おおよそだいたい、合唱のこと。

ようこそお越し頂きました。
主に、管理人が参りました、合唱団の演奏会のロングレビューを掲載しております。
また、時折、気分に応じて、合唱如何関係なく、トピックスを記事にしています。
合唱ブログのつもりではないのに、気付いたら合唱ブログみたいなことになってきました。
やたら細かいレビューからノリツッコミまで、現状、合唱好きな方の暇つぶしには最適です。
ゆっくりしていってね!!!

2014年3月27日木曜日

【金城学院グリークラブ第35回定期演奏会】

2014年3月26日(水) 於 愛知県芸術劇場コンサートホール

 春は別れの季節です。なんていうとしんみりしちゃいますが、愛知県の中高学生合唱団の定期演奏会は、そんなシーズンに行われます。学校を卒業して、最後に卒業するのが、古巣の合唱団。もしかしたら、学校以上に、思い入れの深いものと、最後にお別れするのかもしれません。3年生たちが金城の制服を着るのは、今日が最後だったのでしょうか。
 そんなわけで、しばし愛知県へ引き篭もっているわたべは、金城学院グリーの演奏会を思いつきで聞いてきたのでした。三河の女声合唱団といったら光ヶ丘女子高等学校系列なら、尾張は金城学院、というイメージが強いです。特に中学グリー、および大学は、たびたび全日本合唱コンクール全国大会へ出場する、強豪の一角です。
 なお、出演団体は、中学グリー、高校グリー、大学グリー、そして、OGグリー(!?)のエシュコルでした。エシュコルと大学グリーは兼団している方も多かったようです。

・ホールについて

 大阪での演奏会のレビューが多かったため、このホールは初めてですね。そういえばしらかわホールも出ていない。
 名古屋フィルハーモニー交響楽団の主戦場でもある、名古屋でもっとも大きい、シューボックス型コンサートホールです。大きいホールというと、他に、グランドオペラ対応の、愛知県芸術劇場大ホールや、最近普門館に取って代わって吹奏楽の朝日コンクールが開かれている、名古屋国際会議場センチュリーホールなどがありますが、クラシックの演奏会用のホールとしては、このホールが音響良好なホールです。愛知県芸術劇場は、バブル期に建てられたため(!?)豊かな内装と大胆な吹き抜けの意匠に、大ホール、コンサートホール、県立美術館(付ギャラリー)に資料室などが入っています。
 コンサートホールは、響きが不十分だと言われることがありますが、響きの広がりがとても優秀なホールです。スウェーデン放送合唱団が来日した時は、3階で聞きましたが、それでも十分な声が飛んできました。名フィルの主催公演では、3階席の最後列正面がY席として販売されますが、そこでも十分劣化していない音響で音楽を楽しむことが出来ます。日本で二番目に贅沢なユース券だと思ってる(一番はシュッツ←)。合唱が鳴らすのは少しむずかしいイメージが、過去の演奏経験からもありますが、名演をちゃんと育ててくれる、ある意味、試されるホールです。残念な点があるとすれば、響き的にはいいのですが、天井のシルクカーテンのような意匠がコンクリな点でしょうか笑
 ちなみに今日のピアノはヤマハCFシリーズでした。

・校歌(中学・高校ジョイント)

 なにより、頭のユニゾンで、もう満足! 最初の音を聞いた瞬間に、演奏会の成功を確信しました。それくらい、素晴らしい音を一瞬で聴くことが出来ました。上手い合唱団は、内声もさながら、ユニゾンは抜群に上手いんですね。逆に、ユニゾンが上手いと思わせるような演奏をする団は、もう、コンクール上位クラスですね。もっとも、後付感は否めませんが笑
 慣れもあり、心地よい演奏でした。大学グリーもそうですが、若干アルトが押す感じもありましたが、ケースバイケースです(後述)。澄んだハーモニーはさすがの一言。ユニゾンだけでなく、ハーモニーも上手い。大学グリーのジョイントでも聴きましたが、人数多いと、より映える曲ですね。

司会は、金城学院高校放送部の子。放送部アナウンス出身者としては色々言いたいこともあるにはありますが、1000人以上の観客を前に、よく頑張りました。ただ、是非今度は、クリップボードでも用意して差し上げてください、喋りづらそうでした苦笑

指揮:小原恒久(1,3,5,6)、宮木令子(2)
ピアノ:森貴美子、柳河瀬貴子
編曲、ドラム:小林啓一(4)
ベース:高島基明(4)
キーボード:吉川純子(4)

ピアノのステージ配分については、正確な情報を失念しております。情報ください!

・第1ステージ(中学・高校ジョイント)
鈴木憲夫『マザー・テレサ 愛のことば』(マザー・テレサの言葉による・詩)

 素晴らしい!祈りの思いとハーモニーが身につまされる、名演。先述の、このホールの残響を余すことなく活かしきる音作りの素晴らしさ。なにか、クリスチャンの信仰心の源泉すら理解出来てしまうような名演でした。ミッション系のグリーはこれだから、たまらない。
 曲としても、鈴木憲夫先生の作品の中では『祈祷天頌』(名大医混)の演奏が一番記憶に残っているというわたべの中で、イメージを塗り替えられる衝撃でした。それぞれの言葉の中に篭められたマザー・テレサの思いを音にするのは、シンプルな言葉だからこそ難しい作業であっただろうと思いますが、最低限の音のみを使い、シンプルに、透き通ったハーモニーで、的確に言葉を音にした名作だと思います。なかでも「主よ、今日一日」の絶唱は、本当に美しかった!普段の生活の中で、あるいは、ミサなど宗教活動としての演奏の中で、十分言葉の意味を吟味しているのでしょう。よどみなく、澄んだ声は、作品と呼ぶ以上のものだったように感じています。
 技術的な面でいうと、"Kyrie"の'y'や"Gloria"の'l'が、典型的なカタカナ発音だったように思います。難しいんですけれどもね、上に行くには、クリアしておくべき課題かと思います。……メモにも、それくらいしか書いてないんですけどね、この曲については。泣きそうになっちゃいました。

・第2ステージ(エシュコル
シューマン『6つのロマンス』第1集、第2集より
Op.91 Nr.3 "Der Wassermann"(Kerner)
Op.69 Nr.6 "Die Capelle"(Uhland)
Op.91 Nr.6 "In Meeres Mitten"(Rückert)

 OG合唱団、エシュコル。コンクールで普段、一般部門(旧B部門クラス)で歌っていると、常々部門が違うものの、妙な強さを持っている団というイメージが非常に強い団です笑 まともに演奏を聞かせていただくのは、はじめてです。
 嘗てのグリーでの鍛錬の成果をよく活かした快演でした。もちろん人数の面では中高グリーには劣る面がありますが、しっかりハーモニーを聞かせてくれたように感じます。ただ、最後の曲の三和音が外れてしまったのが本当に惜しい。加えて、高音から入る時にソプラノが若干ずれるのがマイナスか。それにしても、ドイツ歌曲の魅力を十分堪能出来ました。この時代の曲、混声だと少ない気がするのですが、気のせいでしょうか。「流浪の民」はともかく。
 ところで、一曲目(「水の精」)、どこかで聞いた気がしてならないんですよねぇ。もちろん、どこでも聞けるような名作ではあるのですが。身の回りの資料を色々あたりつけても見つからない。唯一のヒントは、2008年の全日本課題曲であるということ。でも、その時期わたべは合唱をやっていない。うーん?

・第3ステージ
木下牧子合唱曲集
中学・高校合同「44わのべにすずめ」(ダニエル・ハムルス・詩、羽仁協子・訳)
高校「棗のうた」(『絵の中の季節』より、岸田矜子・詩)
高校「あけぼの」(無伴奏混声合唱のための『春二題』より、島崎藤村・詩)
中学「春は来ぬ」(同上)
中学「草に寝て…」(女声合唱組曲『暁と夕の詩』より、立原道造・詩)
中学・高校合同「鴎」(三好達治・詩)

 今年のコンクール自由曲は、木下牧子先生の曲で揃えたとのこと。夏には先生を招いてのレッスンもあったそうです。いってみれば、コンクール報告演奏ステージですね。「べにすずめ」小原先生曰く、普段の教室の様子を思い出す曲とのこと。縦のハーモニーに良い演奏だったからこそ、一瞬のリズムのズレが気になってしまいます。特に、テンション上がるにつれて、ズレが目立ってしまいました。「棗のうた」要所を抑えた快演。「あけぼの」クラスターの、少し外声が浮いたように聞こえました。とはいえ、基本的な事柄は十分。曲想は十分出ていたように思います。「春は来ぬ」ソプラノのオブリガードが絶品でした。最後の低声部が惜しいと、現場でのメモには辛口コメント。「草に寝て…」'n'の詰まりの時間が少し短かったか。細かいことは楽譜見ないとなんとも言えませんが。また、'i'が'e'っぽいのが顕著に目立った演奏だったようです。下降して和声をつくる低声が若干淡白だったかもしれません。より質感を持った音作りをしたいところです。メロディは見事。「鴎」混声が羨ましかった、と小原先生。楽譜が出て、ようやく演奏がかないました。2番のメゾが少し弱かったかもしれません。しかし、女声版、よい!いい演奏でした。混声版もそうですが、3番の入りの和声は、芸術ですね。

インタミ15分。適切です。特に、幕間の転換が早かったので、その意味でも、さくさく進んだので、休憩少なめも納得です。

・第4ステージ(中学3年・高校ジョイント)
「ジブリの世界〜いのち〜」(arr. 小林啓一)
久石譲「風のとおり道」(宮﨑駿・詩)
久石譲「いのちの名前」(覚和歌子・詩)
紅龍「いつでも誰かが」
Amanda McBroom「愛は花、君はその種子」(McBroom・詩、高畑勲・日本語詩)
二階堂和美「いのちの記憶」

 お楽しみ、ジブリステージ。小林啓一先生の、各曲を再解釈した独創的なアレンジが光りました。生音とシンセの合流の仕方にあざとさがなく、少しジャジーに自然に編成としてまとまっていたように思います。特に、「いつでも誰かが」のアレンジは絶品。編成との相性もよかった。中高生らしい、可愛らしい振りもついていて、楽しい演奏でした。言葉の滑りなどが気になるところはありましたが、まぁ、お楽しみですので笑 何より、ドラムにアンプからベースとシンセの音が結構なボリュームで流れてくる中、パーカッションまで加わったり、その中でよくぞ気丈に声を張り続けてくださいました!笑

・第5ステージ(大学グリー
松下耕『うたおり』(みなづきみのり・詩)より
「薔薇」
「崖」
「戦場」
「夕餉」

 と同じプログラムです。その後、コンクール全国大会進出がありましたので、いわば報告演奏、凱旋公演と相成りました。
 さすが、全国大会を踏むと、一気に成長しますね!嘗て物足りなさもあった、2曲目、3曲目の刺さるような音が特に、夏より洗練されていたように感じます。夏の演奏の際には、ところどころ声の出だしにズレが出ている、と書いてありましたが、今般の演奏は、決してそんなことがありませんでした。首尾一貫と、しっかりと糸の通った演奏。何より、この演奏会の中で、もっとも、「聴かせる」演奏として仕上がっていたように思います。ステージマナーを含め、よい意味で慣れを感じさせる、堂々とした演奏!
 しかし、「夕餉」、いい曲だなぁ……笑 欲を言えば、全曲聞きたかったです笑

・第6ステージ(合同ステージ)
新実徳英『つぶてソング』第1集(和合亮一・詩)

 ステージいっぱいに広がって、本日出演の全メンバーによる演奏。同じ出自、同じ小原先生の指導を受けた人たちとはいえ、それぞれの世代によってすこしずつ得手不得手があるところ、それを上手く補い合う格好になりました。文句の付けようのない名演。あくまで技術的な面では役不足感すらある、堂々たる演奏でした。
 技術的なこと以外で言うと、主に中高生を中心とする世代の子達がこの曲を歌うことについての意味に考えを巡らせていました。合唱を普段からやっていらっしゃる方だと、このへんの事情は詳しいかと思いますが、この曲は、和合亮一先生が震災直後に故郷・福島を思ってTwitterに書き連ねていたものに新実先生がはじめ歌曲として作曲したものです。2011年東混いずみ定演を皮切りに、合唱での演奏も実現されるようになりました。彼女たちは、まさに、震災を青春時代に目の当たりにした世代。その世代が、震災と同じ時代に、この曲に出会って成長することに、幾許か、意味があるような気がしてなりません。

・アンコール
youth case「ふるさと」(小山薫堂・詩、arr. 小林啓一)with Pf., Drums, Bass

 昨年の小学校課題曲を、小林啓一先生によるアレンジで。伸びやかな声によって演奏される主旋律と、邪魔をしない程度の推進力のあるドラムが、本当によく合っていた!いわば、「つぶてソング」の一つの答えのようにして演奏された曲としても、とても感動できる歌声でした。

 最後は、小原先生が、一学年ずつ紹介して終わり。各学年に対する視線が、まさに、先生、といった感じでした。いい先生だなぁ。

・ロビーコール
Kiroro「未来」a capella

編曲者が誰のものだろうか。募金活動の人の波と相まってごっちゃになっていましたので、演奏の感想としては省略。最後の演奏、よく歌い上げました!

・総評

 これが、名古屋随一の女声合唱!比較的若年層の女声合唱が下火にある(どの地方もか?)名古屋地域において、中々聴くことのない、貴重な演奏でした。何より、演奏が本当に素晴らしい!これでも、全国上位に上り詰めることが未だできていない点、中学や高校のコンクールというのは、本当に勝ち抜くのが難しいのだろうなぁと感じています。女声合唱に対して、よりよいイメージを抱くことが出来ました。本当に素晴らしい演奏を、ありがとう!

・おまけ

 一般ブロックへ照準をあわせ、この場を借りるようになって恐縮ですが、少し、一般的な話を。たびたび、宗教以外にも政治思想的な主題で作曲されることもあるのが、この合唱ジャンルの特色のひとつでもあります。アマチュア合唱団としては、全日本合唱連盟の流れを汲む派閥以外にも、池辺晋一郎『悪魔の飽食』の演奏などで著名である、うたごえ運動の系列が存在します。しばしば、特定秘密保護法などの政治思想を主題に演奏活動を行ってニュースになるのは、この系列の団体です。発祥を異にし、その活動スタイルも、基本的に交流することの少ないのが現状ですが、レパートリーについては、ときに交流を見せることもあります。実際、連盟系の合唱団が好んで演奏するレパートリーでは、荻久保和明『In Terra Pax 地に平和を』『しゅうりりえんえん』などをはじめとする反戦歌を中心に、そういったプログラムは多く存在します。
『つぶてソング』は、思えば、連盟系の団にとっては、久々の、いわば「うたごえ系」レパートリーとも言えます。初演としても、決して合唱がメインではありませんし、まして、新実先生自身には、そういった意思もなかろうと推察します。だからこそ、逆に、こういった機会をきっかけに、広くジャンルを問わず、合唱活動の交流が図られるきっかけになるのは、決して悪いことではないと思います。活動も違えば、アプローチの仕方も違います。もちろん、お互いの政治的主張には賛否それぞれあることでしょう。しかし、その意味でも、交流の試みは、お互いにとって、きっと勉強になるような気がしています。
 以上、あくまで提言として。

2014年3月20日木曜日

【東京混声合唱団 第233回定期演奏会「半世紀の合唱の流れ」】

2014年3月19日(水) 於 東京文化会館 小ホール

 個人的には、いずみホール定期以来の東混演奏会です!東京文化会館は、2011年3月の東混定期で小ホールへ、その後、同じ年の早稲グリで大ホールで演奏を聞いた位だったでしょうか?
 今回の上京方法は、ローカル線乗り継ぎの旅でした。ということで、多分これまでで一番辛い旅になるんだろうな……と覚悟していたら、意外や意外、これは、バスよりは全然楽かもしれません笑自分、鉄道と相性が良さそうです。
 と、まぁ、それはさておき。東混としても、日本合唱史としても、とても価値のある演奏会に立ち会えたのではないかと思っています。

指揮:田中信昭
ピアノ:中嶋香(2, 4)

・御託つらつら

 本演奏会は、東京混声合唱団の創団者でもあり、その活動、委嘱活動を通して日本の合唱界に甚大な影響を残している田中信昭先生の指揮による演奏会です。田中先生が東京混声合唱団の音楽監督として指揮を振るのは、この演奏会で最後となりました。もっとも、来年からも、先生が指揮をされる演奏会はありますが、その立ち位置は大きく変わることになるでしょう。まもなく始まる来年度からの東混音楽監督は、山田和樹先生。いまやオーケストラの世界を中心に華々しく活動されるヤマカズ先生ですが、指揮キャリアの基底のひとつには、東混や早稲田大学グリークラブをはじめとする合唱指揮の経験があるといっても過誤ではないでしょう。松原千振先生や大谷研二先生の選曲や、ノンビブラートを射程にも入れた音作りも相まって、まさに、東混のみならず、日本の合唱界の新時代の到来を予期させる人選となりました。
 日本合唱史上、東混が果たした重要な役割のひとつに、数多くの委嘱活動があります。嘗てアマチュア合唱団が新作初演をする能力がなかった時代から、プロとしての豊富な実力を武器に数えきれないほどの数多くの合唱曲を委嘱し、日本現代音楽の創作をけん引する存在の一つとして活動を重ねられてきました。故・武満徹氏に合唱曲を書くきっかけを与えたのは、田中信昭先生はじめ、東混による委嘱で書かれた「さくら」(『うた』(ショット・ジャパン)所収)ですし、故・三善晃氏も、東混も参画したNHKの音楽劇での作曲をきっかけに、東混とのタッグで、合唱への実験的作品「トルスII」を皮切りにした、数多くの合唱曲の創作をはじめました。なかでも、本日演奏された『五つの童画』は、三善先生をして、自身のピアノ書法の集大成といわしめる(三善晃『遠方より無へ』白水社、2005復刻)、三善作曲史のなかでも重要な作品として知られています。
 本日の演奏会は、日本合唱音楽半世紀史を振り返る内容です。作曲だけでなく学術においても重要な功績を残された故・柴田南雄、プロ、アマチュア、教育を問わず、永く日本音楽の発展に寄与された故・三善晃、世界的なレベルで多くの仕事を手がけられ続けている佐藤聰明、そして、数多くの受賞履歴をして、なおも独特の新たな音響に期待が持たれている西村朗、各先生。いずれも、音楽史にその名を残し続ける、偉大な作曲家たちです。そして、その通底に、数多くの新作をサポートし続けた、田中信昭先生と東混の存在があります。日本音楽のダイナミズムそのものを、時間を遡るようにして楽しめる――あるいは、勉強できる、といったほうがいいかもしれません、そんなプログラムとなりました。

・ホールについて
言わずと知れた、日本を代表するホールの一つです。響きについては、新しいホールに水を開けられている面もあります。しかし、それでも、ホール全体に確実に広がる豊かな響きと、ホールの意匠が織りなすイマジネーションは、やはり、日本随一のホールと言って差し支えないと思います。ステージへの動線や、客席のスタイル、更には開演ベルの音色に至るまで、多くの面で、日本が誇る名ホールだと思います。

・第1ステージ
柴田南雄『三つの無伴奏混声合唱曲 作品11』(北原白秋・詩)

 柴田南雄というと、音楽史の教科書でその名を知る方も多いかもしれません。東混では、『萬歳流し』が、今も各所の訪問演奏会を中心に再演されています。
 戦後直後に作曲された同曲。時代的には、清水脩『月光とピエロ』と成立時期を同じくします。戦後、様々な文化と同様、日本の合唱音楽が制度的にも再構築される中で成立した作品です。実際、当時はまだ、日本人による合唱組曲という文化が余り存在せず、ちょうど、『月光とピエロ』がそのような文化の走りと言われていますが、それ以外にも、この曲もまた、現在のような合唱組曲文化の醸成に一役買っていると言って間違いなさそうです。
 そんな時代背景の中から生まれた曲です。まだまだ現代音楽そのものも十分に成熟していた時期ではありません。東混の取り上げる日本人作品としては、非常にわかりやすいプログラムでした笑 抒情的な雰囲気を見せる小品、しかし、演奏技術そのものは、多様な和声をしっかり束ねる必要があり、聞かせるためには高度な水準が要求されていました。
 今日の東混は全般的に、過去の音源に頻出するような無理に歌い上げることをしない傾向にありました。要所要所をしっかりと抑え、豊かなハーモニーで歌い上げる演奏。最近の東混の音作りの基本姿勢ではあると、耳から感じてはいます。他方、もう少し鳴らしても効果的かな、とは思わされたので、バランス感覚は、課題の一つでしょう。
 Alto Solo は志村美土里先生。素晴らしかった!是非今度、日本語歌曲のソロ演奏会開いてください。って、それは東混の団員さん皆さんに言えますが笑

・第2ステージ
三善晃『五つの童画』(高田敏子・詩)――追悼ステージ――

 本日、もっとも注目を集めたプログラムといっても過言ではないかもしれません。NHKの委嘱により作曲、初演は、東混、指揮はもちろん、田中信昭先生。実際、東混の委嘱による「トルスII」から合唱音楽を本格的に書き始めた三善晃先生にとって、本作品は、合唱音楽のみならず、自身のピアノ書法の集大成と語るなど、大切な作品とされています。まさに、初期三善晃の傑作の一つといえる作品です。
 さて、特に1曲目「風見鶏」を中心に再演される機会も多い同曲ですが、その要求水準は過酷を極めます。たとえ音符を追えたとしても、その後、高い演奏水準まで持っていくためには、より甚大な努力が求められます。更にその上で、果たしてどのような解釈の元、どのようなテンポ設定、演奏が成り立つか、ということを議論することになるため、語弊を恐れずに言えば、実際に「芸術」として成立するような演奏は、必ずしも多いとは言えないのではないでしょうか。
 初演団体としての東混の演奏。今回の演奏は、これまでの多くの演奏とは一線を画する、少し趣を変えた演奏となりました。具体的には、テンポ設定が全般的に遅く、そして、全体的に、第1ステージのおとなしめの演奏を引き継いだものでした。この演奏、「風見鶏」のテンポに対しては、少し物足りない感じこそしましたが、全体としては、「童画」らしい、三善晃音楽を通底する快活で少しお茶目な曲想を明白に浮き立たせる形となりました。同曲は、三善晃の合唱曲の中では、非常に「遊び」の部分が少ない曲だと思われています。しかし、こんなにも多彩な顔を見せる曲なのか、という基本事項を再確認させられる快演でした。
 さらに申し上げると、東混としても、発声技術の変遷により、よりハモる発声へと変化したことから、音源の時代とくらべて、曲の風景がより明白になったように感じます。特に、2番「ほら貝の笛」は絶品。独特な間と、ピアノが織りなす独特な緊張感が、聞いててゾクゾクさせました。まるで、法螺貝が、生きているよう。たまにビクッと動くんです。思い出してても、たまりません。

インタミ20分。4ステージ構成で1回休憩、となると、お客さんのためにも、これくらいの休憩時間を確保したい。プロだとこの時間が一般的なのではないかと思います。アマチュアでも今後参考にしたい数字です。これが適切です。

・第3ステージ
佐藤聰明「海」(仏教典「華厳経」より)〈改訂版初演〉

 佐藤先生は、どちらかというと器楽の世界で世界的に活動されている作曲家。とはいえ、この曲の原版を委嘱したのが「合唱曲を委嘱する会・岩国」というアマチュア団体ということで言えば、決して合唱作曲を嫌われている方でもないようです。しかし、この団体、凄い名前ですね……笑 確かに、「創る会」など、同コンセプトで活動されている団体は何個かあるのですが、ここまでド直球に団体名になっているのは、ある種清々しくもあります笑
 さて、こちらは、これまた非常に、最近の東混らしい選曲でした。音楽は、2度の和声を巧みに使いながら、打ち寄せては引く波の様子を写実的にスケッチしつつ、作品のメッセージである、事物は等しく宇宙に包含されている様をリアルに聴衆に訴えかける作曲でした。和声はとんでもなく難しく、長2度だけならまだしも、転回7度や短2度音程もガンガン聞こえてくる中で、しかし、逆に、そういった和声をよどみなくしっかり聴かせる東混の実力に驚嘆していました。以前、ウィテカーの演奏の際に、少し和声構築でコケていたかな?と思わされた時とくらべて、確実に東混としての実力が上がっていたように思います。
 淡々とした曲ではありますが、逆に、その淡々とした同じ所作の繰り返しが織りなす日常感、そこに生まれてくる非日常の風景や、あるいは、日常にすら感じられる、甚大な量のエネルギー。気力も体力も使う演奏でしたが、よくぞしっかりと演奏されました。緊張感という意味では、「ほら貝の笛」を想起させます。

・第4ステージ
西村朗「邪宗門秘曲」(北原白秋・詩)

 木下牧子先生の作品などで、広くその名前を知られたテキストに、西村朗先生が挑戦された作品。2013年夏の「虹の会」による初演(指揮は田中信昭先生!)以来の待望の東混再演でした。最近の定演での西村作品の採用回数が非常に高く、今や、定番レパートリーのひとつになりつつあります。
 そして、その日頃の鍛錬の成果がよく現れました。演奏、作品共に、現代の傑作を聞いたように思います。本当に素晴らしかった!音楽の、感情を吐露するように咆哮する羅列を、余すことなく咆哮し、それでいてかつ、妖しい和声に併せて妖しく光る「びいどろ」の表現など、音色の使い回しや、特に西村作品で難しい、和声の機能変遷、さらには言語列の適切な表現など、新時代の東混の実力を余すことなく見せつけられたように思います。
 さらに、楽曲としては、普段の言語の自然な音程に強く依拠する旋律だけにとどまらず、ある種宗教音楽的な旋律もふんだんに織り交ぜられた、多彩な色彩を見せる音楽になっていました。さらに、ピアノも良く踊り、全体として、西村先生の器楽音楽の見せる魅力なんかを思い起こさせる内容になっていました。なにより、その世界観が、本当に「邪宗門」の世界観をよく表していた!ただ、ただ、衝撃に満たされ、音が引き、大きな拍手に包まれるステージを見ながらもなお、興奮冷めやらず、ついその前まで聞いていた音楽の衝撃に満たされていました。個人的には、歴史的快演に立ち会えたのではないか、と思っています。

なお、アンコールはありませんでした。

・まとめ
 まず何より、本当に魅力的なプログラムだったように思います。「半世紀の合唱」の「黎明」にあたる柴田作品、そして、「円熟」にあたる三善作品、さらに「実験」的ともいえる佐藤作品、さらに「ニュースタンダード」を示したのが西村作品だったと仮に解釈するだけでも、休憩のタイミングを含めても、静的だけでなく、動的にも、日本の合唱を俯瞰するようなプログラムになっていました。
 そしてまた同様に、日本の合唱界を振り返ることは、ひとつには、東混の歴史を振り返ることとも同義ともとれます。特に、手に届く範囲で録音の残る三善晃『五つの童画』について言っても、演奏面においても、嘗ての演奏とは一線を画す演奏と言えます。ある面では、ノンビブラートへの変化や、和声構築的な合唱という、最近の「流行り」にも近いような演奏のあり方を反映し、しかし他方では、録音の残すような独特の叙情性は今や失われてしまったものと言えるかもしれない。そこら辺は、一つにはバランスとも言えますが、しかし、東混のサウンドひとつ取るだけでも、昨今の情勢を反映した、センシティブな変化を読み取ることが出来ます。
 今後の合唱界は、と問われると、なんとも自身では断言しがたいことがありますが、松原先生、大谷先生、そして山田先生もまた、数多くの外国曲や、あるいは日本の、嘗て東混がやらなかったような音楽をどんどん採用していることは、ひとつの試金石と言えそうです。ここ最近の初演でも、マリー・シェーファー先生や上田真樹先生への委嘱は、おそらく古くからの東混ファンを驚かせたのではないかと思います。本年度で言えば、東混は「八月のまつり」向けに、信長貴富先生への委嘱をしています。機能的な合唱へ今後も安定的にシフトしていくのか、はたまた、ロマン派を彷彿とさせるようなサウンドへと回帰していくのか。数多くのアマチュア合唱団の動向をも左右し続けている東混の活動に、これからも目が離せません。そして、いくぶんそれは、日本の現代音楽の動向をも左右しかねない、重要な位置を占めているように思います。

旅の様子は今度書きますねー←
こちら、詳しくはFacebook の方にのみしたためさせていただきました。完全にただの日記になったので……
簡単な道程を。演奏会前には神保町で相方がご所望だった『サイレンス』(ジョン・ケージ)はじめ古本街を巡り、この日は節約のために、東海道沿線の辻堂駅のホテルに宿泊。翌日は18きっぷで帰りがてら、静岡駅に途中下車しました。公益財団法人世界緑茶協会(世界!堂々にも、世界!)さんの「しずおかO-CHAプラザ」にお邪魔してみたり、ホビーミュージアムでフィギュア見たり、ちょうど切らしていた緑茶やダシ取り用のかつお節買ったりしました。否、思いの外(スミマセンw)、楽しかったです。そんなわけで、旅の締めくくりも、いい形になりました。

2014年3月16日日曜日

【Microcosmos 第15回記念定期演奏会】

2014年3月16日(日)
於 宝塚ベガ・ホール

さて、久々の関西で演奏会を聞きました。
恐らく、読者の方で、この団をご存知ない、という方も多くいらっしゃるのではないかと思います。
しかし、どことなく、わたべにとっては聞き馴染みのある団です。

・少しだけ前置き
この団を初めて知ったのは、所属団のメーリングリスト(ML)でした。
こちらは、アクセス元からご存知の方も多いかもしれませんが、私、「合唱団うぃろう」という名古屋の合唱団に入っております。ご報告しそびれましたが、第五回演奏会、盛況のうちに終演いたしました。ご来場くださった方、ご声援くださった方、誠にありがとうございます。
ってのはいいとして(笑)、
弊団、委嘱初演活動を積極的に行っておりまして、度々出版もされております。
そのうち、第2回演奏会で委嘱した組曲『私が私に出会うとき』(松波千映子・曲)の出版の際に、団の担当からMLで、再演予定のリストが届きまして。
その中にあった団の一つが、この、Microcosmos だった、というわけです。実際、第14回定期で演奏いただいたとのこと。
当時、確か、弊団の演奏会と日程が被ってて伺うことが叶わなかったものの、今回、こちらに住んでいる、ということで、その上、演奏会の存在を知り、行かねば!と思った次第です。
なおこの当時、弊団では、同年軽井沢フェスのため来日した、フランスの合唱団 Mikrocosmos との名前のダブリが少しだけ話題になりました←
パンフレット読む限りでは、アポロンの界隈中心でしょうか?当時の学生団上がりの人たちが集まって出来た合唱団だそうです。当時がどれくらいかは、各々逆算してくださいね←

・ホールについて
意外と気付きにくかったんですが、ごく若干、響きが前に飛ばない傾向があります。
それでも、小規模ホールの中では、日本屈指のホールであることは変わりないと思います。

15周年記念とのこと。誠におめでとうございます。心なしか、関西でガッツリ1年目から演奏会開く団って、珍しい気がします。演奏会回数=団継続年数、素敵です。別にそれがすべての正義というわけではないですが。
人数はステージで若干変動がありました。第2ステージ以外は、大体25~30人でしょうか。

第1ステージ
『Anton Bruckner モテット集』
Locus iste
Os justi
Virga Jesse
Christus factus est
指揮:野嶋晴之(団内)

このブログには書いてないんですけど、ちょうど、この前、名フィル2月定期でブラビンスのブルックナー(超名演!)を聞いていたんですよねぇ……なんですかね、これは。Twitter 界隈はじめとするブルックナーマニアたちによる圧力が半端ないんですが(何
それはさておき(2回目)。非常にホールにあった響きがなってきて心地よかったです。若干前に飛ばないかな?という向きこそありましたが(だからこそ、上のホール評に繋がるわけですが)、何より、和声がハマった時に凄くキレイな音を返してくれる合唱団で、聞いていて安心出来ました。特にアルト!内声特にアルトが上手い合唱団が、わたべは好きだったりします。骨太ながら立ち位置を見失わない、素晴らしいアルトでした。テナーの、よく脱力のできた音作りは好きなのですが、キレイに作ろうとしすぎて薄くなってしまっていたように感じます。もっとも、ブルックナーでは逆に効果的とも言えましたが。
若干の問題点を挙げるならば、ダイナミックレンジが若干狭かったように思います。特に、盛り上げきれなかったり、そろそろと弱々しく入ってしまったり。しかし、このステージ全体としては、和声の美しさで十分楽しめました。

インタミ、10分。最近、休憩がやたら圧縮された演奏会が多かったので、逆によかった笑

・第2ステージ
『ミクロコスモス・アーカイブス〜名曲と迷指揮者の数々〜』
Carpenters「Sing」(第9回・演奏曲)
石川さゆり「天城越え」(第14回・演奏曲)
「いつも何度でも」〈映画「千と千尋の神隠し」より〉(第3回・演奏曲)
木下牧子「春に」〈混声合唱曲集『地平線の彼方へ』より〉(第1回・演奏曲)
「クックロビン音頭」〈アニメ「ぼくバタリロ!」より〉(第5回・演奏曲)
キャンディーズ「春一番」(第7回・演奏曲)
「One!」〈ミュージカル「コーラスライン」より〉(第2回・演奏曲)
新実徳英「聞こえる」〈混声合唱曲集『空に、樹に…』より〉(第4回・演奏曲)
arr. 増田順平「赤とんぼ」〈混声合唱曲集『からたちの花』より〉(第4回・演奏曲)
指揮:過去の「迷」指揮者たち(8人いるので省略
ピアノ:那須史子(団内)

「迷」うことなく自虐に入るタイトル、これが関西である(曲解)。しかし、曲数多いですねぇ……ステージでもおっしゃってましたが(笑)
もっとも、内容については、よりどりみどりな曲たちと、ちょっとした演出なんかで、飽きることなく楽しむことが出来ました。「天城越え」はもっとコブシ付けても良かったなぁ……あ、褒め言葉ですよ!?w特に好きだったのが、「天城越え」の他、「クックロビン音頭」(観客も一緒になって手拍子!)「春一番」「One!」「赤とんぼ」。もちろん、全部いい演奏だったんですけどね!一度やったことある曲だからでしょうか?1stよりもしっかりした声が飛んでいた印象があります(笑)。さらに、「赤とんぼ」のソプラノSolo が非常に素晴らしい!ホールによく捉えてもらえるいい声でした。この演奏会で一番良かった曲と言っても過言ではないかもしれません。
ちなみに、異動等で団を離れている人も駆けつけてのステージとなりました。普段から団内で指揮を回しているそうですが、最近指揮者不足とのこと、指揮者もろとも団員募集しているみたいです(笑

さらにインタミ15分。うーん、この、学生団らしさ、逆に良い。疲れなくて←

・第3ステージ
荻久保和明「混声合唱曲『季節へのまなざし』」(伊藤海彦・詩)
指揮:石原祐介(客演)
ピアノ:村上果(客演)

団としてはじめて、客演を呼んでのステージだとのこと。指揮者の石原先生は、JDCA会員で、神戸市混声合唱団のコンサートマスターや同志社グリーのボイストレーナーを勤めておいでとのことです。京産大出身、とあるので、おそらく京産大グリーから音楽に目覚められたのでしょう(邪推ですが……笑)。
さて、通称「キセマナ」。カワイイ愛称とは裏腹に、現象の裏側に潜む内面性を抉る、荻久保和明の傑作の一つに数えられます(ほか、代表的な作品として『In Terra Pax』など)。この曲、鋭いピアノや男声による準アカペラアンサンブルなど、何かと体力を使います。試みとしては面白い挑戦になったかと思いますが、逆に、上述したような団の弱みが露呈した格好ともなりました。どうしても、テナーの弱さが、対ベースや対ソプラノのアンサンブルで目立ってしまいました。もとがキレイな発声の団だったので、ここでは逆に崩すくらいに音作りしてもよかったような気がします。また、子音が若干弱く(あるいは散るホールだったとも言えますが)、「しあわせ」「ふしあわせ」の緊張感などが少し薄くなってしまったように思います。そのせいで、全体として若干冗長に聞こえた感が否めません。和声と双璧をなして、言葉の処理は基礎になりえますので、今一度見なおしてみても良いのかもしれません。
とはいえ、和声は相変わらず美しかった。特に、最後の和音、キマった!と思った瞬間、こちらも嬉しくなってしまうほど。本当に、最初から最後まで、キレイな和音に包まれた、ベガホールらしい演奏を聞かせてくれたように思います。

・アンコール
信長貴富「くちびるに歌を」〈混声合唱とピアノのための『くちびるに歌を』より〉(チェーザ―・フライシュレン詩/信長貴富・訳詞)

アンコールでこういう曲を臆することなく選択できるのは、実力のある団である証拠だと思っています!何より、大好きな曲なので、この曲が聞けるだけでうれしくなっちゃいます。どうしても高声に多くを要求する曲であるため、低声型の団には歌いこなすのが難しい曲です。しかし、そんな中、しっかりと聞かせてくれました。特に、ベースの主旋律がくっきり聞こえてくれたのは嬉しかったです。そして何より、和声の巧みさは、この曲でも光りました。

・まとめ

関西の合唱団の演奏会をある程度見てきて、気付いたこと。それは、規模の大小・歴史の深浅を問わず、どの団も、とりあえず和声だけはキレイにハメてくる、ということ。名古屋の合唱団界隈を見ていると、団の規模が小さくなるほど、創団が古くなるほど、和声よりは発声重視、という団が増えてくるような気がします(言っておきますが、主観です)。それが、関西の合唱団は、ある程度の規模があったら、どんな団でもまずは、和声を決めることを考える。それが、チェンバークラスでも大人数でも、とにかく、和声がダメダメ、という演奏は聴くことがない。別にかといって発声を疎かにしているわけではないのですが、不思議な現象だなぁ、と思います。恐らく、どの地域にも増して、関西の合唱団は理論派揃いなんじゃないかと思います。関東をあまりウォッチしていないのでアレですが。そして、その理知的な演奏が、関西の合唱の裾野の広さを担保していると言っても過言ではありません。必ずしも派手ではないものの、着実に演奏回数を重ねてきた Microcosmos こそ、そういった団の良いサンプルになっているように思います。大変よい演奏を聞けて、良い気分で帰ってこれました。何より、こういった優秀な団の方に、弊団初演曲を再演して戴けていた、というのは、初演者のひとりとして大変喜ばしく思っております。本当にありがとうございました。

・本日の前座

こんなコーナー前までなかったやんとか言わない!←
演奏会前、あまりにも早く到着しすぎたので、清荒神駅界隈を散歩。清荒神清澄寺を参拝してきました。参道の商店街が、昔ながらの商店街の雰囲気を残していてとても風情あってよかったです。いい運動にもなりましたし。肝心のお寺さんは、あまり調べていないものの、どうやら弘法大師が祀られているとのこと。このレビューも、もう少し筆まめにならないものかしら。恐らく正月には人気も出るのでしょう。いい場所でした。叉行きたい。

・メシーコール
ヤマザキパン

Twitterご覧頂いている方ならお気づきかもしれません。最近の怒涛のパンツイートに。
そうです、私、この1週間ほど、パンしか食べておりません(おかずパンにするためのおかずを除く)!それも、ヤマザキの。
ここまでいうとお分かりですかね、お皿ゲットするために集めておりました。そして今日、とうとうお皿を引き換えることが出来ました!そして、そのために買ったパンも、今や、これを執筆しながら食べていた「黒糖入りテーブルロール」を一つ残すのみ!いよいよ、パン生活が一段落しつつあります。この様子は、また別の機会に、ある形でまとめようと思っています。お楽しみに!
ちなみに、肝心のお皿ですが、モーニングフレンチボウルとのこと、若干ミニサイズです……冷凍パスタ盛りつけたかったのだが、果たして盛りつけられるだろうか……?