おおよそだいたい、合唱のこと。

ようこそお越し頂きました。
主に、管理人が参りました、合唱団の演奏会のロングレビューを掲載しております。
また、時折、気分に応じて、合唱如何関係なく、トピックスを記事にしています。
合唱ブログのつもりではないのに、気付いたら合唱ブログみたいなことになってきました。
やたら細かいレビューからノリツッコミまで、現状、合唱好きな方の暇つぶしには最適です。
ゆっくりしていってね!!!

2013年12月23日月曜日

【関西大学グリークラブ第55回記念定期演奏会】

2013年12月23日(月祝) 於 箕面市立メイプルホール

昨日も同じようなタイトルを見たような……
っていう冗談はさておき、どこもかしこもアニバーサリーイヤーですね。おめでとうございます。

昨日が高性能わたべだった一方、今日は低性能わたべでした。具体的には14時半くらいに起きて、バタバタと支度して箕面へ自転車を走らせました。

団員数、17名。そのうち1名留学中で、現役オンステは16名でした。

・ホールについて
省略
情報を加えるならば、ロビーストーム(ロビーコール)は会場が禁止しているそうです。あと、どうやらホールのピアノがそもそもベーゼンドルファーである様子。鍵盤チェックしてきましたが、Model 290 Imperial です。箕面市のホール担当の方、素晴らしい判断。今日は特にクラシック曲中心のため、その意味、しっかりと音も堪能出来ました。

・パンフレットについて
関西の学生合唱団はネタに力を入れすぎですね。なんと楽典試験の成績が良くなかったという名目(?)で、*******(自主規制)。団員紹介文も、グリーとはいえ、もう完全に紹介文という概念からは外れている……というか、この紹介文誰のこと紹介しているんだ……というものばっかりである笑一人はネタのために写真まで省略される爆
ちなみに今年は記念ということでカラー表紙だそうです。
しかし、ひっどいパンフレットである笑

・第0ステージ
山田耕筰「関西大学学歌」(服部嘉香・詞)
作曲者名に歴史を感じます。普通にいい曲でした。山田耕筰の純粋なクラシック作品だと、「弦楽四重奏曲第2番」という曲を以前から知っていました。山田耕筰による童謡たちよりも、こちらの方が真っ先に思い浮かぶような曲調だなぁという印象があります。演奏は、若干内声が不安な印象を受けました。ユニゾンの揃い方は素晴らしい。1番が全曲ユニゾンでしたが、山田耕筰のメロディを堪能出来ました。

・第1ステージ
新実徳英『男声合唱とピアノのための「花に寄せて」』(星野富弘・詩)
指揮:小林淳平(学生)
ピアノ:武知朋子
細かい部分では、高音になるとトップががなるのか、喉声になっていたように聞こえたこと、4曲目に現れたハミングの響きがイマイチ統一できていなかったこと、また、対位法的な展開の部分の主に音程に弱みが目立ったことが指摘すべき点としてあげられるかと思います。しかしそれにしても、上に指摘した(?)ように、楽典についての基礎知識をしっかりと頭に入れた理知的な演奏だったなぁと感じました。具体的には、決まるべき和音できっちりと決めている。そして、きっちりと決めるべき強弱を決めている。これだけで、十分好印象でした。伸びる合唱団といって差し支えないのではないでしょうか。正指揮くん、制約多い中で、よく頑張りました。

・第2ステージ
『男声合唱でおくる J-POP songs~DREAMS COME TRUEステージ~』
吉田美和/中村正人「LOVE LOVE LOVE」(吉田美和・詞、小泉徹也・編曲)
吉田美和/中村正人「何度でも」(吉田美和・詞、小泉徹也・編曲)
吉田美和/中村正人「未来予想図II」(吉田美和・詞、Shigeki Nishioka・編曲)
指揮:胡中瑛登(学生)
ピアノ:森北愛
ポップスステージ。このタイトルということは、シリーズ物なのでしょうか。ちょうど前日、ミスドでドリカム流れてたので、なんだかちょうど良かった感じですね笑ドリカムの真っ直ぐで力強い曲、いいですねぇ。この季節にも合うというか。ちなみに僕はスキマスイッチのファンクラブ会員です←どうでもいい
さて、演奏。このレベルの曲なら、先ほど述べた技倆のことも相まって、難なく収めてくれるという印象です。パートバランスの問題で、内声に主旋律が回った時に、多めのトップに消されるというのが惜しいところでした。さらにいうと、もっとガツガツと表現してもまだよかったような気はします。それにしても、安心して、ゆったりと聴ける内容でした。あと、照明がキレイ。曲との打ち合わせをしっかりしてあり好印象でした。

・第3ステージ
寺嶋陸也『男声合唱のための「透きとおる言葉たち」』(木島始・詩)〈委嘱初演〉
指揮:西岡茂樹
a cappella
この演奏会の目玉の一つ、なんとまたしても委嘱初演です。昨日と今日でどれだけの曲が誕生していることやら……笑
木島始というと、この曲の他に、有名ドコロで三善晃、鈴木輝昭、林光なんかの作品もあります。ちなみに、わたべは三善晃の作曲に親しんでいたつもりでしたが、なんと今日まで「見えない縁のうた」を「見えない緑のうた」と読み間違えていました。恥ずかしい。わからん、という方は、是非ブラウザの文字を大きくして御覧ください笑
さて本題。今回の作品、割といい曲ではないかと思います。どこでも少人数でも歌えるように、という理由でアカペラ委嘱をしたそうですが、それにしてはちょいと難しい曲だったような……?笑第1ステージにオープニング代わりに演奏したりすると映えそうな曲。静謐さを湛えた、美しい作品です。
技術的な意味でいうと、もう少し言葉を浮き立たせるとより良いのではないかと思いました。それにしても、大変な曲を、ちゃんと聴かせる演奏にするのは大変なこと。西岡効果も相まって、合唱団も前半よりレベルアップしていたように感じます。寺嶋陸也先生は今日本番とのこと、会場にはいませんでした。是非、ご披露の機会に向けて、より磨きのかかった演奏にしていただきたいところです。

・第4ステージ
新実徳英『男声合唱とピアノのための「決意」』(和合亮一・詩)〈OB合同ステージ〉
指揮:西岡茂樹
ピアノ:武知朋子
この演奏会もうひとつの主役。西岡先生の前説(2ステージ連続)にはじまり、曲の冒頭には、和合先生の朗読も流れました。
男声合唱団「甍」の委嘱で、もともと大人数で初演されたとのこと。今日はOBと合わせて30余名での演奏と相成りました。つぶてソングと同じコンビ、そして、団としては、2年前のつぶてソングに次ぐ演奏ということになったとのことです。
もちろん、つぶてソングの系統と言って差し支えないとは思いますが、新実徳英の魂の篭った、詩に寄り添う、というよりも、詩ととことん対峙したような熱情的な作曲が印象的。あくまで印象としては「日本が見えない」を彷彿とさせます。それに応えるように、演奏も十二分の素晴らしい名演。以前コンクールで演奏したそうで、技術的な刃こぼれは殆どなかったのではないでしょうか。
あえてあっけらかんとした作曲、演奏の中に湛えられた不気味な妖しさ、最後には救済のような鳥のさえずりが、聞くものを圧倒しました。

西岡先生、Pray from Kobe のイベントを宣伝して、拍手の中、退場。
そして、団長はアドリブで挨拶。アドリブであそこまでしっかり挨拶できるのは、素晴らしいです。

・アンコール
信長貴富「きみ歌えよ」(『新しい歌』、谷川俊太郎・詩)
感極まったか団長……彼自身は涙でさっぱり歌えていなかったみたいですが、団として、歌が大好きだ!という思いを全面にぶつけたいい演奏でした。技術的水準も非常に高かったように感じます。

・まとめ
自分自身、少人数の団から合唱人としてのキャリアをスタートさせました。今でこそ大きな合唱団の団員にいますが、他方で、今も、小さな合唱団に対する思い入れは強いものがあります。その意味で、なんとも感慨深いものがあります。中部出身の私からしたら、こちらにくるまでは、関西の合唱活動はどこも規模ややることが大きくて羨ましい!という印象が強かったですが、こちらに来てから初めて知る、数多くの零細な活動に、幾ばくか思いを寄せずにはいられないのです。一握りの全国区の合唱団の裏に潜む、幾つもの小さな合唱団。意図的に、でなく、運命づけられて小さな合唱団になってしまっている合唱団たち。レパートリーについてのノウハウの少なさや、合唱団としてではないような様々な軋轢にもまれながら、時には潰れてしまうことすらある。それでも、自分たちの歌をもとめて、必死に歌いつないでいる。この構図は、どの地域にいっても変わらないのです。そんな、小さな合唱団が、地域の、日本の合唱文化の裾野の広さを支えている。関大グリー、そして、数多くの零細合唱団の皆さん、皆さんに当たったスポットライトは、みなさんだけのものです。これからも頑張ってください。……私が言えたことでもないのですが……

・メシーコール
ご飯と味噌汁:昨日コメをつけといて、そして、起きたらスイッチオン。ずっと鍋に残っていた味噌汁を温めました。普段から暖房付けないので、腐らずにすみました笑 味噌汁の実は、大根、人参、白菜。この時期、ものすごく美味しい実たちです。特に冬の大根は奇跡の野菜だと思います。皮は、栄養のこととめんどくささ(コラ)とで、皮付きです。そんなわけで、ご飯はうちは五分搗きを使っています。うまいですよ、五分搗き。浸水時間がずれるので混ぜ米はあまりお勧めできませんし、玄米オンリーだと逆に管理が難しかったり、味がキツかったりするので、七分搗きや五分搗きから始められることをおすすめします。って、なんだ、昨日のメシーコールとの落差はw

【大阪大学混声合唱団第55回記念定期演奏会】

2013年12月22日(日) 於 伊丹市立文化会館いたみホール

知り合いも若干オンステしていたステージ。演奏会直前には宣伝にもおじゃましました。

今日は朝、うぃろうのチラシ込みを委嘱されていたので、朝から伊丹に出ずっぱりでした。前日友人と日本酒をグラス3杯程あおりつつも、しっかり朝には起きるという、わたべらしからぬ高性能っぷりでした。

さて、そんな「阪混」、今年で55回目の演奏会を迎えられたそうです。おめでとうございます。

120人だそうです。新入生はそのうち40人、卒団生は19名。将来が楽しみです笑

・ホールについて
いたみホール。新しいホールなのでしょうか。ビル型で多目的施設ということもあり、講演にも使えるとは思いますが、反響板がオシャレで内装も爽やか。木目調ではないのですが、どこか刈谷アイリスホールを彷彿とさせます。音響は若干散りますが悪くはありませんでした。開発が古いせいでなにかと恵まれない関西のホール事情ですが、このホールは満足できるかとおもいます。ホワイエがオシャレです。クロークもオシャレです。トイレの洗面台は合わせ鏡です。客席2階構造ですが、それを感じさせないくらいです。恐らく2階の奥までいい音が届くのでは。

あまりの客入りに開演が10分遅延。座席交換の効率を考えた方がよかったかも、とこそ思うものの、想定外の客入りだったんだろうなぁ。超満員でした。

・第0ステージ
吉本昌裕「大阪大学学生歌」(立山澄夫・詩)
黛敏郎「萬葉歌碑のうた」(志貴皇子・歌)
いつかは大声で歌ってみたい1曲目。このメロディにも慣れてきました。でも、慣れてきたからこそ、逆に感動する旋律。立ち上がりの「生駒の嶺に」の一句から、歌の時代から見る山こそ変わったものの、普段研究室で見る箕面山の朝焼けを思い出さずにはいられません。今回の演出は、暗闇の中で団旗のみにピンスポットライトを当てた状態から曲をはじめ、「緑風さやけき」あたりでステージ照明が上がってくるという粋な演出。ここでまず、おおおっと来た。実は今回の演奏会の隠れた目的だったりします。演奏会全体を通して、少しテナーが重かったかな……。
2曲目は、阪大混声が初演し、今も愛唱されている曲とのこと。往時の阪大教養部教授の故・犬養孝先生の還暦記念の1曲だそうです。同音にはじまり段々と低声の音程を下げて創りだすハーモニーにはじまる静謐な曲は、moll の和声が難しいものの、非常に良い曲だと思い至りました。なお、歌碑は飛鳥の甘橿丘にあるそうです。

・第1ステージ
新実徳英『川崎洋の詩による五つの混声合唱曲「やさしい魚」』
指揮:馬場麟大郎(学生)
ピアノ:山本亮(学生)
念のため言っておきますが、「やさしい〈うお〉」です。……まぁ、僕も読み間違えていたのですが←
どうしても、新実徳英のこの手の曲というのは、さらっと流すとただ流れていってしまう向きがあります。実はそんなに難しくないように聞けても、やってみると「聴かせる」のは結構難しかったりする。例えば、ところどころで訪れる和声の決め所はもちろんのこと、縦のタイミングだったり言葉なの流れだったり、ディナーミクに決然さがなかったりすると、ただただ音と音素の羅列で進んでいってしまいます。
で、少し今回の演奏ではこの要素が足りなかったかなぁというのが正直な印象です。特に1曲目「感傷的な唄」と5曲目「やさしい魚」がその傾向の強い曲なので、余計にその印象が強くなってしまいました。逆に叩くべき場所でしっかり叩けない、というのが4曲目「鳥が」中間部の微妙なズレにつながってしまいました。2曲目「ジョギングの唄」はよかっったです。学生団らしい快活さがいい意味で露呈しました。3曲目「天使」それこそ相澤直人先生指揮の早稲グリ(2011)音源(!)を何度も聞きましたが、その思い出もあるのでしょう、もう少しためて、じっくりと演奏しても良かったのではないかと思いました。とはいえ、大変な作品をかくも大人数相手によくまとめました。それだけで十分すごい。来年も頑張れー!

・第2ステージ
〈OB・OG合同ステージ〉
三善晃『唱歌の四季』(文部省唱歌)
指揮:磯野将吾(学生)
ピアノ:竹田景子・松川峰子
こういった大型のステージになると、割と好んで選ばれる曲。もちろん合同ステージということで、三善先生ご逝去の前から決まっていたそうです。ちなみに、周りからは「童謡のステージ」などと、親しみやすそうだという声が聞こえてきました。確かに、三善作品の中でも群を抜いて親しみやすい曲集なのは確かなのですが、3曲ほどオーケストラ版(鈴木輝昭管弦編曲)を歌ったことがある限りでは、まぁ、相変わらず三善だなぁという難しさです笑ソプラノとか、ね笑
さて、もともとひな壇は6段組んでありました。そのうち、現役ステージでは5段使っていましたが、合同ステージでは6段フル活用で詰めっ詰めに立った上で、さらにベタ2列でステージ端まで溢れんとする勢いでオーダー。さすがスゲェや阪混……(笑)1曲目「朧月夜」の低声の立ち上がりの遅さや2曲目「茶摘み」の鼻濁音の欠落は少し気になりましたが(文部省唱歌なのでこの曲の場合必須)、とはいえ、4曲目「雪」や5曲目「夕焼小焼」の出来栄えについては、合同とは思えないほどでした。特に、あの人数で「雪」後半の突き刺さるようなリズムパートをあそこまで再現できるのは、十分及第点です。そしてピアニストが秀逸。竹田さんは、阪大出身だそうです。阪混出身だったかは覚えていませんが……。でもいいなぁ、大人数でやる「夕焼小焼」のバリトンとセカンドは最高に気持ちいいんですよね、一度歌ったことある方なら、この気持ち、絶対共感してくれるはず……笑

・第3ステージ
高嶋みどり『混声合唱組曲「愛のプロローグ」』(谷川俊太郎・詩)
指揮:磯野将吾(学生)
ピアノ:竹田景子
7月の京大合唱団・パナソニック合唱団とのジョイントで披露した曲の再演です。当時のポストを読み返すと、「終曲など、盛り上がる部分はよかった。ただ、弱音部の着想にやや難あり。「聴かせる」というより「こなす」音使いになっていて、ただ小さいだけだった。ともすると、出だしの piano も、もっと聞かせられたと思います。もっとも、人数が急に多くなっていることを考えると、十分及第点だとは思われます。普通に聞いててイイ演奏ではありました。」などとエラソーなことが書いてありました。
それを踏まえて、今回。一言で言うと、実力は明白に向上していました。1曲目後半の弱音部など、まだまだ聞かせられる部分こそありましたが、マルカート部分を中心として、曲の輪郭がはるかに明確に縁取られていて、高嶋音楽らしい激しさと壮大さが十分に表現されていました。1曲目、3曲目が秀逸。最後の演出も、照明としっかりと調整して、ピアニストも巻き込んで、しっかりと楽しませるステージができていました。思わず、ブラボー。実を言うと、上に指摘した部分を含めて、まだ調整できる面はあるのですが、それにしても、この成長の凄まじさ、たくましさ。合同ステージ含めしっかり振り切った学指揮マエストロ磯野くん、素晴らしいです。加えて、ソプラノ Soli、Brava!

・第4ステージ
相澤直人『混声合唱アルバム「なんとなく・青空」』(工藤直子)〈委嘱初演作品〉
指揮:相澤直人
a cappella
今回の注目ステージのひとつ。Nコン課題曲や2月のグランツェ、そして先生が振る複数の主宰合唱団での活動、初演など、今年多忙を極める相澤先生。今日もお決まりの黒カッターがよく決まってました。実は相澤先生、自身の指揮振りで初演をするのははじめての挑戦だったそうです。
曲についてから。
端的にいうと、今すぐにでも出版して欲しいくらいです。相澤先生らしいさわやかな音使いが全曲にわたって充満していて、工藤直子先生の詩とよくあっていた。中でも白眉は1曲目「なんとなく・青空」。ステージのはじめから、お茶目で爽やかな曲なんだけれども、どっかアンニュイな感じも漂ってくる。そして、これは言葉の話ですが、「なんとなく・青空」というタイトルがまたよいのです。この、ワクワクするタイトル。ほかにも、4曲目「メンテナンス」の急激な局長の変化を伴う技術的な曲も含めて、全ての曲が、聴きやすくも決して飽きさせない、素晴らしい出来でした。早く出版して欲しいです。終曲は木下牧子作曲でも有名な「あいたくて」ですが、こちらの「あいたくて」、これも非常に素晴らしかったです。
演奏について。あまり細かいことは言いませんが、確かに、相澤先生の言葉を借りれば、簡単に聞こえるけれども実は内部で難しい動きをしている曲。ところどころ和音がしっかりはまっていない部分が目立ちました。まさに、相澤先生の言葉を再度借りるならば「あと5回リハーサルすればもっといい作品が出来た」笑。とはいえ、初演としては十分の出来だったのではないでしょうか。何より、阪混の音質・音色とあっていました。
なんにせよ、凄く素敵な、この日5つ(阪混のほか、エルデ、葡萄の樹、響宴、豊田市少年少女がそれぞれ初演ステージ)の初演のひとつでした。今日は初演が多すぎる……笑

・アンコール
相澤直人「ぜんぶ」(さくらももこ)
指揮:磯野将吾
ピアノ:相澤直人
本人お得意のピアノ演奏。自身の大人気曲を学指揮磯野くんに(「無理やり」!?)託し、自身はピアノで伴奏。決して詩も演奏も難しい曲というわけではないですが、だからこそ、胸にド直球で刺さる曲。「たいせつなことはぜんぶここにある」という、深いけれどもさくらももこらしいピュアな感性で編まれた、この何気ない一言が、学生団にかぎらず、さまざまな志に生きる全ての人の心に、深く染み入ります。いい曲です。自身も歌ったことありますが、歌ってても泣けるんです、あの曲。次世代の「鴎」と呼んでも差し支えない、人口に膾炙した名曲として語り継がれるだろうと思っています。なお、別に先程から、木下牧子先生に喧嘩を売っているわけではありませんwwww

・エンディング
高嶋みどり「じゃあね」(『愛のプロローグ』より)
指揮:磯野将吾
ピアノ:竹田景子
メインステージから、なんとも卒団を意識させるような曲を選んできて演奏。関西の学生団だと、最後は卒団生がコサージュを付けて、アンコールの最後に卒団生を前に出して歌わせることが定番なのでしょうか。フロイントでも同じことをやっていましたが。最初から涙声で、学年tuttiで旋律を刻む卒団生たち……やめてくれよ……こっちがもらい泣きしちゃうじゃないか……と思ったところ、「また会うこともあるかもしれない」という部分のマルカートで元気よく、そして最後の「じゃあね!」という明るい、未来へ向けたメッセージが印象的に終わってくれました。最後はみんな笑顔で。爽やかなエンディングが、いかにもこの演奏会らしいです。

・ロビーストーム
(1曲目不明)
The Carpenters”Yesterday Once More”
1曲目は応援歌かなぁと思って先ほどあたってみましたが、どうやら違うようです。お詳しい方、ご教示頂けたら幸いです。2曲目は、途中ハミングにして団長挨拶。各学年に愛の篭ったいい挨拶でした。

他、挨拶などして、帰宅。

・まとめ
後半に行くにつれ良くなっていくステージでした。各パート固有のクセなどはみられましたが、考えてみれば1回生中心のメンバー構成。恐らく、これから年を追うごとにどんどん上手くなっていくのではないかと思います。とくに、初年度がこれ。是非、今後共たゆまぬ研鑽を積まれますよう。応援しています。あ、知己若干名御中、お疲れ様でした。

・メシーコール
お昼ごはん:ゑびす家(阪急伊丹)……久々の家系ラーメン。思い出す家系の味。マニアではないので細かいところは知りませんが、トッピングでみるみる味が変わるのが面白かったです。美味しかった。
夜ごはん:一福(石橋本店)……回数こそ少ないものの、御用達。一度食べたらやみつきのとんこつラーメンです。スープが、単純に豚骨を煮出しただけという、ものすごく繊細でやわらかい味のスープ。ちなみに、元祖面と卵麺では元祖麺が好きです。多分、元祖バリカタぐらいがちょうどいいのかなぁと思います。次行ったら粉落としは一杯食べよう。最近、心斎橋に2号店が出たそうです。是非。超お勧めです。
実は前日夜は一刀流で〆てました。つまりどういうことかというと、この2日でラーメン3杯食ってます。ヤバイヤバイ。「北摂麺大使」にはならないぞ、うん、ならないぞ……!←

2013年12月14日土曜日

【大阪大学混声合唱フロイント・コール第56回定期演奏会】

2013年12月14日 於 箕面市立メイプルホール

本当は別件ある予定だったのですが、先方の都合により延期。そんなわけで、阪大に関係する演奏会その幾つ目かです。

大阪大学には把握している限り4つ(阪大混声、阪大男声、フロイント、TEMPEST)の合唱団があります。そのうち、もっとも特色を発揮しているのが、このフロイント・コールになるかと思います。

しかし、有名大学はすごいもんです。どこもかしこもしっかり複数の合唱団を持っている。そして、各団がそれぞれ、一定の人数を持っている。自ずと活動の幅も出てくる。そしてそれが団の強みになる。羨ましいものです。

ちなみに全ステージアラカルトでした。愛知県では殆どみないプログラム構成。

・ホールについて
箕面市立メイプルホール。素晴らしいホールでした。図書館併設の多目的ホールではあるのですが、天井も高く、反響板がホール内部の意匠とあったものになっていて、それがホール音響にもよい影響をもたらしていたような気がします。しっかりと前に飛んでくるホールでした。なにより、雰囲気がよい。まだホールとしては若いようでしたが、今後の成長が待たれるホールです。阪大からは自転車で行けます。

あと、ここのホールはベーゼンドルファー持っているんですかね。平然と(笑)ベーゼンドルファーが置いてありました。演奏中もよーく響いてましたよ!羨ましいものだ……。

なお、アレンジについてですが、パンフレット上にも記載がなく、独自アレンジの曲も多いため、本記事でも割愛させていただきます
同様に、指揮者伴奏者演奏者も、団の体質上、非常に多くの人間が技術に関わる体制をとっているようでしたので、その趣旨にしたがい、割愛させていただきます(またの名をめんどくさい、とも←)

・第1ステージ
「初心のうた」(信長貴富『初心のうた』より) with Piano
「君の笑顔」(奥華子) with Piano
「Baba Yetu」(from “Civilization”, C.Tin) with Floor Tom, Djembe, Shaker, Caxixi, Fingger Cymbals, and Soli.
「赤鼻のトナカイ」〈歌おう会〉 with Piano, Guitar, E.Bass, Tambourine, Vocal, and Audience

所謂合唱曲ではじまり、ポップス、ゲーム音楽(!)と続き、童謡をみんなでうたおうという構成。初心のうたでは、その実力を十分見せてくれました。思った以上にうまかった!ポップスを中心に歌う段としては群を抜いてうまいのではないでしょうか。勢いそのままに奥華子、そして Baba Yetu とくるので、聞いている側としても非常に気持ちよく聞けました。うまいポップスステージというのは楽しくてよいですね。
歌おう会、とは演奏会のたびこの団が企画しているステージとのこと。要はお客さんと一緒に歌って楽しみましょうという企画。団員も客席通路にまで来て歌ってくれるので、なかなか楽しいです。が、少し演奏会としては練習の時間が長かったかしら……笑とくに曲が曲だし……笑

・第2ステージ
〈創団60周年記念ステージ〜時を翔ける少年〜〉
1960年代「明日があるさ」(坂本九)with Piano, E.Bass, Guitar, and Claves
1970年代「なごり雪」(かぐや姫、イルカ)with Piano
1980年代「想い出がいっぱい」(H2O)with Piano, Guitar, Synthesizer
1990年代「君がいるだけで」(米米CLUB) with Guitar, E.Bass, and Synthesizer
2000年代「世界に一つだけの花」(槇原敬之、SMAP) with Guitar, E.Bass, Cajon, Synthesizer

愛知県でいうアトラクション(演出)ステージ。こっちでは何故か余り見ませんね。要は寸劇付きのポップスステージです。劇の方はアトラク的な笑わせ方は存分にさせていただきましたw時を翔ける少年といいつつも実際はドラ○もんでしたがね!w創団60年につき、そのとき時の時代背景を追いかけながら流行っていた歌などを歌っていこうというステージ。ですが見て欲しい、この楽器構成を(打つの大変だった……)!いろんな楽器で(それもかなり整った!)アレンジで楽しませてくれました。技術ともかく関係なしに楽しめるステージでした。個人的には「明日があるさ」「なごり雪」「君がいるだけで」が好き。「なごり雪」は、ああ、この曲がしみる年頃になったんだなぁ、という哀愁も込めつつ←、残り2曲はアレンジが好きでした。

・第3ステージ
「手まり」(千原英喜『良寛相聞』より) with Piano
「いのちの名前」(『千と千尋の神隠し』挿入歌・久石譲) with Piano
「Do you Hear the People Sing?」(『レ・ミゼラブル』挿入歌、Schonberg)with Guitar, E.Bass
「ワクワク」(信長貴富〈「歌おうNIPPON」プロジェクト〉) with Piano

最後に向けてだんだんとテンションの上がっていく選曲。なかなかナイスだと思いました。若干フレージングが短かったり、第2ステージがきいたのか、少し手まりの音量が大きかったような気もしますが、最後まで良く頑張りました。3曲目のレミゼが何かと一番まとまっていたような気がします。そしてなにより、最後まで楽しませようという姿勢はなかなかのものだと思いました。
しかし、第2ステージと違って落ち着いた楽器構成でしたね……笑

・アンコール
「青春の影」(チューリップ)
「君の笑顔」encore ed.

卒団生を1列目に出してのステージ。泣かせますね。泣かなかったけど。卒団生を前に出す演出はよく有るんですけれども、曲の歌詞がですね、「君を幸せにするそれこそがこれからの僕の生きるしるし〜♪」って歌われたらですね。ジーンと来ます。その後に、団長挨拶、そして、今年の定演思い出の曲とでもいうべきであろう「君の笑顔」再演。イントロがアカペラに。そして歌詞にはこれまた「前だけを向いていく君のその姿に僕はどれだけの力貰っただろう」とくる。団長さんの挨拶が少し詰まってしまうところとか。ああ、学生団の定演よ。学生団の演奏会、では味わえない、この、定演という雰囲気!

ロビーストームはなく、そのままロビーで団員さんは挨拶されてました。色々と思いがあるでしょうが、ありがとうございました。

・まとめ
ポップス系を中心とした合唱団の可能性というのを掴みあぐねていましたが、この演奏会で、はっきり、その可能性を感じられたような気がしました。団員総勢89名。普通だったらなかなかありえない規模で、ポップス曲をきっちり歌う演奏会を開ける。名古屋にも「あかがめ響和国」などありますが、雰囲気としてはそれと親しい。それでいて、いかにも学生団らしい。手作り感溢れていながら、ポテンシャルはしっかりとある。いい合唱団だなと思いました。それこそ、あかがめを相互紹介差し上げたいくらい笑
とりあえず、アンケートに「食卓一期一会やってください!」って書いておきましたが、まぁ本心です。そんな、いろんな可能性を感じさせてくれる団でした。普段の合唱への向き合い方とは少し違いますが、非常に勉強になる演奏会でした。本当、歌の楽しみ方って多彩です。

〈おしらせ〉

こんばんは。わたべです。

当ブログですが、尋常じゃない勢いで回転していなかったので、少し記事を増やします。

具体的には、Facebook で上げていた演奏会評を今年度分すべてこちらに転載させて頂きます。

参考になるかと思ったら全く参考にならないと評判(?)のレビューでございますが、どうぞご笑覧下さいませ。

たまーに、参考になるかも、と噂です。

2013年12月9日月曜日

【三善晃オペラ『遠い帆』2013年公演】

2013年12月7日 於 東京エレクトロンホール宮城
外部記事参照
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/miyagi/news/20131207-OYT8T01339.htm (読売新聞)
http://www.kahoku.co.jp/news/2013/12/20131208t15011.htm (河北新報)

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因果の存在をおおっぴらに言明すると、少し怒る人もいるのかもしれない。

因果を肯定してしまうことは、一面的には諦念の色も濃い。決まっていると思われている運命に抗う心が、例えば自己啓発なのだとしたら。あるいは、認めたくないような酷い環境にいる者に、それは因果だ、と投げかけることは、一つには、人を絶望へと落としてしまう詞かもしれない。因果は、そして、経済格差をも肯定する。道理的には、認めたくないものだ。運命、といってもいい。

しかし、残念ながら、この世の中は因果で塗り固められている。様々な制約にがんじがらめになりながら生きることが、どうやら揺るがしようのない事実のようだ。実際、自分がお金を持っていないからといって、その場でお金を生み出すことは出来ない。それまでに積み重なった因果のアウトプットとも言える。

支倉常長が主役であるこの公演も、まさに様々な因果が絡み合った公演であった。主催・仙台市および公益財団法人仙台市市民文化事業団、協力・慶長遣欧使節出帆400年記念事業実行委員会および仙台市博物館、平成25年度文化庁地域発・文化芸術創造発信イニシアチブ、後援・宮城県、石巻市、大郷町、川崎町はじめ23団体余り。事前のプレトークや関連展示、プレコンサートを含め、多くの関連事業が組まれた。まさに、支倉常長の遣欧使節団400年記念の中核的な公演として位置付けられていた(支倉六右衛門出帆の際も、関係者はこんな雰囲気だったのかもしれない。)。

現在の現代音楽の現状としては考えられないような厚遇の公演だった。それこそ当時を知らない自分としては、昔へタイムスリップしたような気分だった。例えばオーケストラの公演でプログラムがすべて日本人への委嘱作品で固められた演奏会が開催されていたような時代に。

現代音楽の、特にオペラともなると、古典派やロマン派中心の現代のプログラムでは考えられないような大編成を要するものだ。オーケストラの規模としては、シェーンベルクの段階で第九を超える。現代の編成ではピアノが入るのも普通。中には内部奏法を要求してきたり、鍵盤楽器でも2~3台別のものを要求してきたりもする。打楽器の種類が増えるのはいうまでもなく、中にはティンパニ2台で演奏する作品すらある。演奏効果としては、大音量を可能にしたり、表現の幅を広めたり、色々と効果はある。ただ、問題として、カネがかかる。例えば先般の内部奏法などは、ホールがレンタルのピアノでの内部奏法を禁止していたりすると、別注でレンタルする必要がある。もちろん、団員が足りなかったらその分賛助演奏を募る必要もあるし、まして合唱がついたり演出がついたりする現代音楽のオペラなどはとても演奏頻度が低くなる。

ことによると、集客の都合で演奏すら困難になることが多い。それが、「遠い帆」ーー少なくとも土曜日公演ーーは、1階満員の客入りだった。興行的には大成功。成功をもたらす現代音楽公演という、現代音楽の、三善晃のための祝祭ともなった。

因果は、脚本のテーマである支倉常長以外の方面にも開かれていた。10月4日、このオペラを作曲した三善晃が逝去する。彼の逝去ののち、恐らくもっとも大きい演奏会が、『遠い帆』であった。ホワイエには初演時講演の記録パネルが、パンフレットにはサントリー音楽賞受賞時のコメントが、追悼の字とともに、公演後のカーテンコールでは、三善晃氏のパネルが掲げられた。13年前に生まれた、氏最初で最後のオペラ作品を、氏の追悼とともに省みることは、止めることの出来ない思惟でもあった。

さらに、奇しくも震災が、この公演にまた特別な因果を付加することになった。プレトークによれば、偶然にも、この公演が決定したのが、2011年3月7日だったという。脚本の高橋睦郎は、その後、半年間も主催者と連絡がとれなくなったこともあり、この公演計画は中止になったのではないかと思ったという。 決して震災のために企画された公演ではないものの、事業団としても、震災の後、仙台の、そして被災したホールの復活を掛けた一大プロジェクトとなったとの思いが強かったという。

ホールは、もと宮城県民会館という名の示す通り、とても古いホールだった。多目的ホールではあるものの、外観は、まさに名古屋の御園座を彷彿とさせるような、ビル型の建物。特に仙台の定禅寺通という、様々なオフィスや飲食店の立ち並ぶ通りに面していることもあり、傍目からは全くホールとはわからない。しかし、そこは、正に、歴史に残る公演をこれから残さんとするホールの姿であった

このホールでの『遠い帆』の上演は2回目だという。震災で使えない機構が未だ若干残り、思惑通りの万全な演出は叶わなかったという。しかし、このホールで演奏することを選んだのは、まさに、因果なのだろう。左右非対称という非常に特殊な構造を持っており、下手のみに花道がある。恐らく伝統芸能の公演を視野に入れた作りとなっているのだろう。今回は花道も封鎖され、主に打楽器奏者のピットとして利用されていた。

プレトークののち、開演。1幕20場面、60分。決して長くはない時間の中に、濃密な舞台が展開される。伊達政宗の命により、将軍の名代としての使節団がイスパニア及びローマに送られる。宣教師ソテロの司教への野望に導かれ、遠い異国の地へ、未知の世界への正使・支倉六右衛門の不安の船出。将軍の思惑により、キリシタン弾圧令が敷かれ、正宗は葛藤の末、六右衛門を捨てる。その頃、マドリードへ到着、受洗、そして果てはローマ教皇への謁見を果たした六右衛門たちであったが、彼らはもう使節の資格を失っていた。権力の翻弄の中に見捨てられ、自らの行く末におののくソテロに対し、今度は、六右衛門がソテロを導く立場になるーー。

出帆前、海を見つめながら繰り返される「闇」、途中、特に前半、何度も繰り返される「権力」の5文字の応酬、そして、後半の受洗における六右衛門の苦悩に伴う「あなたは選ばれた」という言葉。いずれも、抽象化され、何度もモチーフとして用いられることで、世界観は音画的に描かれる。妖しく、激しく蠢く苦悩にも似たオーケストラ、そして、翻弄される運命を、言葉の内容、そして音によって作られるイメージの中で、ファジーな要素を残しながら、しかし確実に進展してゆく。早い展開が、因果のままに翻弄されてゆくあらゆる主体の時流を象徴する。

一寸先は闇、しかし、権力もまた因果であり、因果(「あなたは選ばれた」)により六右衛門は強くなった。因果、あらゆる運命はまた、権力の一つである正宗をもまた、家康の権力という濁流に巻き込んでゆく。「(合唱)地上には権力者 いつも どこでも/人間のいる限り いつも どこでも/闇!」(上演台本抜書)仕方のないもの、といえばそれまでかもしれない、しかし、受け入れる事以外に何の出来ようーー受洗を通して、六右衛門の因果に対する態度は急変した。それは、確かに受け容れがたいものかもしれない。しかし、事実として受け容れた後、それは開口部でもある。

三善晃音楽の頂点はどこにあるのだろうかと考えていた。確かに、氏は作曲家の身のまま世を去った。最期の作品は、おそらく未完のオペラであったという。ーー氏はなんども作曲家としての極大点を迎えた。例えばそれは三部作や四部作であったり、『五つの童画』であったり、『木とともに人とともに』であったりする。それらの作品もまた、氏の様々な因果宿命の中で生まれた作品たちであった。主に、氏の戦争体験のみせる主観性をして、それらの作品は書かれた。『遠い帆』は、そういった因果的な主観性を抽象化したものとして作曲されたものといえよう。支倉六右衛門と三善晃の立場の、大きな意味での共通性ーー氏もまた、戦争や楽壇といった、様々な因果に翻弄されたーーが、彼をはじめてのオペラへと駆り立てた

そしてそれは、愈氏の最高傑作となった。氏独特の、内面性を抉る音使い、言葉に寄り添い、言葉のリズムを拾うかのように付けられた歌、そして協和音と独特のリズム、対位法と和声法の交錯する合唱、単旋律を天上の声のように奏でる児童合唱ーーいずれも、氏がこれまでの作曲の中で習得したあらゆる技術が投入されていた。圧倒的なスケールと音圧、そして静けさから浮き立ち静けさに消えてゆく音楽。

総監督・宮田慶子氏の指摘した通り、演出にも、仙台の、そして日本の演劇界の総力が結集された。岩田達宗による総合演出、渡部ギュウを中心としたトップクラスのパフォーマンスは、あいちトリエンナーレ2010でみた、とあるパフォーミングアーツを彷彿とさせた。抽象的な世界をわかりやすくも奥深く、そして象徴的に焼き付けた。佐藤正浩の指揮する仙台フィルハーモニー管弦楽団は、三善晃の、合唱人が知らないほど複雑な音の羅列を、歌の邪魔にならずも、しかし明確なメッセージを持って伝えきった。合唱は、公募オーディションによる市民合唱団、そしてNHK仙台少年少女合唱隊。福島をはじめ合唱天下の東北地方の、そしてグリーン・ウッド・ハーモニーを中心とする豊かな経験をもった宮城県の合唱界の実力をしっかりと見せつけた。協和音を美しくはめながら、言葉を明確に浮き立たせるその確かな蓄積、そして実力。宮田氏をして絶賛されるものであった。

舞台暗転からの一瞬の沈黙。仙台の観客は、目も耳も確かだった。割れんばかりの拍手、そしてブラボー。自分もまた、声を挙げた一人だが、その思いは、間違いなく心の底から発せられたものだ。名演だ、傑作だ。日本には、こんなオペラを作るあまたのアーティストが存在する。簡素ながらしっかりと支える舞台機構を含め、宮城の老ホールに、日本の芸術のすべてが結集していた。

ホールの外にでると、定禅寺通。仙台の夜は毎年、光のページェントというイルミネーションのイベントをこの通りで開催しているそうだ。大きな街路樹の枝の先にまで繋げられた、仙台を明るく照らす光のアーチ。ーーまるで、幸運な因果に導かれた仙台の街を祝福しているかのようだった。この街は、選ばれているのだ、きっと。

2013年12月2日月曜日

【第54回豊中市合唱祭】

2013年12月1日 於 豊中市立アクア文化ホール

テスト勉強なんのその!行って参りました(ヤバイ)

東京では早稲田大学グリークラブ、名古屋では名フィルメサイア、京都では同志社グリークラブと、目玉演奏会がズラリと並ぶ中、わたべがこれを聞きに行くのを選んだのは、ひとえに、豊中に身をおく間、せめて少しばかりは豊中の合唱事情を勉強しておきたいと思ったためであります。少なくともこればかりはテストのせいではない。

いやぁ、なかなか勉強になりました。

・豊中合唱界の裾野の広さ
読みは当たっていた。児童合唱団、学生団、一般団、おかあさんコーラスなどなど、本当にすさまじい裾野の広さ。中高生のボリュームに不足感があるくらいでしょうか。嘗てコンクールで大活躍していた団から、近所の友だちと集まって楽しくやっているアンサンブルまで、本当に色々な方が色々なアプローチで合唱を楽しまれているのだなぁと実感する次第です。そもそも、今回の主催である「豊中市合唱協会」という組織の存在そのものが、豊中市の合唱人気を物語ります。

・高齢化の波が顕著か?
これはどの地方にも共通して言えることではあります。しかし、豊中市の場合、その中心となる層がおかあさんコーラスにあるというのが、高齢化に拍車をかけています。おかあさんコーラスとひとくちにいっても、蓋をあけると、「嘗ておかあさんだった人」がおかあさんコーラスに所属していることが結構多い。しかも豊中市は大阪府最大規模のベッドタウン。千里ニュータウンなんかも、豊中市に入ります。ニュータウン問題も相まって、将来、存続という意味では岐路に立たされるかもしれません。
とはいえですね、現時点で合唱祭を6時間半ぶっ通しでやってますからね!プログラム上は休憩なしですからね!(後にも書きますが、一部中座しました。さすがにキツかった……汗)しばらくは安泰といったところでしょうか笑

・会場について
極普通の講演兼用ホール。池田アゼリアよりはマシな音響。前で聞くと引っ込む割に、席取りとしては若干後ろ目に構えたほうがいい様子。少し傾斜が急なところが、その原因かもしれません。お隣は大規模改修中……と思いきや、なんと新ホール建設中とのこと。いやはや。

本日の出演団体は、54団体でした。県合唱祭でこれだけの団体数を用意できない地方もあるのでは……いやはや。

・気になった団体など
「コール・モリティー」
Chilcott: Gloria, Sanctus from Nidaros Jazz Mass
朝から爽やかな演奏でした。高音の伸びを除けば、キレイにハマっていました。モリティー軍団は、豊中の最大派閥の一つ(!?)みたいです笑

「女声合唱団アルス・ノーヴァ」
今正秀(arr.たかだりゅうじ)「底力のタンゴ」
森田公一(arr.尾形敏幸)「あの鐘を鳴らすのはあなた」
おばさま方のコーラス。1曲目は、歳により身体やアタマが言うこと効かないが、めげずに頑張っていこうという自虐ソング。会場の笑いを誘っていました。

「大阪大学男声合唱団」
Whitacre: Lux Aurumque
林明杰: Ave Maria
阪大の合唱団にはどうしても興味が向いてしまうのです笑ホールを選ぶ選曲でした。Whitacre が少し急ぎすぎたか。midiみたいな演奏になってしまいました。Lin Ming-Chieh は良。ちょっと「安部まりあ」っぽかったけれども笑しかし、Whitacre 選んで浮く演奏会というのも久々だったなぁ、と思いました。自分の合唱に対する認識というのも、いささか狭窄しているのかもしれぬ。

「第十二中学校PTAコーラス友鳩サークル」
藤本薫子「お月さまたべちゃった」
新井千音美「秋の誕生日」
選曲が面白かったです(月並←)!

「アクア混声合唱団」
Stevens: Do not Stand at My Grave and Weep
安藤愼悟「夢想曲〜神様がくれたメロディー〜」
なんと!とうとう現れた!指揮者の譜面台に置いてあるのは、なんと iPad!いずれ現れるとは思っていたが、まさかこんなところでお目にかけることができるとは……なお、2曲目は iPad 先生の自作自演だったようです。

「女声アンサンブル アトリエ」
木下牧子「曇り日なら」「ある日のたび」
この曲、どっかで聞いたことあったような気がするんですが、どこだったかしら?(それだけ)

「ヴォーカル秋櫻乃会」
Chiara(清水修): La Spaghola
スペイン民謡:エルビート
なんかスペインっぽい衣装に身を纏い、ゆらゆら踊りながらスペインに対する憧憬を情感豊かに歌い込めてくれました。指揮者・今川季榮子先生のソロがお上手でした。

「東邦フォヴェット」
Miklós: SALVEREGINA
荻久保和明「こきりこ」無伴奏女声・同声合唱のための『なつかしいうた』より
合唱祭から注目していた、年齢層の割には今風の発声をする団。今回も、和声のハマりが今一歩だったりするところもありますが、結構うまかったです。少し音圧に欠けるのが難点か。府のコンクールにも出たそう、って、府のコンクールってあるんですか?知らなかった。

「栗ケ丘フィルコール・第三中学校合唱部」
久石譲(arr.信長貴富)「もののけ姫」「さんぽ」『宮崎駿 アニメ映画音楽集』より
OBOGと現役の合同。この曲が大好きなんだなぁというのを目一杯感じる演奏でした。あと、信長アレンジはさすがですね。楽しかった。ポップスステージでお悩みの団の方は是非。

「豊中少年少女合唱団・豊中ユース合唱団」
萩京子「電車」『風がおもてで呼んでいる』より
千原英喜「雨ニモマケズ」
「雨ニモ」がすごかった!まさかの合唱祭イベントでこの曲をぶつけてくるっていうのもそうだし、この団、基本技術がしっかりしているので、聞かせるんですよね。思わず、ブラボー。お父様お母様が一部オンステされていましたが、団員の皆がしっかりリードしていて頼もしかったです。

「豊中混声合唱団」
Grieg: Ave Maria Stella
Miskins: Cantate Domino
豊中の中で恐らくもっとも有名な一般合唱団。個人的には初豊混でした。少年少女とともに、西岡先生の指揮。内声がよかったです。この団が永く一流の団と認められてきた理由はここにあるのだろうなぁ。ソプラノに少々綻びが見られるのが不安材料。とはいえ、この合唱祭の中では、特筆すべき整った演奏。Cantate Domino が、嘗てトヨタ自動車がアンコンでやっていた、好きなアレンジでした笑ようやく忘れていた作曲家を割り出せたw
上田真樹やってほしい音色ですね。是非に。

・最後の曲は
「豊中市合唱協会合唱団」による、「あまちゃん」のメインテーマ。栗友会だけではなかったか……笑
http://www.youtube.com/watch?v=MCdWuTUDQGI

・メシーコール
さすがに辛くなったので、30団体聞いて一旦9団体ほど中座。適当に何かないかなぁ、と、日曜日15時という最悪なコンディションの中見つけた、駅前通りのとある居酒屋兼定食屋。Googleで探せば見つかると思ったのだが、不明。ブリ大根の文字に惹かれて入ったものの、切れていて残念。かと思ったら、ブリの代わりにタイのお頭が出てきた。それでもブリと変わらず680円。聞くところによると、昼定食は主菜に関係なくこのお値段とのこと。機会作って今度は飲みに行きたい。なお、このメニューのチョイスにより、おばあちゃんっ子だと言われましたが、大体あってます←

2013年8月31日土曜日

【東京混声合唱団いずみホール定期演奏会No.18】

2013年8月30日 於 いずみホール

〈予備知識〉
東京混声合唱団:日本を代表するプロ合唱団。桂冠指揮者・田中信昭の創団時の方針もあり、日本人作曲家による委嘱作品をこれまで多く扱い、日本の合唱シーンに与えた影響は計り知れない。なお、アメリカの Chanticleer と並んで、団員に月給が出る、世界的にも数少ないプロ合唱団でもある。

さて、せっかく大阪に住んでいるからには、外せない公演のひとつ。

チケットどうしようかなぁと思っていたところで、ある日、郵便受けにハガキが。

しかも、住所がラベルシール。一体何のハガキ?と思ったら。

《ご招待・東京混声合唱団いずみホール定期演奏会No.18》

ふおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?

実は、名古屋演奏会の以前から度々こういったご案内を頂いてはおりましたが、いずれも東京の定期。前回の大阪定期の招待状も戴いたかもしれないものの、当時は名古屋在住。

まさか、こんな栄誉にあずかるとは……

ということで、愈プロの楽団の招待状受付を使用するに至りました。ちょっと手が震えました。

ハガキと引き換えに返ってきた券はS席相当。ソプラノ寄りの、真ん中の通路挟んで2列目。非常に素晴らしい位置で聞かせていただきました。

ここに改めて、事務局の皆様、殊K様に心から御礼申し上げます。会場でご挨拶出来ず申し訳ありません。

そんなわけで、少し気合入れて書かせていただきます。否、そんなこというまでもなく、凄まじい公演でした。全て東混のために作られた(!)、新しいものづくめの演奏会です。

〈ホールについて〉
いずみホールについてはもう知っているよぉ、という方が多いかと思いますが。
とは言え、実は私、いずみホールのよさというものをイマイチ理解できないでおりました。どうも、音がふわっとして、どっかに飛んでってしまっているような感じがして。
でも、わかりました。あのホールのすごさ。
もっとも、推測に過ぎませんが、あのホールは恐らく、ホールの中央付近の音響を最大限高める音場設計をしてあるのだと結論するに至りました。実際、今日聞いた音の凄みは、ホールの音場というのも有ると思います。正直、いずみホールをいい席で聞くなんていう機会はこれまで殆ど無かったので。1番良くて後ろ寄り。でも、いずみ・サラマンカの後ろ寄りの席って少し高くなっているから見下ろす形になって実はあんまり音響良くなかったりする。
ホールのありがたみをヒシヒシと感じるに至りました。すごいわ。いずみホール。

〈観客マナー〉
実を言うと、一昨日の同志社金グリ立グリのジョイントコンサートは、凄く観客のマナーが悪かったのです。Twitter参照。
それに対して、今日のお客様方は、本当にマナーが素晴らしかった。もっとも、最初の曲が曲だった(後述)というのもあるかもしれませんが、一音一音聞き漏らさないでやる!という思いがヒシヒシと伝わってきた。凄く、音楽を聞くにはいい時間だったように思います。

〈第1ステージ〉
・小出稚子(1982-)『入れ子』(東混2011委嘱作品)
たまげた。
本当に、たまげた。
極度の緊張感の中、僅かな気息音がホールの音響を満たし、それが段々と広がってゆく。
席一つ、あるいは、足を組み替えることさえままならないような、そんな沈黙と、「赤子が発する」(パンフ)気息音、あるいは、「赤子をあやすときの」(同)リップノイズ、「そしてそのときの身振り」(同)の擬音化など、様々なモティーフが断続的に、刹那的に繰り返された後、最後にはまた気息音に収斂し、静かに曲が閉じられていく……。
端的に言うと、曲中、最後まで、ピッチの付いた音を鳴らさなかった。プロの声楽家集団でもある東混が、その最大の武器を使わずに演奏しきった。観客は、最初っからド直球の現代音楽に相当戸惑っている様子だった(正直、リスポンス的には最悪で、カーテンコールを呼び出すのが精一杯だった)。でも、少なくとも自分は思った。傑作だ、これが出来るから、東混なのだ、これが出来るから、東混は日本の音楽史を塗り替えてきたのだ、と。

とは言え、客席の誰も(そして自分も)、思っただろう。
次 は ピ ッ チ の あ る 音 を 鳴 ら し て く れ ! w w

〈第2ステージ〉
コンサートマスター・徳永さん(ぷー……)←ピッチパイプの音
ほっ(笑)
・池辺晋一郎(1943-)『窓の声、光の声〜混声合唱のために』(東混2012委嘱作品)
今度は打って変わって、東混で何度も発表している、池辺晋一郎作品。
やはり、東混、この年代の日本人作品は昔からお手の物です。勿論、メンバーは変わっているでしょうが、日ごろのトレーニングの成果が活きている。
テキストは小池昌代さんのもの。テキストを追うように、最初はランダムに発されてゆく音列が、段々と一点に収束していくように、だんだんと「わたしという小さな窓」へと纏まってゆく様子がよく描かれた佳作。
あえていうなら、東混特有、少し歌詞が聞こえづらかったか。しかし、なにより、和音を当てるのが難しい曲ながら、そつなくこなしてゆく。まるで、その和音であるのがさも当然であるかのように。
初めて聞いた曲なのに、何処か懐かしくも聞こえる、そして、何より、非常に安心して聞ける演奏でした。
とはいえ、現代曲であることには変わらない。観客はまだ反応を探りかねている様子。厳しいなぁ(笑)

インタミ20分。
前半所要時間はわずか30分。しかし、このボリュームこのプログラムにして、この長さは妥当だろう、という長さでした。
しかし、舞台には早速、次のステージへ向けて謎の黒い筒のようなものがセッティングされる。
さすが、期待を裏切りません←

〈第3ステージ〉
作曲家・酒井健治さんプレトーク。
大阪府池田市出身と堂々とチラシに書いてあった割には、幼年時には既に親の都合で兵庫県宝塚市の住民になっておられた様子。裏切られたー!w
また、この曲の着想は、大学時代にハマったフランス映画が元になったとのこと。とりわけ、「勝手にしやがれ」の最後のテキストに感銘を受けられたとのこと。なお、本人は、フランス映画が最終的にフランス行きを後押ししたとおっしゃっていた。
・酒井健治(1977-)『Je est un autre II〈私は他人であるII〉』(本公演委嘱初演)
事前情報にあったとおり、24声部曲を24人の選抜で歌い切るという、プロの技倆を贅沢に使い切る編成で乗り切られました。まずはそのポテンシャルに何より敬服。
で、肝心な曲ですが。総合力を求められる作品でした。1ステと2ステで見せた東混の2つの顔を総合させるような曲。孤立している和音を一つ一つはめる作業の先に一つの和音が浮かび上がる。そして、その分散した和音が、やはりひとつに収斂していく。私は他人である、という、何とも雲を掴むようなテーマのもとに。
プログラムとしても、前プロが上手く伏線として成立し、かつ、それを止揚する形で、より次元の高い作品に仕上げていくその姿。3ステージを通して、現代音楽家集団としての今の東混の存在を再確認させる傑作だったと思います。曲も、東混がやるべき曲、東混にしか出来ないような実験的かつ明確な形をもった作品でした。また聞きたい。なお、東京再演があるそうです。
個別のエピソードだと、第2曲のソロを歌われている時に、徳永さん(本日2回目の登場)が僅かな休符のスキに音叉を叩いてピッチを確認しているところにプロの凄味を感じました。コンサートマスター。あれこそ、アンサンブルをする、という点においての究極の姿勢なのだろうなぁ。
なお、黒い筒は、振り回して、反響のゆらぎを作っている様子でした。

〈第4ステージ〉
・若林千春(1961-)編『NEW 東京混声合唱団愛唱曲集「ローレライ」』Pf. 若林千春
東混のもう一つの姿。最近のこの手の東混が結構好きだったりします。
特に、松井・東混ペアは、今年、小学校巡回公演で何度もこの手の曲を合わせてきたであろう中。阿吽の呼吸で、すんなりと音楽が進んでゆきます。
編曲者の自作自演の、ちょっとジャジーな(プレイスタイルが)ピアノも相まって、とてもしなやかな、のびのびとした、東混の各団員の声の良さが最大限活かされるステージとなりました。前3つと比べても、上手く着地できていたのではないかなぁと笑
個人としては、「月の砂漠」(佐々木すぐる)の最後の方に出てくるような、カデンツとでもいうべき、東混がフォルテでガンガン協和音を鳴らすところとか大好きなんですよね。大人向けにも、もっとこういう公演増やして欲しいところ。もっとも、僕自身ゴリゴリの現代曲も好きなのでややこしいのですが笑
他、「アニー・ローリー」「峠の我が家」など、佳作。演奏会全体のプログラムの順序および選曲に心からブラボー。

〈アンコール〉
・翼をください(若林千春編曲)Pf.付
・となりのトトロ(若林千春編曲)a cappella
いずれも、子ども向け公演で「子どもたちに育てていただいた」(事務局Twitter)曲とのこと。手慣れたもの、といった様子、松井さんの指揮もさながらカルロス・クライバー。最後に楽しく終わることが出来ました。特にとなりのトトロは、普段の子ども向け公演の楽しさが伝わってくるような出来!ボイスパーカッションで隣の団員にちょっかいをかけ、トトロ扮した団員が飛び上がると衝撃でよろける、などなど、小ネタ満載でした。いいなぁ、小学生。あと、どっちも、アレンジがカッコ良かった。トトロとか人気出るんじゃないですかね。

〈総評〉
東混の総合力の高さを見せつけられたような気がします。特に最近の東混、物凄く調子がよいような気がする(以前がダメだったわけでもない)。今後共、東混にしか出来ない技で観客を楽しませていただきたい処。心から期待しております。

〈前哨戦〉
コメダ珈琲店・天満橋筋六丁目店
初めての関西コメダ。本当にコーヒーが20円高くてビビった。アイスコーヒーとエッグバンズを注文して2時間半ほど暇をつぶす。ええ、名古屋人ですもの。通り沿い、街中の店舗ということもあったものの、周りの客の回転率がコメダの割に異様に高くても、2時間はいないとコメダで元がとれる気がしない。しかし、接客の雰囲気が、喫茶店というよりカフェっぽい、悪く言えば媚びている感じでいかん。単純に、喫茶店文化が浸透していないんだろうなぁ。コメダのブランドイメージ定着は案外前途多難かも。あと、店が寒かったから単純に長居きつかった。その割には、無駄な思考は進んだ。これだからコメダはやめられない。もっとも、良さに気づいたのは学部のときくらいからだが。

〈メシーコール〉
九州博多ラーメン・一福
おかしい、水曜日もラーメン食ったはず……カネが飛ぶ……
演奏会の興奮冷めやらぬ中、かねてから気になっていた阪大坂下のどぎつい黄色をした看板の店(笑)へ。
フッツーに美味かった。個人的には、名駅の驛麺通りのやつより好き。ネギの味の濃さ、スープの甘さとコクのバランス、紅しょうがや高菜の安心する味、などなど。博多ラーメンなめてた。スガキヤと肩と並べる味を出せるんですね、アヤツは←
後は、今日は試さなかったが、にんにくが青森産らしい。全体的に素材を活かしている感じが伝わる。今度は最初麺硬め、次バリカタくらいで試してみたい。

シェアした画像は、東混さんのアップした、1ステの風景から。最初の衝撃は本当にすごかった。さらに、演奏以前の話を言うなら、松井さん、背、高っ!という、素直な印象は今も尚鮮明である(笑)

2013年8月30日金曜日

【三大学グリークラブサマーコンサート】

2013年8月29日 於 同志社寒梅館ハーディホール


結論だけ先に言っておきます。

今日は雨は降りませんでした。

ホールについて:
天井さえ高ければもっと響きが良くなるし、そもそも使い勝手が良くなると思う。ただ、多目的ホールとしては本当に多目的に使えるであろうホール。なにより、ステージ脇に照明兼バルコニーが設置されているのが魅力。残響も1秒くらいは残っている。それを学生や大学は存分に使えるというのだから、羨ましい限り。

0, エール交歓:
金城学院大学グリークラブ『金城学院校歌』
立教大学グリークラブ(混声)『第二応援歌 St. Paul's will shine tonight』
同志社グリークラブ『Doshisha College Song』
どうしても、College Song を生で聞いたその衝撃は忘れられない。東は都の西北、西は同志社といった空気がどうもあるような気がしてならないが、そこに至る理由も分からなくはない気がしている。金城の校歌は初めて聞きましたので特に懐かしさがあるわけでもなく……←
あと、エール交歓を他校にバトンタッチするにあたり、握手をする演出は必要なのだろうか。ほら、女→男→男になるから一人かわいそうzyくぁwせdrftgyふじこlp;@:「」

1, 金城学院大学グリークラブ
無伴奏混声合唱のための『うたおり』(松下耕;2011)より
「薔薇」「崖」「戦場」「夕餉」
懐かしさを感じる演奏だった。否、実は金城大学の演奏もうたおりも初めて聞いたんですが、何が懐かしいって、この、いかにも名古屋ー!って感じの演奏ww特別なことをしているわけではなく、逆に個々がしっかり声を出すことに重きを置かれ、その意味では誰もがしっかり歌えているのだけれども、母音や響きのズレが原因で、ところどころ細かいハーモニーがずれたりする。もっとも、金城上手かったんですけどね、凄く笑さすが金グリって感じです。女声で数が少ない割にはしっかりとパワーが出ていて、しっかり聴かせるステージになっていたとおもいます。コンクールも安泰かと。まぁ、何がいいたいかって、こんなところで露骨に懐かしさを感じることになるとは思いませんでしたってことですね笑
組曲としては「薔薇」「夕餉」に好印象。みなづきみのり先生には薔薇について書かせると大体いい詩が帰ってくるのだろうと推測されるに至る。「夕餉」は、結婚式ソングにいいかもしれない(今年このテのこと言ったの何度目だろう……)。もちろん、他の2曲も素晴らしかった。混声リダクション希望。

2, 立教大学グリークラブ(男声)
男声合唱組曲『わがふるき日のうた』(多田武彦;1977)
簡潔に言うと、期待を先行させすぎました。
いやだってほら、聞いてくださいよ。チラシにですよ、ででーん、と、わがふるき日のうた、って書いてあるわけですよ!?そら、期待度マックスでいくでしょう、過去の名演(ここがポイント)聴き漁ったりしますでしょう。期待度インフレするじゃないですか、で、演奏聞くじゃないですか。名演聞いた後だからアラが目立ったりするじゃないですか、ね、ほら、いい演奏だったとしても……。
はい。いや、決して、ど下手なわけではないのですが。トップにもう少し頑張って欲しかったのと、全体的に抑え気味な演奏だったのが、タダタケの魅力を引き出すには不足する点だったのではないかな、と。もう少しお互い出しまくった中で妥結点を探ったほうがよかった。個人的なイメージとしては、かの演奏において「鐘鳴りぬ」の冒頭で出た強さをmfくらいに音量設定すると調度良かったのではないかと思われる。つまり、「鐘鳴りぬ」冒頭はもっと音量が出ていなければならなかった。
なお、「鐘鳴りぬ」「雪はふる」は十分及第点。特に、「雪はふる」のソロは素晴らしかった。「Enfance finie」のソリストも頑張っていた。ブラボー。

インタミ10分。しかもインタミここだけ。ステマネはいつものFさんにつき、超スムーズ。何が言いたいか。休憩時間短いわwwwww

3, 立教大学グリークラブ(女声)
女声合唱曲集『うたをうたうとき』(信長貴富;2007)より
「世界で一番おいしいパンケーキ」「うたを うたう とき」「きみ歌えよ」「春」
ある意味で女声合唱のお手本のような演奏だった。和声は物凄くよくハマっているし、どこにも荒れた点がなく、よく揃っているんだけれども、音圧が足りない。全然足りない。そりゃもう。ほとんど蓋を閉めているピアノにかき消されんとしているレベル。せめて、「パンケーキ」の強拍くらいもっと弾んでくれてもよかったのに……。「バカも卑怯もまるだしで」という歌詩なんかは、正直説得力がなかった。音色や音の鳴り方は素晴らしい。「春」などはこの路線で行けばもっと完成度高くなる。だからこそ、武器として音圧が欲しい。そう、丁度言うなれば、金グリのような。お互いにとっていい刺激になると良いと思う。
曲としては「うたを うたう とき」と「きみ歌えよ」は『新しい歌』と同一の曲。「世界で一番おいしいパンケーキ」が可愛い曲だった。

4, 同志社グリークラブ
男声合唱とピアノのための『くちびるに歌を』(信長貴富;2005)
簡潔に言うと、期待を先行させすぎました。
っていうと思ったじゃん?←
対比させるようになってしまって恐縮なんですが、これは、期待程度の出来にはなっていました(もっとも、手許の音源がげふんげふん)。若干観客の気の緩みが気になる感じではありましたが、それにしても、この曲は何度聞いても感動できる。若干演奏があっさりしているかなぁという感じもありましたが、それも同志社ならでは。決めるところがしっかり決まっていたのが印象的。その意味で、「白い雲」「わすれなぐさ」の中間部(特に「わすれなぐさ」の和声をふくらませる部分!)はさらに精緻にされることを強く期待したいが、「秋」の完成度は非常に高かった。もっとも、その意味では、テナーの層が厚いということが機能しているにすぎないのかもしれないが、だからといってベースが悪いわけでもない。演奏会で再演とのこと。最高の仕上がりを期待したい。特に、いっこ下のみんなは聞きに行って損はないと思う。
あと、なんだろう、この団だけ数の暴力を使っていたような……きょ、京都の演奏会だからかな!会場が寒梅館だったからかな!w

5, 三大学合同演奏
"Agnus Dei"(Barber, Samuel; 1938)
「今回のジョイントは三大学ともキリスト教の学校ということで」(伊東先生)この選曲。普段このテキストは歌い慣れているのか、あるいは、立ち振舞がよくわかっているのか(あるいは伊東先生によく飼い慣らされているのか←)、圧倒的に男声が多いという非常に厳しい制約の中でも、女声の主旋律、あるいは対旋律が非常によく浮き立った素晴らしい演奏でした。思い返すと結構長い曲だったのかもしれませんが、それを感じさせないくらいには爽やかで美しい演奏。Wikipediaには「秘曲」と紹介されたこの曲。結構貴重な機会に立ち会ったのかもしれないなぁと思っています。

アンコール:伊東恵司
"Cantate Domino"(松下耕)
引き続き。今思い返せば、ああ、この曲のことなのかぁ、とも思いましたが。非常に素直で歌いやすくて且つ美しいという、信仰に篤い松下先生ならではの曲だなぁと思う次第。演奏は先述の通り。ステージいっぱいに広がっての演奏。数える限りでは同グリはセレクションしていたっぽいのだが、それにしても多い。

カーテンコール後、客席で手拍子が巻き起こったのにも関わらず、残りはロビーでの演奏と相成りました←

ロビーストーム
夢みたものは(木下牧子:混声)
斎太郎節(竹花秀昭:男声)
遥かな友に(礒部淑:女声・男声同時)
やはりさいたらはよい(ことの全て)。周りすらも歌っているのが如何にも!という感じ。あるいはアレはOBなのか。なんにせよ、ブラボーは思わず叫びたくなる。あのお祭り感素敵。名古屋では男声少ないのもあって中々味わえない光景。最高。
あと、関西は、団長・実行委員長挨拶はストームの最後というのが常套なんですかね(今回は「遥かな友に」5回目(!)のリピートで、ハミングで歌いながら挨拶)。名古屋は大体、アンコール前か団歌後が一般的なので。それとも、ジョイコンだけの光景か。

メシーコール
「天下一品ラーメン」今出川店
今日の譜めくりされていた方がTwitterで天一天一連呼されていたので、思わず。こってり大盛り。スープまで飲み干したら、今、結構腹にキテいる。とはいえ、名古屋の天一より美味かった。多分麺の茹で具合。同志社向きの学割を阪大院生の学生証でフリーライドしてすんません(反省の色なし←)

2013年7月30日火曜日

【第29回宝塚国際室内合唱コンクール特別演奏会】

2013年7月28日 於 宝塚ベガ・ホール

正直、試験近いし(日付変わって今日とか)、やめとこうかと思っていたんですがねぇ。某団体が出るっていうからしょうがないですねぇ。
これも、書け的圧力を某所から受けた、気がした←
1日置いたから、ところどころ忘れているかも……

〈前日〉
某湘南系中国人さんのTwitterから結果を聞いていた処、なんと発展形鯱の団が次の日の特別演奏会に出るとのこと。否これはめでたい、是非馳せ参じようという次第。
さらに、ある団員を泊めてくれないかということで。快く宿を貸し出すものの、お湯は止めているため彼には銭湯に入ってもらう。ついでに自分も彼が来る前に1ヶ月ぶりに暖かいお風呂へ入る(くっそ気持ちええ!)
なお、その日は、彼を家に泊め、自分は家のスペースがない余り研究室で寝た模様。4ヶ月で何度、研究室で夜を明かしたっけ……(遠い目)

〈当日:演奏会前〉
ついでに朝一発目の練習見学させて頂きました。細かく記録を取っていたわけでもないので、内容を具体的に覚えているわけではないのですが、身体の使い方を気にする順序、あるいは、気にする場所などについて、とても勉強になりました。関係各位ありがとうございました。
直前練習は御暇し、ベガ・ホール近くの喫茶店へ。カレーが美味しいです。素揚げした(多分)じゃがいもとカレールーの相性が中々。ルーのとろみと雑穀米もgood。1日10食(鍋1個)限定だそう。ワシントンホテルの箸袋で出てきたので、その絡みの逸品かも。ドリンクついて800円。地元常連さんとわけあって会話したのも楽しかった。店主のおばちゃん、さすがに愛・地球博は「愛知花博」なる謎イベントに格下げしちゃいかんですわ。なお、やろうと思っていた試験勉強はほとんどしていない。やばい。

〈当日:演奏会〉
ホール:ここまで好みとドンピシャなホールに出会えるのはそうない。シューボックスタイプの理想とも言える、響くけれども決してステージ界隈で篭ることのない、それでいてかつ、客が入っても2秒程度残響が残る、素晴らしい音響だった。したがって歌い手は跳ね返り少ないみたいで大変そうでしたが、ちゃんと出せば pianissimo なんかも相当潤沢に響きそう。あるいは、武満徹に理想的なホールというとわかりやすいかもしれない。

概要:前日に行われた「宝塚国際室内合唱コンクール」海外団体+国内上位団体が出演するコンサート。プログラムは前日と変わったりするみたい。そもそも持ち時間が増えるとのこと。

1. 宝塚合唱連盟有志によるTICC女声合唱団(宝塚)
Ave Maria(Brahms)
Night Thoughts for Choruses III&IV(Chen Yi)
審査員の先生が地元の団を指揮しての演奏。この演奏で、ホールの素晴らしさを感じられました。最初がBrahmsだったというのも、そのリサーチによくはたらいた。後者はなにやら恋唄とのこと。歌そのものは、恐らく昔ながらの発声で、若い世代だと嫌われそうなベルカント風だったものの、決して下手くそではなかった。関西のポテンシャルを思い知らされる(幾度か目)。

2. Taipei Century Choir(台湾)【フォークロア部門銅賞】
Ave Maria(Ming-Chieh Lin)
Return to The Forest(Chen-Hui Jen)
A Bird(Taiwanese Folksong)
ホールの音響と非常に相性が良かった団。1曲目は、どっかで聞いたことがあった曲。カントゥスだったか、どっかの動画サイトだったか。この妙な疾走感が結構ツボに来る。アラカルトには入れてみたい感じ。あと、3曲目の衝撃のラスト感。ハーモニー綺麗な団だったので、素直に縦の揃う曲とかの方が良かったかもしれない。部門選択の問題かも……?
司会「えーっと、此方は……台湾のどちらからいらしたんですか?」指揮者「台北(Taipei)です」あのさぁ……笑

3. 《EST》シンガーズ(三重)【ルネサンス・バロック部門銀賞】
The Joiku(Linkola)〈女性〉
ALLELUIA(Whitacre)〈混声〉
1曲目の仕上がりはお見事。曲も楽しかったし、声を変えるのが相変わらずお上手な団。ロシア人受けが凄く良かった。2曲目も、さすがESTという出来にはなっていました。が、もう少しアンサンブル出来たような気がします。なにか、各パートがバラバラに出して結果揃っているという印象でした。しかし、向井先生の指揮は見てて元気が出てくる。

4.The Cygnus Vocal Octet(東京)【総合2位、兵庫県知事賞、ルネサンス・バロック部門金賞、近現代部門金賞】
Kondalilla(Leek)
天の元后 喜びたまえ(高田三郎)
Regina Caeli(Mocnik)
聖霊の続唱(高田三郎)
Veni(Nystedt)
旧ジャパンユースのメンバー有志が集まったというチート(いい意味で)集団。なんと2回集まっただけで邦人団体1位の座をかっさらっていったそうな。確かに間違いなく金賞にふさわしい演奏でした。特に1曲目の仕上がりは絶品。音響効果も考えた配列でお見事。全体的に楽譜の再現は抜群だったものの、何か、心に入ってくるものが足りなかった。こういう、規準のない表現は良くないとはわかってはいるのですが。

インタミ。審査員などではない、松原千振先生が観客としていらしていた。うむ、国際コンクール。

5. Choir UrFU(ロシア)【フォークロア部門銀賞、近現代部門金賞】
"Capricata a tre voci. Contrapunto bestiale alla mente" from "Festino nella sera del Giovedi Grasso avanti cena"(Banchieri)
Sakura(arr. Chilcott)
"Flower Duet" from "Lakmé"(Delibes)(選抜2名:アナウンスより推測)
Unknown Lady(Falik)
Spring water op.14 No.11(Rachmaninov)
ロシア民謡(タイトル不詳)
力強くて楽しい演奏だった。1曲目は非常に観客を沸かせました。ギラギラしていて、ところどころ技術的にコケているところがあることにはあったのだが、それにしても、歌が大好きで大好きで仕方ないんだなぁっていう、まさにそんな演奏。最初から最後まで圧倒されっぱなし。特に最後のロシア民謡は不詳だけれども是非またきいてみたいところ。選抜2名のデュエットも素晴らしかった。女声曲ながら1名はカウンターテナー!絶品でした。なお、コール・ロシアでは断じてない。ウラル工科大学とやらの学生団だそうです。あと、指揮がフルトヴェングラーだった。あらゆる意味で。

6. Ensemble Lorca(愛知)【フォークロア部門銀賞】
Gropen(Traditional)
No ví eg á té Jondalen og fri(Traditional)
Solbønn(Larsen)
Solistvals(Larsem)
Bruremarsj fra Valsøyfjord(Traditional)
当日の本目的のようなもの。ホールの使い方はどの団よりも美味かったです。恐らく、指揮者を囲むような隊列を組むと、響きが豊かなホールのため、小さくまとまって聞こえてしまうのだと思いました。演奏そのものも、非常に軽快でよかった。ただ、他方で、微妙に当たり切らないなど、アンサンブル面で細かいアラが目立った部分も。しかし他団と選曲傾向も違って、ステージとしてとても楽しめました。そしてなにより、あかねさんが全国津々浦々精鋭を集めた中で映える、テナーの独特の土着感(いや確かに精鋭なんだけれども)。唯一、うぃろうにコミットしたことのあるメンバーだけで構成された3人w

7. 愛知高等学校(愛知)【総合3位、近現代部門金賞】(女声)
MINIWAKNKA(Murray-Schafer)
いのちの歌(村松崇継)
糸(中島みゆき)
愛知県続き。ここが1位を取れなかったことがニュースだったそうな。十分上手いんですけどね。隣のおっちゃんは、マリー・シェーファーは昨日の方がハモってたなんて言ってましたが。あえていうなら、日本の中高学生団独特のイヤーな緊張感というのを若干感じたのがマイナスだったか。しかし、糸は絶品。まるで中京混カラオケにいるようなねちっこさで合わせてくるから凄まじい。ソプラノのソロとってたちっちゃい子が上手かったので注目。

8. Guangdong Experimental High School Choir(中国)【総合1位、フォークロア部門金賞、シアターピース部門銀賞、近現代部門金賞】
Borgoroditse Devo(Khvoshchinsky)
Noviori ani(Jennefelt)〈女声〉〈他混声〉
O Salutaris hostia(Esenvalds)
Oirad beilgee(Enkhbayar)
Blessings of eternity(Enkhbayar)〈ゲスト:本物のお坊さん〉
Hlohonolofatsa(St. HILAIRE)
本大会イチのチート集団だったのかもしれない。ハマるし、かつ表現の柔軟性が凄く高い。ちょっと、揃い方がキツすぎて聴衆が疲れる場面が最初の方はあったのですが、めくるめく様々な曲をステージで歌いまくり、本物のお坊さんと合わせるっていう超ロックな仕掛けまで入れた挙句、最後の曲はシアターピース曲(多分)。フリがさながらラインダンス!さながら日体大「集団行動」(http://www.youtube.com/watch?v=Afpc_EcohcY )!右へ左へ前へ後ろへヌルヌル動く。歌もブレない。メチャメチャ楽しかった。最後にはアンコール。曲名不明。最後は歌いながらホワイエへ退場。国際コンクールの受賞演奏でありながらホームコンサート感の大きい、このコンサートらしい演奏でした。

感想:レベルの高さ、と一口に言っても、色んなアプローチの取り方があるのだなぁと再認識させられました。確かに彼らは皆、厳しいコンクールを勝ち抜いてきた団体たちではあるのですが、それでも、それぞれの技術をミクロに見ると、ココが少し弱い、アソコがもっと頑張れた、と、要素要素に一長一短がある。でも、やっぱり「上手い」んです。どの演奏も魅せる。長所を伸ばして短所そのままでよい、という話ではない。でも、もっと自信をもってもいいのかもしれないなと思いました。朝日コンの選考規準だって、減点法ではなく、各審査員の好みを反映する、新増沢式なのですから。もっと冒険してみたいなぁと思いました。あと、歌いたくなる系コンサートでした。

のみーコール・その1:ベガホール近くのベンチで、ある録音を取りたい、という要請に付き合う。S井さんとI上さんとわたべ。I上さんが、何か飲み物を買ってくる、と言ってコープへ。戻ってきた手にはエビス。お空の下のビールって美味しいですねホント!乾杯して録音した後、近くの精肉店のコロッケを購入。美味しい。

のみーコール・その2:梅田へ移動。色々探して、近くの鳥屋へ。上のお二方に奢っていただいて、とり串やら鍋やら。美味しかった。特に、白湯鍋。あの味はたまらん。スガキヤ食べたくなる。そして、普段話さないレベルの深めの話を聞いてもらいつつ。話しすぎたかなーと思いつつも、こういう話もたまにはいいのかなって思う。此方に来ると、おもいっきり合唱や音楽の話をする機会ってどうしても制限されるので(演奏会レポートもその意味合いがあるのかも?)、本当に楽しかったです。ごちそうさまでした。

2013年7月16日火曜日

【Joint Concert 2013〜やわらかいいのち〜】

2013年7月15日 於 吹田市文化会館(メイシアター)

・開演前:雨降っておらず、晴れ間も覗く。

なんにせよ、松下耕『やわらかいいのち』吹田初演(伊東恵司先生指揮)でした。昨日のアルティに引き続き聞きに来ていたのは私だけではなかった様子。

エール交歓:奈良女子大学音楽部、大阪市立大学混声合唱団、和歌山大学混声合唱団、大阪経済大学グリークラブ。各団の演奏に合わせて、その団と団旗のみにスポットが当たる仕様。ビジュアルにはよかったが、もう少し、時間配分は考えられると良かったかも。

Opening;松下耕「一詩人の最後の歌」
エール交歓後にとりあえず全団ジョイントで。良い試みだと思う。このバージョンは初めて聞きました。というより某先輩の影響からか、信長版のイメージが強すぎた。女声合唱とピアノのための組曲『愛の詩集』の終曲らしい。ホールの影響もあって、イマイチ音が散っているのか、引っ込んでいるのか。アンサンブルはうまかったし、言葉を大事にしている様子が印象的。

1st:奈良女子大学音楽部
W.Byrd『Mass for three voices』より「Kyrie」「Gloria」「Sanctus」「Benedictus」「Agnus dei」
整ったハーモニーで好印象。アンケートには、メゾがもう少し浮き立つとよい、とは書いておいたが、特にアルトの支えがしっかりしていたので、今後伸びるのではないかと。半数が新入生、20名程度。頑張って欲しい。あと、Credo も聞きたかった。

2st:大阪市立大学混声合唱団
相澤直人「混声合唱アルバム『歌われて』」
この曲が大好きなんだろうなぁというのは十分伝わってきた。ソプラノの子がのびのび楽しそうに歌っていたのが印象的。一方で、相澤先生のアカペラは、聞き合いながら合わせることが恒常的に出来る団でないと、アンサンブルが散るのだなぁと思った。逆に、そこ整えたら伸びしろは多いはず。

インタミ15分。

3st:和歌山大学混声合唱団
佐藤賢太郎『Three Choral Love Songs』
女声:男声=1:2。人数比の割に女声もよく聞こえてきた。整っている上にガッツリ勢い良く聞こえてきて、恐らくこの中で一番キャッチーなこともあり、楽しいステージだった。でもやっぱり女声もっと欲しい。しかし、Ken-P いい曲書くなぁ。結婚式か何かに使いたい組曲。

4st:大阪経済大学グリークラブ
木下牧子『地平線のかなたへ』より「春に」「サッカーによせて」「二十億光年の孤独」「卒業式」
そつなくこなせる、そして、なんだか精神的に落ち着ける曲(笑)。若干パート間のアンサンブルが散っていたのと、出しやすそうなところがよく飛ぶっていう、ありがちな事態にはなっていたが。カッチカチの男声曲でも聞いてみたい感じではある。しかし、「ネロ」って聞かないなぁ。

アナウンス「ここで、暫くの休憩を戴きます。」客席「暫く……?」(ザワザワ
結局、暫くという言葉が似合わない程度には休憩していた。

5st:合同ステージ
松下耕『やわらかいいのち』大阪初演
昨日からのイメージの引き継ぎで行くと、やはりこの大曲を演奏しきったということだけで敬意。実行委員長がロビーで言っていた「地獄を見ながら天国を見ていました」という言葉は至言だと思う。曲は、相変わらず良かった。とにかく、相当エネルギーを入れないと成立しない曲なのだなぁとは感じる。エネルギーは十分感じ取った。それに、このジョイントはジョイントするとだいぶうまくなる。かなり整った、悪くない演奏だったのではないでしょうか。あと、何よりも、あんなに力の入った伊東先生の指揮をみることはそうそうないような気がします。勿論、いつもが手抜きというわけではないのですが。5曲目は本当に、救いの讃歌のように聞こえる。あと、ピアニストが前田先生にまず劣らず凄くお上手でした。

アンコール:まつしたこう「ほらね、」
いとうけいし先生「私が作詩した曲というのが世の中には存在するのですが(笑)」。先生曰く、アンサーソングとしての位置付け。アルティ終わった後いろんな動画で聴きまくっていたが、何度聞いてもいい曲だと思う。レベルもさほど難しくないですし、松下先生も、日曜日のWSによれば、クラス合唱向けに作曲したとのこと。是非、全国の学校で愛唱されて欲しい処。

ロビーコール:松下耕『この星の上で』より「今年」
ストームと呼ぶのか、そこら辺の文化は不明ですが、まず、ロビーでやる曲ではないでしょうコレ(笑)ロビーにキーボードを持ち込んでの演奏でした。そこまでしてやりたかったのか。演奏の質はもとより、まず、よくもまぁロビーであの曲を演ってくれました。その心意気に敬服。しかしまぁ、彼らが『やわらかいいのち』から感じ取ったものの帰結がアレかぁ、という風に考えると、中々感慨深いロビーコールでした。

その後の歓談に、学生団的な懐かしさを感じながら(どの地域にも原田さんみたいな人はいるのだなぁ)、足早に帰宅。帰りがけ、郵便局行ったが、必着の締切には間に合っていない模様。もうしょうがない。

・終演後:不自然な道路の湿り気。そして水たまり。どうやら雨が降っていたようだ。最初のインタミの時には降っていなかった。ピンポイント攻撃ですねわかります。