おおよそだいたい、合唱のこと。

ようこそお越し頂きました。
主に、管理人が参りました、合唱団の演奏会のロングレビューを掲載しております。
また、時折、気分に応じて、合唱如何関係なく、トピックスを記事にしています。
合唱ブログのつもりではないのに、気付いたら合唱ブログみたいなことになってきました。
やたら細かいレビューからノリツッコミまで、現状、合唱好きな方の暇つぶしには最適です。
ゆっくりしていってね!!!

2015年2月1日日曜日

【大久保混声合唱団 淀川混声合唱団 ジョイントコンサート 大阪公演】

2015年2月1日(日) 於 いたみホール

チャリで行った。

さて、チラシ挟み込みを含め、2週連続での「出勤」でした。
本日は伊東先生関連の演奏会、それも弊団団員もオンステしているとあり、弊団団員も聞きに来ていたわけですが、わたべが弊団のチラシ込みをしているとは認知されていなかった模様笑 別の団(そんなのないけど←)のチラシ込みだと思われていた模様ですw
ともあれ、めげずに演奏会です。なにせ、全国クラスの団が2つも揃ってる演奏会ですからね。兵庫アンコン(宝塚ベガホール)と若干食い合ったようですが、注目の演奏会のひとつです。実際注目されすぎて、「紡」さんはチラシを、言われていた数の2倍超持って来ていました
上の事情から、珍しくぼっちではなかったので、今日はメモが取りづらかったです笑 とはいえ、バッカスもぼっちじゃなかったけど 9,000字近く書いてたし、これ行けるんちゃう……?(最近実は御託含め字数がインフレしているという噂)

・演奏会について
幹事はよどこん。タイトルのごとく、東京でもあったジョイントコンサートの関西公演です。ちなみに、一般ジョイントのタグが付くのは、このジョイントで2つめ。意外。
大久保混声合唱団淀川混声合唱団も、もはや説明の必要のないくらいにその名前が知られた合唱団です。どちらも豊かなコンクール受賞経験をもち、今もその実力を全国に知らしめている合唱団です。大久保混声合唱団は創立50年を超える団。辻正行先生のもとで活動をはじめ、今は田中豊輝先生が指揮をしています。コンクールの他、高田三郎先生作品のレコーディングでも著名です。ちなみに、ホンモノのアイドルが在団中。淀川混声合唱団は、大久保混声と比べたらまだ若い団。30年ほどの歴史の中で、伊東恵司先生指揮のもとで、「コーラスめっせ」を主催するなど、関西における精力的な活動が光ります。
わたべが所属している団の関係もあり、よどこんについては色々わかるところが多いものの、大久保混声が関西・名古屋で聞けるのは稀。貴重な機会です。

・ホールについて
2週連続の人もいれば、なんと、2日連続の人もいた模様。罪づくりなホールです笑 4回目。多分この2年間でこのホールに行っている回数が一番多い。
別にこのブログのためというわけでもなく、何か新しいことを見つけたいなと思って普段からホールとその周辺を観察するのですが、今回は商店街について。
1週間前のポストで、震災関係のお話はしましたが、その駅から今や少し南側に位置する伊丹のメイン商店街が、シャッター商店街まっしぐらなのが大変気になりました。話によると、どうも、JR伊丹駅側にイオンがあるのが影響しているようです。人の動線が変わった様子。商店街の中にも新し目のマンションなどもあり、駅から近くてそこそこ便利なのですが、商店街の中だけでなく阪急駅前にも震災後に出来た(多分)関西スーパーが食い合っているのもあるのでしょうか。商店街には、昔から残っている八百屋や肉屋、花屋などが数件、魚屋に関してはぱっと見では見当たりませんでした。時代の流れと言えばそれまでなのかもしれませんし、そもそも1995年(阪神大震災)・2005年(JR福知山線脱線事故)でそれぞれ動線が大きく変わっている都市なので、一概には言い切れませんけれども、なんともやるせない。
段々と空きテナントをチェーン店が埋める中、お昼は「カレー屋SPICE工房」店舗でカレー。プレーンカレーでしたし、若干満腹感も残っていたため少し食べきるのが辛いかなと思いましたが、付け合せで出ていた玉ねぎのピクルスが美味しかった。伊丹駅周辺の、おだやかな昼のひととき。
そういえば今はスタバでMacドヤしながら(りんご部分には「モヤモヤさまぁ~ず2」のシールが貼ってある)書いているのですが、チラシ込み前にはミスタードーナツでカフェオレおかわりしながら合計3杯。すべて砂糖入り。今飲んでいるのが、わたべ無敵の召喚呪文「アイスダブルトールホワイトモカ」。これで合計1リットルくらいオレやらモカやら飲んでることになるのか……(滝汗

今日の演奏会、アナウンサーがいませんでした。経験上、5分前アナウンスとインタミ入りアナウンス、終演案内は入れることがほとんどなので、割と不思議な感覚でした。
伊東先生、指揮者としてステージに登場するときは、前説でも全く見ないのにパンフレットをステージに持参。譜面台に、表紙をオモテにして載せて一礼。まるで演奏会全体の絵巻の始まりのように、アピールし続ける今日のパンフレットの青表紙。うーん、力入ってるなぁ笑

第1ステージ:淀川混声合唱団
松下耕・無伴奏混声合唱のための『うたおり』(みなづきみのり)より
「尾花」
「薔薇」
「戦場」
「夕餉」
指揮:伊東恵司

混声版出てたのかよ!金城の感動して女声譜買っちまってるじゃねぇか!← 「夕餉」がたまんなく好きなので、そこんところたまんないくらいにアピールしておこうと思います。
さすがの実力というべきか、1曲目では少し声が乗っていなかったような気がしますが、「薔薇」の目の覚めるような tutti からは、圧巻のサウンドを見せてくれました。もう、毎年ここで演奏されてますからね。慣れてるってもんでしょう笑 本当に、「薔薇」の出来は良かったと思います。よどこんって、なんとなく、薄めに音をあわせて縦に揃えたときのボリュームで聴かせる印象が音源からも強かったんですが、そんなことはなかった。きっと、それは過去の話であるか、池田アゼリアとの相性が悪かっただけだ(でも確かこのレビューではべた褒めしたた気がする←)
もちろん、縦も良く揃っている。なって欲しいところでバッチリ倍音が響く。この響き。関西の合唱聴いているなぁという感じがすごくする。いい意味で。さすが、関西の混声合唱界で頂点を争うだけはあります。
ただ一点、どうしても気になるのは歌詩。もちろん並の団よりは全く素晴らしいんですが、どうしても、平板に聞こえてしまう。特に、「夕餉」におえる「あなたがいて」の「あ」がちゃんと飛んでこなかったのは致命的。また、歌詩が飛んでこないことは旋律にもよく顕れています。こういう日本語によるメロディがしっかりした曲だと、ちゃんと日本語の音程(文頭から文尾に向けて音が下がり、卓立する点では音量を上げるか音程を上げる、高低アクセント)にあわせて作曲されています。すると、暗黙の了解で、それに合わせて強弱をつけるように決められています。楽曲理論上も似たようなことが言えて、超大雑把に言えば、2小説ごとにクレシェンドとデクレシェンドの波が来る。それが、どうにも弱いような、テキストがテキストとして飛んでこないのがとても気になりました。よく言えば特徴、悪く言えば弱点――考えていくべき点のような気がします。

第2ステージ:大久保混声合唱団
千原英喜・混声合唱のための『ラプソディー・イン・チカマツ』[近松門左衛門狂想]
指揮:田中豊輝

もうワックワクしてましたが、関西と関東の違いかくたるや、というのを、まざまざと感じることの出来る演奏でした。何が違うって、音楽の作り方が違う。なんとなしに、感じてるだけなんですけどね。
言葉を聞かせようとする努力が素晴らしい演奏でした。よどこんと対称的に、例えば男声特にテナーが人数制約もあって音が薄かったり、極端には、これは本当にハモってるのか?とすら少し思われるような部分があったりもしましたが、逆に、表現力という意味においては、圧倒的な実力を見せつけてくれました。指揮の僅かな振りにバッチリ音が反応するその機動性、まさに、表現的な意味で音楽をしようとする姿勢がすごく伝わってくる演奏です。顔にも、表現に対する気迫が伝わってきます。とはいえいろんな顔があるので、別に顔を何か指示しているわけではないのでしょう。
文字通り、歌っている。久々に、「上手な歌」を聴くことの出来たような気分です。そして何より、この曲の最大の特徴である、掛け声が最高に素晴らしい! なにか鈴の頭の部分が吹っ飛ぶアクシデントもありましたが、その直後の「キエエエエエエエエエエエッ!」の一声がすべて持ち去っていくそのインパクト! 一つの戯作、あるいは物語をお腹いっぱい見せてもらうことができました。

インタミ10分。10分とわかったのは、この時だけアナウンスがあったから。アナウンスはその場で緊急に入ったような印象。実はこのホール、時計は大きいものの、多くのホールで時計の下にあるような休憩時間表示場所がないんですね。今日のインタミは、プログラムが軽めだったこともあり、まぁまぁ納得の長さです。
あ、念のため言うと、インタミ=休憩、って意味ですからね。Intermission の略語です。この英語自体は、なんてことなしに、名フィルも使っている普通の言葉です。どうも僕の周りの合唱界隈では、名古屋だとまったく馴染みなく、関東や関西の文化に一度でも染まったことがあると、何故か自然に馴染んでいる様子。一体何が原因かは不明。

第3ステージ:淀川混声合唱団
アラカルトステージ「世界の愛の歌」
Héctor Steamponi“El Último Café”(Cátulo Castillo)
インドネシア民謡(arr. Ivan Yohan)“Soleram”
南アフリカ民謡(arr. Rudolf de Beer)“Fiela”
アメリカ民謡(arr. James Erb)“Shenandoah”

淀川混声合唱団の名ピッチャー(ピッチパイプ吹く人)・北川昇先生のカホン演奏に楽しく始まったこのステージ。世界の愛の歌から4曲。南米アルゼンチン、インドネシア、南アフリカ・ツワナ、アメリカ・ヴァージニアと世界を周ります。あえて言いましょう。ヨーロッパが欲しかった、と笑
1曲目はフリオ・オーサの歌で人気になったというタンゴ。楽しく歌う割に失恋ソングという取り合わせ。Soleram は踊りの音楽が子守唄に変化した曲。Fiela はテンペストも取り上げた曲に打楽器アレンジを加えてより盛大に、結婚式を囃子の音楽で祝福。Shenandoah は有名な曲でしょうか、舟歌が発端の曲です。「愛」をテーマに4曲ということで、このタイトル、弊団演奏会でも見たような、との声が笑
演奏面で気になるのはやはり言葉の問題。確かに中には日本人にはサッパリ伝わらない言葉もあるのは致し方ないとして、やはりその国の言葉の強勢や子音が作り出すリズムを守って曲が書かれていることを考えると、極端な話、もっと子音をたてるだけで音楽が締まるような気がします。言葉のとっかかりがないためか、非常にあっさり終わった印象。前半が軽くインタミも短かったためか、ここまでの演奏会、本当に風のようにあっという間に過ぎ去っている印象が強いです。とてもキレイで美しい音が聞けていただけに、ちょっと残念。もっと堪能したいです。
ところで、この演奏に限った話でもないですが、日本人が英語で‘/l/’と‘/r/’を発音し分けることは永遠に不可能なのでしょうか……特に‘/r/’で、日本人的なサウンドが出てくるのはご法度です。口蓋に舌をつけないのが正しいんですって。つまり、「ラ」行のイメージそのものを‘/r/’から捨てなければならないということ。……道程は長そうだ笑

伊東先生と田中先生、さらにゲストで土田豊貴先生が出てきて前説。演奏前だからか、田中先生が饒舌にその場を取り仕切ります。まるで誰が関西人なのかわかったものではありません笑
田中先生「土田先生を初めて見られた方は必ずこういうでしょう――背が高い、と」。はい、確かに、背、高っ、とつぶやいておりました笑 みなづきみのり先生が、自分の書いた詩で演奏することへの感想をきかれて「素直に嬉しい」と答え、さらに、土田豊貴先生のパンフレット解説が難しい(技術論について割合細かく書かれており、必見)だとか、最近5曲(「ひとり」「どうして?」「ゆうひがしずむ」「始まりと終わり」「ふたたび、さよなら」)の組曲は珍しいのではないかとか、そんな話が繰り広げられました。全14連作からなる詩から織りなされる物語、そこから抜粋して5曲にまとめあげたものです。
ちなみに、伊東先生が東京で振ったということで、田中先生が指揮。伊東先生は合唱団へ……何故かベース!?(伊東先生はセカンドテナーが本拠)

第4ステージ:合同演奏
土田豊貴・混声合唱とピアノのための『さびしい魚のおはなし』(みなづきみのり)〈共同委嘱・関西初演〉
指揮:田中豊輝
ピアノ:川井敬子

読んで字の如く、さびしい魚のおはなし。考えに考えを重ねた魚が、別れを通してさびしいという感情に気づき、それを考えて、考えに考えを重ねていたところに様々なことが氷解、ついに別れたはずの伴侶との逢瀬、しずかな月夜へ帰結していきます。
メロディに、そしてハーモニーに美しい、聞いている側は本当に感動できるのに、総合力の求められる曲。でも、そう、感動できたんです。すごくいい曲。特に、3番「ゆうひがしずむ」が、5番「ふたたび、さよなら」が、大好き。3番はアカペラですが、解説のごとく、とても秀逸な和声進行で、やさしく壮大に歌い上げ、5番では、2匹の、2匹っきりの、それでもとても壮大で甘美な愛の物語を堂々と歌い上げ、月夜への帰結へ向けて音楽は再び静まります。全体的に、歌詩の強勢とハーモニーの厚みが重なっているため、とても言葉が飛んでくる一方、とても構築的なつくりをしているため、音の鳴り方も超一級のサウンドです。
そして何より、ハーモニーと言葉、それぞれ違う強みをもった合唱団がひとつに重なり、完ぺきなサウンドを響かせていました。ジョイントとは思えない音の響き、機動性、そしてあらゆる表現力。まさに比較優位、あるいは相乗効果。言葉をして語り尽くせないほど、音が雄弁に音楽を語っていました。言葉を飛ばし、かつ、ハーモニーをして世界観をしらしめる、聞きたかった音です。少々長い曲群ですが、それも全く飽きることがありません。静かに終わった曲に、静かに、しかし段々大きくなっていく拍手。その気持ちよさが、演奏の成功を物語るのでした。

・アンコール:合同演奏
よどこんのいついかなる曲でもピッチャーを務め上げ第4ステージはおろかこの曲までもソロを取り更に第3ステージでは打楽器系の演奏に参入しまくった今日最大の功労者「ここからはじまる」(みなづきみのり)
もはや、愛唱曲ですね。作曲家がソロを執るという貴重な瞬間を目にすることが出来ました。しかし、こうも上手い団だと、指揮者によって表現がガラッと代わりますね。割と4ステは言葉中心によっていたのかもしれないと思わされる、あっさりとしたアンコールの演奏。しかし、それが、よどこんにも在団する北川昇音楽の魅力を引き出すことにも繋がります。他方、「聞こえる〜」以降の壮大な音量は圧巻。本当、この部分大好きなんですよ!

そのままロビーコールはなく、終演。ロビーがさすがにそこまで広くはないですからね。ちなみに、団員歓談はありました。一応知り合いが若干名いましたが、なぜかコミュ障発揮してました←

・まとめ
とても良かった!間違いなく、形こそ違えど、日本トップクラスの演奏をするアマチュア合唱団の、音が良ければ最高の音を返すホールでの演奏だけあって、十分音楽に酔いしれることができました。何より、その主義の違いが、ジョイントにおいては素晴らしいマッチをみせ、最高の音を返していたのは、まさに僥倖であります。
他方、一つだけ。その最高の演奏を、もっともっと堪能したかった!つまり何が言いたいか、プログラムが短いッ!特に前半が聞き手にとって軽い曲だったこともあり、第3ステージでアラカルトがあるだけだと、むしろアラカルトが箸休めというより、完全に休憩の延長になってしまいました。料亭で(行ったことないけど←)先付が下げられさぁ椀物と思ったら色々すっ飛ばして向付が出てきたようなあっさり感。大久保混声にもう1ステージ持ってもらうなり、合同曲をもう1つ増やすなり、やれることはもう少しあったような気がしてなりません。とはいえ、この文句、何に立脚するかといえば、ひとえに、この演奏会がとても充実したものだったところによります。充実したあの和音、あの旋律、聴くことが出来て幸せでした。

・ところで
カラオケ行きたい。

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