽しい演奏って出来ないんだなぁ、とつくづく思いました。

明転。次は客演ステージだしすわ休k……「着替えのため、5分ほど休憩いたします」とアナウンス。普通の演奏会では入らないのですが――要る? このアナウンス。

第4ステージ・客演指揮者ステージ
相澤直人・混声合唱アルバム『なんとなく・青空』(工藤直子)
指揮:神田豊壽
ピアノ:吉田まつり

ピンクエコーも歌っていたというこの曲。このブログで初演を取り上げて以来、僕の中でグイグイ来てる同曲。名古屋でも流行の兆し。関係ないけど、この記事を見つけるために昔のブログ記事読み返したら、なんだか恥ずかしくなってきました(何
まずはピアニストが着席。誰も出てこないままステージ明転……と、奏でられる「あいたくて」の旋律に併せて団員の皆が仲良さげに出てくる。ちょっとこの演出、いいな、って思いました。この曲の世界観にも合っているようで。そんな中、指揮者の神田先生は某女声団員と腕を組んで……ってちょ、おま、そこかわれ!
そのままランダムオーダーではじまった「なんとなく・青空」。もうこの曲大好きすぎるので、この曲聞けただけでも評価はアマアマなんですが←、しかし、この団がもつ丁寧さをうまく曲に落とし込めていたように思います。しかし、最初の音量含め、この曲にしては少しおとなし目の設計。僕の印象が初演にあり、それが作曲家本人の指揮であるとはいえ、それはそれでありなのかも。「ひとりきりの心」の前で、女声前・男声後、低声中央・高声端という、あまり見ない特殊オーダーに並び替え。同曲の鍵は「縦」。語りの部分で縦がずれた点、またサビの部分でも、縦の音程が崩れてしまいました。後者の原因はたぶん内声。全体としては、もっと面白く歌ってもいいと思いました。なにせ、ほとんど全ての曲がおとなしく歌おうと思ったらそう歌えてしまうきょくですしね。「しゅっぱつ」この曲では、ソプラノがしっかり歌い上げたほうが、曲の空間が広がっていいのではないかと思います。その意味で、中間部はよく歌えていたのですが、前半はもっと効果的に鳴らせたような気がします。そうすることによって、自然に、中間部の表現もより精緻化されていくと思います。「メンテナンス」を前にSATBに並び替え。この曲は、何より中間部のテンポの早い部分が面白い曲。しかしこの部分で早くなったテンポに焦らないでしっかりメロディを歌えるかが肝。今回は、大事な歌詩が飛んでしまっていたような気がします。周りの鳴らしている音をしっかり確かめながら「私は現在進行形」をはじめとする、肝となる音に命を吹き込みたい。リズムで押し切るのはあまりに残念。最後の「あいたくて」の前には団員がふたり追加。さらに、客演したピアニストに神田先生の教え子がいるということで、オプションのピアノを付けての演奏。演奏は、何より、発声が、この曲のためにあるようにも思い、とても気持ちよく流れて行きました。入場時の演出も相まって、一種のリフレインのように「あいたくて/だれかに あいたくて/なにかに あいたくて/生まれてきた――/そんな気がするのだけれど」という言葉が、一種のリアリティを以て聞こえてきます。この旋律に、「あいたくて」――そんな気がして、揺蕩う音楽が心地よかったです。

・アンコール
相澤直人「ぜんぶ」(工藤直子)w/ pf.
指揮:神田豊壽
ピアノ:吉田まつり
信長貴富「歩くうた」(谷川俊太郎)
指揮:村瀬輝恭
畑中みどり「海とともに」
指揮:吉井優太
ピアノ:大本絢子

アンコールの前には、途中で出てきた団員の紹介(忙しくて練習に参加できなかったところ、最後だけでも、と乗ったのだそう。良い団だ)、さらには、新しく出来る名城エリアのキャンパスからの練習問題を紹介。いろいろ環境が変わる中、まずは、しっかりと歌いきった4年生を前に出してのアンコール。
神田先生アンコールは、もう、「なんとなく・青空」の段階で予想していました(ッて、初演も同じ流れだったんですね!笑)。このピアニストが、これまた上手いんだ!「ぜんぶ」のイントロのピアノを、あんなにも情感たっぷりに、溜めながらも、しかし音楽を動かしながら進めることが出来るという贅沢。最初のソロは4年生の歌いまわし。そして、tutti の合唱へ。どんなに予想されていた流れだったとしても、これほどまでにアンコールに合う合唱曲、そうないよな、と思います。大好きです。この曲。
2曲目アンコールの指揮者は、この団のチーフ技術アドバイザー。非常に久々にこの曲を聞いたように思います。一時期は食傷気味になっていた程なのですが……笑 この曲、多分、この演奏会の中で一番仕上がりがよかった。最初の音から、なんだ、この団、こういう声も出せるんじゃない! といった感じ。張った声だけれども、要所でしっかり音楽を仕掛けていける、面白いアンサンブルを聞かせてくれました。
3曲目は、調べた限りでは、3・11復興祈念ソングでしょうか? はじめて聞いた曲です。早い部分で言葉が――っていうのはいいとして笑、言葉のリフレインする箇所でしっかりと命のある言葉が返ってくるとより良かったなと思います。最後は卒団生たちが再び出てきてユニゾン。クールそうな男声2名が涙の熱唱を繰り広げているのが印象的でした。

・ロビーコール
木下牧子「どうしていつも」(まど・みちお)
グラナハム「いざたて戦人よ」(藤井泰一郎)
信長貴富「ほほえみ」(川崎洋)
木下牧子「鴎」(三好達治)

この団はロビーコールのタイミングで団長挨拶。なんだか言葉の選び方が面白かったです笑
「いざたて」以降は、ピッチパイプを間違えたこともあってか、どことなく調がバラバラだったような笑 否、それ以上に議論を呼びそうなのが、「ほほえみにはほほえみ」の部分で「ほーっ!ほーっ!えーっ!みーっ!」と完全にぶつ切りで歌い込んでいたこと。否、こういう言い方はアレかもしれんけど、正直、面白かった笑

・まとめ
なんだか、かつて鳴らすことこそ至上命題となっていたような団だけに、意外でした。でも、その意外さには、いい面もたくさんある。実際、この音が鳴らせるからこそ、『なんとなく・青空』が映えるわけだし、この音が鳴らせるからこそ、「いっしょに」も非常によくハマっていた。でも、この団は、音圧という、この団の魅力をなくしてしまう方向に動いてしまっている。いいこともある反面、それ自体は、とても惜しいことのように思います。音圧が全てとは言わない。でも、鳴らしたいところでちゃんと鳴らせるトレーニングというのは、今後共積んでおくべきだとは思います。しかし、オールマイティーにある程度なんでもこなせそうな雰囲気のある最近の愛学グリー。今後の演奏も楽しみな、未来に繋がる演奏会だったように思います。

そうこうしているうちに、すごい更新時間になってきました。こうして、久々にまったりしていた休日は過ぎて行くのでした……笑

2016年2月1日月曜日

【CANTUSNOVA CONCERT 2016】

2016年1月31日(日)於 名古屋市名東文化小劇場

寒中お見舞い申し上げます(都合により)
……っていっても、もう2月だしなぁ……笑
この年末年始、合宿に2回ほど行き、夜行バス・急行(ムーンライトながら)に7回ほど乗り、昼行バスに1回ほど乗り、飛行機には4回乗る予定だったのが往復2回に減り、その代わり釜山で足止めを喰らい、韓国で演奏する予定が千葉で演奏をすることに変わり……なんだか、テキストにするととてつもなく忙しい1ヶ月あまりを過ごしていました。おかげで疲れて風邪引いたり、「お礼参り(笑)」に行った神社では時間遅くて神殿の扉閉じられてて賽銭入れられないし、他トラブル発生で、なんだかもう、1年終わったんじゃないかという錯覚に囚われるレベルですね。はい、まだ年始です。
さて、そんな中、久々のレビュー記事です。皆様、記事の更新がない間もたびたびご覧いただきまして誠にありがとうございます。まず隗より始めよ、ということで、現在住んでいる名古屋(たびたび勘違いされるけど、名古屋)の団からスタートです。団員個人のポテンシャルが高く、この団だけに留まらず様々な場所で歌いつなぐ団員がとても多い中、団としては残念ながら団員数を減らしてしまっている団。嘗ては40人を覗く程度の人数がいたこの団が少人数団となってから何を表現しようとするのか――プログラムも、1ステに組曲、ほかは全てアラカルトという、ちょっと特殊な編成でした。

・ホールについて
このブログでもたびたび登場する「文小」です。キャパ約350席。以前は熱田文小について書きましたね。この文小、あくまで音楽のためだけに各地に建てられているわけではないので、実は、音楽専用ホールは熱田文小くらい。今回の名東文小はじめ、多くの文化小劇場は所謂多目的ホールとして建てられています(ちなみに、北文小は伝統芸能用ホール、千種文小は演劇向け円形劇場など、特色あるホールもしばしば)。このホールもご多分に漏れず、白い反響板と、控えめな残響がある意味特徴的な、非常にオーソドックスなホールです。よく言えば何にでも使えるホール、悪く言えば響きの悪いホール。響きの悪いホールを嫌う方って結構いらっしゃいますけど、僕は必ずしもそうは思いません。多目的ホールは多目的ホールで、独特の響きを持っています。特にこのホールは、とても素直な響き方。文化小劇場って、たまにワンワンと鳴る(犬じゃないよ)ホールもあるんですが、客席の奥行きも広いこのホールは、そういったいやらしさも無い。ベルの音も荘厳ですし、例えば僕は、こういうあまり響かないホールで三善晃や西村朗のような、早いパッセージを特徴とする作曲家の作品を聞きたくなったりするんです。要は、使い方なんだろうなと思います。

観客は大体100~200人といったところか。世知辛い。


指揮:川口昂彦、青木悠途*
ピアノ:後藤紗千、青木悠途**

・オープニング
江口斗「音楽のように」(谷川俊太郎)〈委嘱初演〉

まずは1曲。話によると、初演だそうです。なんでも、指揮の川口さんと大学団で同期で、その流れで、とか。作曲の江口さんは会社勤めの「日曜作曲家」とのこと。ハマるとすごくキレイに鳴りそうな、和声豊かな曲でした。でもだからこそ、もっと豊かな響きで――否違うな、もっと豊かな「音圧で」ガンガン鳴らして欲しかった。否、声は鳴らしているというのはなんとなく伝わってきたんだけれども、いまいち、ちゃんと「張れて」いなかった。特に高声がちゃんと旋律豊かに声を張るだけで、全然違ったんじゃないかなと思います。それだけで、和声にちゃんと輪郭を与えることができたんじゃないかと思います。

第1ステージ
木下牧子・混声合唱曲集『光と風をつれて』(工藤直子)

なんだかこの曲、最近また流行りつつあるみたいですね。愛知県中心、ですかね?
オープニングに引き続き、少し、全体的にまだ起きてないかな? と思わせるアンサンブルでした。例えば、言葉がより香ってくるように言葉を表現したい「いっしょに」、曲想に合わせた上品さを男声に欲しい「秋のまんなかで」、どこか減衰してしまうような感じのした「あいたくて」、そして、いっそのこともっとはっちゃけたかった「はじまり」など、課題は多岐にわたるような気がします。流すという意味ではよく音楽が流れていたとは思うのですが、この組曲が、組曲としてどのような含意を持つのか、思いだけで歌うことも出来ないとは思いますが、もっと思いを馳せてもよかったように思います。とはいえ、何気なく「雨」の独特の静謐な雰囲気をつくることのできるのは見事。

インタミ10分。今回のインタミは、突然預かったチケットを渡そうとする作業でした……笑

第2ステージ・CANTUSNOVA ALBUM
信長貴富「朝のリレー」(谷川俊太郎)*
名田綾子「祝日」(工藤直子)
大熊崇子「白」(立原道造
横山潤子「花と一緒」(ねじめ正一)
信長貴富「リフレイン」(覚和歌子)*,**

このステージのテンションで1ステをやってくれてもよかったのに……!笑 少しソプラノが薄いかな、という気がしないでもないのですが、1曲目からいいアンサンブルを聴くことが出来ました。「祝日」は、何かと無機質さが気になっていたベースが逆に活きるところ。器楽的な構成と、その構築に十分なパリッとしたベースがよく映えました。早い部分で言葉が散らなければ尚良い。子音のズレってやつでしょうね。「白」「花と一緒」は、サラッと流れていった印象。もっと表現の面で楔を残したかったところ。ただ一方で、所謂ミックスボイスを中心とした抜ける発声は、この曲に合っていたとは言えなくはないかも。ただ、特に「花と一緒」はテキストが面白い一曲(なにせ、ねじめ正一、ですからね)。よりパリッと鳴らしたほうが表現がおもしろい事になったと思います。一転、「リフレイン」の表現は白眉。逆に、思い全開の構成でしたが、逆にそれがいい。ちゃんと歌える人たちがちゃんと歌って歌モノを仕上げると、こういう風に聴き応えのある作品が仕上がるんですよね。感情移入も、大事な表現のうちの一つだと僕は思います。

インタミ10分。結局待ってた人、別のチケットで入ってるしさぁ……笑

第3ステージ・世界のヴォーカルアンサンブルより
松永ちづる「アカペラストリート」
John Lennon, Paul McCartney(arr. Bill Ives) "Ob-La-Di, Ob-La-Da"
arr. McGlynn, Michael "Danny Boy" (Frederic Weatherly)
Makaroff, Mia and Anna-Mari Kähärä "Butterfly" (Mia Makaroff)
宮沢和史(arr. 信長貴富)「島唄」

段々とパートが積み重なってくる構成の「アカペラストリート」、ベースを起点に、段々ストリートにアンサンブルが集まってくるようにしてステージが開幕。トライトーンや The King's Singers といった名門アンサンブルの代表的なナンバーをセレクト。ポップな中に重厚なハーモニーの鳴る曲が揃うと、この団は、それぞれがしっかりと歌い切る実力を十分に見せてくれます。特に、表掲の「アカペラストリート」、そして「Ob-La-Di, Ob-La-Da」、「Butterfly」といったリズムに特徴的な曲は特に見事。指揮者がいないほうがアンサンブルが自由になってこの団にとってはいいんじゃないかしら笑「Ob-La-Di, Ob-La-Da」や「Butterfly」では、特に楽器の多さが光りました。コーラスとしての出し方に留まらず、ヴォーカルとしての声や、金管楽器としての声の出し方など、さまざまな方法で音楽を表現していた様が聞いていてとても面白く、ワクワクさせてくれました。「Butterfly」は、メロディに対してよりコーラスがその雰囲気を受け継ぐことが出来るとよかったか。また、テンポの緩い曲は、「Danny Boy」然り「島唄」然り。「島唄」はクラスターの積みでも苦心の影が見られました。いずれも、伸びる音の中に音符を感じて、伸びた音の中で如何に表現するかをより磨くと、それだけで良くなるものがあるのではないかなと思いました。否なんにせよ、音楽の方向性に対して十分意欲は感じられたように思いました。


アンコール
佐藤賢太郎(Ken-P)「雪の思い出」

この団、冬に愛知県で行われた「コーラス・セントラル」に中心的に参加した人物も抱えているんですよね。これは、その時の1曲でもあります。さすが、嘗て歌ったことのある団員が多いだけに、十分な仕上がりでした。なにせテンポも、この団が得意とする、弾んだテンポですしね!笑
ただねぇ、僕もコーラス・セントラルの参加者でしたけれども……あの前説、曲、バレちゃいますよ笑 なんか、この曲かなって予感、しましたもん笑

ロビーコール
小林亜星(arr. 信長貴富)「積水ハウスの歌」(羽柴秀彦, arr. 一倉宏)
江口斗「音楽のように」(谷川俊太郎)
この曲の実演に触れたのは初めてな気がする……会場から出るのは遅れたから、全部は聞いていないんだけれども← しかしまぁ、いいアレンジで、しかも意外とロビーのほうが良く鳴るから(!?)、信長アレンジを粋まで楽しめるのですけれども、なんというか、CMソングだけに、そんな、積◯ハウスの宣伝されましても……となってしまう……笑 否、歌詩もいいんだけどもね。

最後は、「杯をー!」とカデンツで締めてくれました。毎回恒例だったそう。そういえば、最近この団聞いてなかったから、これも以前聞いたことあるとは思うのですが、久々でした。

・まとめ
前半は、割と不安を感じてしまうアンサンブルでしたが、後半、特に3ステに至っては非常に面白みを感じることの出来るアンサンブルでした。以前もどこかで書きましたが、少人数の団になると、どうしても団の方向性を定めるのに困難をみせるもの。どうしても、日本の組曲は、ある程度の人数を想定しているものが多いですからね。カントゥス(名古屋だと、この言い方でこの団を指します)は、その中で、アカペラアンサンブルという新しいジャンルを得るに至りました。アカペラというと、どうしてもアンプに繋いで、合唱とは切り離して、という風に考えがちな中、発声に裏打ちされたアンプラグドのアカペラというのは、ハーモニーが明瞭に聞き取れて、それでいて、しっかりと声を出してアンサンブルをするだけに、推進力のある、新鮮な面白さがあると思います。いつも言うこと、この団がこの方向性を続けるかどうかはわかりませんが、試みとしては、今後も是非、続けてみて欲しい一路線だと思いました。