おおよそだいたい、合唱のこと。

ようこそお越し頂きました。
主に、管理人が参りました、合唱団の演奏会のロングレビューを掲載しております。
また、時折、気分に応じて、合唱如何関係なく、トピックスを記事にしています。
合唱ブログのつもりではないのに、気付いたら合唱ブログみたいなことになってきました。
やたら細かいレビューからノリツッコミまで、現状、合唱好きな方の暇つぶしには最適です。
ゆっくりしていってね!!!

2013年7月30日火曜日

【第29回宝塚国際室内合唱コンクール特別演奏会】

2013年7月28日 於 宝塚ベガ・ホール

正直、試験近いし(日付変わって今日とか)、やめとこうかと思っていたんですがねぇ。某団体が出るっていうからしょうがないですねぇ。
これも、書け的圧力を某所から受けた、気がした←
1日置いたから、ところどころ忘れているかも……

〈前日〉
某湘南系中国人さんのTwitterから結果を聞いていた処、なんと発展形鯱の団が次の日の特別演奏会に出るとのこと。否これはめでたい、是非馳せ参じようという次第。
さらに、ある団員を泊めてくれないかということで。快く宿を貸し出すものの、お湯は止めているため彼には銭湯に入ってもらう。ついでに自分も彼が来る前に1ヶ月ぶりに暖かいお風呂へ入る(くっそ気持ちええ!)
なお、その日は、彼を家に泊め、自分は家のスペースがない余り研究室で寝た模様。4ヶ月で何度、研究室で夜を明かしたっけ……(遠い目)

〈当日:演奏会前〉
ついでに朝一発目の練習見学させて頂きました。細かく記録を取っていたわけでもないので、内容を具体的に覚えているわけではないのですが、身体の使い方を気にする順序、あるいは、気にする場所などについて、とても勉強になりました。関係各位ありがとうございました。
直前練習は御暇し、ベガ・ホール近くの喫茶店へ。カレーが美味しいです。素揚げした(多分)じゃがいもとカレールーの相性が中々。ルーのとろみと雑穀米もgood。1日10食(鍋1個)限定だそう。ワシントンホテルの箸袋で出てきたので、その絡みの逸品かも。ドリンクついて800円。地元常連さんとわけあって会話したのも楽しかった。店主のおばちゃん、さすがに愛・地球博は「愛知花博」なる謎イベントに格下げしちゃいかんですわ。なお、やろうと思っていた試験勉強はほとんどしていない。やばい。

〈当日:演奏会〉
ホール:ここまで好みとドンピシャなホールに出会えるのはそうない。シューボックスタイプの理想とも言える、響くけれども決してステージ界隈で篭ることのない、それでいてかつ、客が入っても2秒程度残響が残る、素晴らしい音響だった。したがって歌い手は跳ね返り少ないみたいで大変そうでしたが、ちゃんと出せば pianissimo なんかも相当潤沢に響きそう。あるいは、武満徹に理想的なホールというとわかりやすいかもしれない。

概要:前日に行われた「宝塚国際室内合唱コンクール」海外団体+国内上位団体が出演するコンサート。プログラムは前日と変わったりするみたい。そもそも持ち時間が増えるとのこと。

1. 宝塚合唱連盟有志によるTICC女声合唱団(宝塚)
Ave Maria(Brahms)
Night Thoughts for Choruses III&IV(Chen Yi)
審査員の先生が地元の団を指揮しての演奏。この演奏で、ホールの素晴らしさを感じられました。最初がBrahmsだったというのも、そのリサーチによくはたらいた。後者はなにやら恋唄とのこと。歌そのものは、恐らく昔ながらの発声で、若い世代だと嫌われそうなベルカント風だったものの、決して下手くそではなかった。関西のポテンシャルを思い知らされる(幾度か目)。

2. Taipei Century Choir(台湾)【フォークロア部門銅賞】
Ave Maria(Ming-Chieh Lin)
Return to The Forest(Chen-Hui Jen)
A Bird(Taiwanese Folksong)
ホールの音響と非常に相性が良かった団。1曲目は、どっかで聞いたことがあった曲。カントゥスだったか、どっかの動画サイトだったか。この妙な疾走感が結構ツボに来る。アラカルトには入れてみたい感じ。あと、3曲目の衝撃のラスト感。ハーモニー綺麗な団だったので、素直に縦の揃う曲とかの方が良かったかもしれない。部門選択の問題かも……?
司会「えーっと、此方は……台湾のどちらからいらしたんですか?」指揮者「台北(Taipei)です」あのさぁ……笑

3. 《EST》シンガーズ(三重)【ルネサンス・バロック部門銀賞】
The Joiku(Linkola)〈女性〉
ALLELUIA(Whitacre)〈混声〉
1曲目の仕上がりはお見事。曲も楽しかったし、声を変えるのが相変わらずお上手な団。ロシア人受けが凄く良かった。2曲目も、さすがESTという出来にはなっていました。が、もう少しアンサンブル出来たような気がします。なにか、各パートがバラバラに出して結果揃っているという印象でした。しかし、向井先生の指揮は見てて元気が出てくる。

4.The Cygnus Vocal Octet(東京)【総合2位、兵庫県知事賞、ルネサンス・バロック部門金賞、近現代部門金賞】
Kondalilla(Leek)
天の元后 喜びたまえ(高田三郎)
Regina Caeli(Mocnik)
聖霊の続唱(高田三郎)
Veni(Nystedt)
旧ジャパンユースのメンバー有志が集まったというチート(いい意味で)集団。なんと2回集まっただけで邦人団体1位の座をかっさらっていったそうな。確かに間違いなく金賞にふさわしい演奏でした。特に1曲目の仕上がりは絶品。音響効果も考えた配列でお見事。全体的に楽譜の再現は抜群だったものの、何か、心に入ってくるものが足りなかった。こういう、規準のない表現は良くないとはわかってはいるのですが。

インタミ。審査員などではない、松原千振先生が観客としていらしていた。うむ、国際コンクール。

5. Choir UrFU(ロシア)【フォークロア部門銀賞、近現代部門金賞】
"Capricata a tre voci. Contrapunto bestiale alla mente" from "Festino nella sera del Giovedi Grasso avanti cena"(Banchieri)
Sakura(arr. Chilcott)
"Flower Duet" from "Lakmé"(Delibes)(選抜2名:アナウンスより推測)
Unknown Lady(Falik)
Spring water op.14 No.11(Rachmaninov)
ロシア民謡(タイトル不詳)
力強くて楽しい演奏だった。1曲目は非常に観客を沸かせました。ギラギラしていて、ところどころ技術的にコケているところがあることにはあったのだが、それにしても、歌が大好きで大好きで仕方ないんだなぁっていう、まさにそんな演奏。最初から最後まで圧倒されっぱなし。特に最後のロシア民謡は不詳だけれども是非またきいてみたいところ。選抜2名のデュエットも素晴らしかった。女声曲ながら1名はカウンターテナー!絶品でした。なお、コール・ロシアでは断じてない。ウラル工科大学とやらの学生団だそうです。あと、指揮がフルトヴェングラーだった。あらゆる意味で。

6. Ensemble Lorca(愛知)【フォークロア部門銀賞】
Gropen(Traditional)
No ví eg á té Jondalen og fri(Traditional)
Solbønn(Larsen)
Solistvals(Larsem)
Bruremarsj fra Valsøyfjord(Traditional)
当日の本目的のようなもの。ホールの使い方はどの団よりも美味かったです。恐らく、指揮者を囲むような隊列を組むと、響きが豊かなホールのため、小さくまとまって聞こえてしまうのだと思いました。演奏そのものも、非常に軽快でよかった。ただ、他方で、微妙に当たり切らないなど、アンサンブル面で細かいアラが目立った部分も。しかし他団と選曲傾向も違って、ステージとしてとても楽しめました。そしてなにより、あかねさんが全国津々浦々精鋭を集めた中で映える、テナーの独特の土着感(いや確かに精鋭なんだけれども)。唯一、うぃろうにコミットしたことのあるメンバーだけで構成された3人w

7. 愛知高等学校(愛知)【総合3位、近現代部門金賞】(女声)
MINIWAKNKA(Murray-Schafer)
いのちの歌(村松崇継)
糸(中島みゆき)
愛知県続き。ここが1位を取れなかったことがニュースだったそうな。十分上手いんですけどね。隣のおっちゃんは、マリー・シェーファーは昨日の方がハモってたなんて言ってましたが。あえていうなら、日本の中高学生団独特のイヤーな緊張感というのを若干感じたのがマイナスだったか。しかし、糸は絶品。まるで中京混カラオケにいるようなねちっこさで合わせてくるから凄まじい。ソプラノのソロとってたちっちゃい子が上手かったので注目。

8. Guangdong Experimental High School Choir(中国)【総合1位、フォークロア部門金賞、シアターピース部門銀賞、近現代部門金賞】
Borgoroditse Devo(Khvoshchinsky)
Noviori ani(Jennefelt)〈女声〉〈他混声〉
O Salutaris hostia(Esenvalds)
Oirad beilgee(Enkhbayar)
Blessings of eternity(Enkhbayar)〈ゲスト:本物のお坊さん〉
Hlohonolofatsa(St. HILAIRE)
本大会イチのチート集団だったのかもしれない。ハマるし、かつ表現の柔軟性が凄く高い。ちょっと、揃い方がキツすぎて聴衆が疲れる場面が最初の方はあったのですが、めくるめく様々な曲をステージで歌いまくり、本物のお坊さんと合わせるっていう超ロックな仕掛けまで入れた挙句、最後の曲はシアターピース曲(多分)。フリがさながらラインダンス!さながら日体大「集団行動」(http://www.youtube.com/watch?v=Afpc_EcohcY )!右へ左へ前へ後ろへヌルヌル動く。歌もブレない。メチャメチャ楽しかった。最後にはアンコール。曲名不明。最後は歌いながらホワイエへ退場。国際コンクールの受賞演奏でありながらホームコンサート感の大きい、このコンサートらしい演奏でした。

感想:レベルの高さ、と一口に言っても、色んなアプローチの取り方があるのだなぁと再認識させられました。確かに彼らは皆、厳しいコンクールを勝ち抜いてきた団体たちではあるのですが、それでも、それぞれの技術をミクロに見ると、ココが少し弱い、アソコがもっと頑張れた、と、要素要素に一長一短がある。でも、やっぱり「上手い」んです。どの演奏も魅せる。長所を伸ばして短所そのままでよい、という話ではない。でも、もっと自信をもってもいいのかもしれないなと思いました。朝日コンの選考規準だって、減点法ではなく、各審査員の好みを反映する、新増沢式なのですから。もっと冒険してみたいなぁと思いました。あと、歌いたくなる系コンサートでした。

のみーコール・その1:ベガホール近くのベンチで、ある録音を取りたい、という要請に付き合う。S井さんとI上さんとわたべ。I上さんが、何か飲み物を買ってくる、と言ってコープへ。戻ってきた手にはエビス。お空の下のビールって美味しいですねホント!乾杯して録音した後、近くの精肉店のコロッケを購入。美味しい。

のみーコール・その2:梅田へ移動。色々探して、近くの鳥屋へ。上のお二方に奢っていただいて、とり串やら鍋やら。美味しかった。特に、白湯鍋。あの味はたまらん。スガキヤ食べたくなる。そして、普段話さないレベルの深めの話を聞いてもらいつつ。話しすぎたかなーと思いつつも、こういう話もたまにはいいのかなって思う。此方に来ると、おもいっきり合唱や音楽の話をする機会ってどうしても制限されるので(演奏会レポートもその意味合いがあるのかも?)、本当に楽しかったです。ごちそうさまでした。

2013年7月16日火曜日

【Joint Concert 2013〜やわらかいいのち〜】

2013年7月15日 於 吹田市文化会館(メイシアター)

・開演前:雨降っておらず、晴れ間も覗く。

なんにせよ、松下耕『やわらかいいのち』吹田初演(伊東恵司先生指揮)でした。昨日のアルティに引き続き聞きに来ていたのは私だけではなかった様子。

エール交歓:奈良女子大学音楽部、大阪市立大学混声合唱団、和歌山大学混声合唱団、大阪経済大学グリークラブ。各団の演奏に合わせて、その団と団旗のみにスポットが当たる仕様。ビジュアルにはよかったが、もう少し、時間配分は考えられると良かったかも。

Opening;松下耕「一詩人の最後の歌」
エール交歓後にとりあえず全団ジョイントで。良い試みだと思う。このバージョンは初めて聞きました。というより某先輩の影響からか、信長版のイメージが強すぎた。女声合唱とピアノのための組曲『愛の詩集』の終曲らしい。ホールの影響もあって、イマイチ音が散っているのか、引っ込んでいるのか。アンサンブルはうまかったし、言葉を大事にしている様子が印象的。

1st:奈良女子大学音楽部
W.Byrd『Mass for three voices』より「Kyrie」「Gloria」「Sanctus」「Benedictus」「Agnus dei」
整ったハーモニーで好印象。アンケートには、メゾがもう少し浮き立つとよい、とは書いておいたが、特にアルトの支えがしっかりしていたので、今後伸びるのではないかと。半数が新入生、20名程度。頑張って欲しい。あと、Credo も聞きたかった。

2st:大阪市立大学混声合唱団
相澤直人「混声合唱アルバム『歌われて』」
この曲が大好きなんだろうなぁというのは十分伝わってきた。ソプラノの子がのびのび楽しそうに歌っていたのが印象的。一方で、相澤先生のアカペラは、聞き合いながら合わせることが恒常的に出来る団でないと、アンサンブルが散るのだなぁと思った。逆に、そこ整えたら伸びしろは多いはず。

インタミ15分。

3st:和歌山大学混声合唱団
佐藤賢太郎『Three Choral Love Songs』
女声:男声=1:2。人数比の割に女声もよく聞こえてきた。整っている上にガッツリ勢い良く聞こえてきて、恐らくこの中で一番キャッチーなこともあり、楽しいステージだった。でもやっぱり女声もっと欲しい。しかし、Ken-P いい曲書くなぁ。結婚式か何かに使いたい組曲。

4st:大阪経済大学グリークラブ
木下牧子『地平線のかなたへ』より「春に」「サッカーによせて」「二十億光年の孤独」「卒業式」
そつなくこなせる、そして、なんだか精神的に落ち着ける曲(笑)。若干パート間のアンサンブルが散っていたのと、出しやすそうなところがよく飛ぶっていう、ありがちな事態にはなっていたが。カッチカチの男声曲でも聞いてみたい感じではある。しかし、「ネロ」って聞かないなぁ。

アナウンス「ここで、暫くの休憩を戴きます。」客席「暫く……?」(ザワザワ
結局、暫くという言葉が似合わない程度には休憩していた。

5st:合同ステージ
松下耕『やわらかいいのち』大阪初演
昨日からのイメージの引き継ぎで行くと、やはりこの大曲を演奏しきったということだけで敬意。実行委員長がロビーで言っていた「地獄を見ながら天国を見ていました」という言葉は至言だと思う。曲は、相変わらず良かった。とにかく、相当エネルギーを入れないと成立しない曲なのだなぁとは感じる。エネルギーは十分感じ取った。それに、このジョイントはジョイントするとだいぶうまくなる。かなり整った、悪くない演奏だったのではないでしょうか。あと、何よりも、あんなに力の入った伊東先生の指揮をみることはそうそうないような気がします。勿論、いつもが手抜きというわけではないのですが。5曲目は本当に、救いの讃歌のように聞こえる。あと、ピアニストが前田先生にまず劣らず凄くお上手でした。

アンコール:まつしたこう「ほらね、」
いとうけいし先生「私が作詩した曲というのが世の中には存在するのですが(笑)」。先生曰く、アンサーソングとしての位置付け。アルティ終わった後いろんな動画で聴きまくっていたが、何度聞いてもいい曲だと思う。レベルもさほど難しくないですし、松下先生も、日曜日のWSによれば、クラス合唱向けに作曲したとのこと。是非、全国の学校で愛唱されて欲しい処。

ロビーコール:松下耕『この星の上で』より「今年」
ストームと呼ぶのか、そこら辺の文化は不明ですが、まず、ロビーでやる曲ではないでしょうコレ(笑)ロビーにキーボードを持ち込んでの演奏でした。そこまでしてやりたかったのか。演奏の質はもとより、まず、よくもまぁロビーであの曲を演ってくれました。その心意気に敬服。しかしまぁ、彼らが『やわらかいいのち』から感じ取ったものの帰結がアレかぁ、という風に考えると、中々感慨深いロビーコールでした。

その後の歓談に、学生団的な懐かしさを感じながら(どの地域にも原田さんみたいな人はいるのだなぁ)、足早に帰宅。帰りがけ、郵便局行ったが、必着の締切には間に合っていない模様。もうしょうがない。

・終演後:不自然な道路の湿り気。そして水たまり。どうやら雨が降っていたようだ。最初のインタミの時には降っていなかった。ピンポイント攻撃ですねわかります。

2013年7月14日日曜日

【アルティ声楽アンサンブルフェスティバル(2日目)】

2013年7月14日 於 京都府民ホール・ALTI(アルティ)

1日目は金銭面時間面等で我慢して2日目を鑑賞。ただ、昨日はなにコラが Pseudo-Yoik NT やってたらしい。所謂偽ヨイク。聞きたかった。
更にいうと、京都は祇園祭で盛り上がっていた。此方も見学したかったものだ……。

とはいえ、初めてのアルティ、本当に充実していました。
それは、この土日の京都の天候が絶望的に悪かったことにより示されているでしょう笑
さすがですね、関西代表・伊東恵司先生と関東代表・三好草平先生がジョイントしたら、雨脚も強まるってもんですw

解説:『アルティ声楽アンサンブル フェスティバル2013~ALVEF2013~10周年記念特別編』を聞きに京都へ。このイベントは、京都府立府民ホール「ALTI」で毎年開かれているイベントで、講習会や各地域の団体による演奏など盛り沢山のコンサートイベントです。で、今年はこれの実行委員長・伊東恵司先生(弊団でもお世話になっている合唱指揮者)に加えて、昨日、Cache-Cache という団で指揮を振られた三好草平先生が来京。お二人は合唱界随一の雨男ということで有名です。つまるところ、今週末の関西圏における夕方の豪雨はこのお二方がげnうわっなにをするっやめろっ

今年は松下耕先生のワークショップ。さらには同先生指揮による東京ユースクワイアの招待演奏でした。なんと松下耕先生の自作初演

歓迎演奏その1:みやこ・キッズ・ハーモニー&平安女学院中学校・高等学校コーラス部
「祇園祭のお札売り〜四方の景色〜京の大仏つぁん〜一条戻り橋〜いんでこ大文字」
着物姿の子どもたちによる、ピュアな、いかにも京の子どもたちの声、という演奏に癒される。動きも軽快、外の祇園祭の様子を、少しは感じられたかも。

第1部
松下耕先生ワークショップ「マツシタ・コード〜楽譜に秘められた作曲家の暗号(ほらね、・信じる他)」
パナムジカが出張して、上記の楽譜を売っているというので思わず購入。2100円。どっちも欲しかった楽譜なので、後悔はしていない。なにより、この講習会、勉強になりました。著作権あるでしょうから詳しくは言いませんが、ちゃんと楽譜は細かく読まないとなぁとつくづく感じられる講習会。さらにいうと、松下先生の熱い思いをひしひしと感じる瞬間。モデル合唱団の東京ユースクワイアと葡萄の樹の綺麗な歌声に合わせて歌うのも楽しい。

第2部
1:アンサンブル・パティーナ&女声合唱団ラ・プリマヴェーラ(大阪・枚方)
「TAVASZ, TAVASZ」(Koscar)から「Bokor aljan ibolya」「Double」
「Three Birthday Madrigals for upper voices」(Rutter)から「My true love hath my heart」
「Six Songs of Early CANADA」から「The False Young Man」(arr.Patriquin)
「Ave Maria ~To the Memory of my mother」(Hollst)
選曲にエッジが効いていました。Holstの Ave Maria なるものは初めて聞きました。他は、薄識にして知らぬ曲たち。演奏、母体がおかあさんコーラス系ではあるものの、しっかりとまとまったアンサンブルを訊かせてくれました。

2:ばーれんこーる(長野・松本)
「O bone Jesu」(Brahms)
「Alma Redemptoris Mater」(Busto)
無伴奏混声合唱曲集「種子はさへづる」(信長貴富)から「ある時」「春の河」「種子はさへづる」
非常に素直に響いていてうまかった。特に信長は、大切なレパートリーと指揮者の近藤先生が言っているだけあって、よくまとまっていたし、表現がうまかったように感じます。Brahms は先生の好きな曲だそう。綺麗に和声積まれていて、おっ、と思わせるだけのものはありました。しかし、Busto って普通の曲も書くんですね……←

3:あい混声合唱団(東京・千代田)
混声合唱アルバム「風にのれ、僕らよ」(相澤直人)
本人曰く、滅多にやらないらしい、自作自演。もっとやればいいのに、という位、声もよく伸びていて、いい演奏でした。自作自演の際の合唱団というのが、声がよく伸びていて、しかも今回、非常にいきいきした曲でよかった。相澤先生の曲やってみたくなった。相澤先生は松下先生のWSを聞いて、何か喋ろうと思っていた処やめてしまったそう。ところで、知己の姿が見えた気がしたが、気のせいだろうか。

歓迎演奏その2:なにわコラリアーズ
Hän kulkevi kuin yli kukkien(Madetoja)
津軽じょんがら節(arr.松下耕)
今日も相変わらずさわやかにかっこよかったです!どんな曲もそつなくさくっとこなしてしまうのは、相変わらず、お見事。

第三部
4:Ensemble Mikanier(和歌山・和歌山)
混声合唱アルバム「私の窓から」(相澤直人)から「蜜柑の木」
混声合唱曲(パンフ原文ママ)「私が私に出会うとき」(松波千映子)から「名前」
混声合唱のための「ヨハンネス福音之傳〈よろこびのたより〉」(千原英喜)から「ひとは、せかいに、おる」「それがし、ひと」
阪本先生、腰低すぎますってwってくらいに謙遜していらっしゃいましたが、普通に上手でした。特に、千原英喜の掛け声の完成度はお見事。否、ふざけてはいない。本当にうまかった。1曲目は団歌扱いとのこと、愛唱しているんだなぁというのが伝わりました。そして何より「名前」再演。ステージでこの組曲の再演を聞いたのは、ピースでも、今回が初めてだと思います。文句なくいい曲なので、長く愛唱されてほしいものです。特に3曲目、アカペラで難易度そんなに高くなく、取り上げやすいので、是非。

5:Two Leaves(福岡・福岡)
女声合唱のための12のシャンソン「日々のあぶく」(松下耕)から「風になる方法」「いちゃいちゃ」「恋人の義務」「反省」「あら雪かしら」「腰は低くアンテナは高く」「男をだめにする女」「別れが生んだ出会い」
7人なのに和音も旋律もキリッと決まっていて、その上振りまでカンペキで、本当に上手いと感じました。同じ曲集から取り上げているのに、曲間拍手が2回。これは、それだけうまかった、ということの証左ではないかと思います。この調子で、7人方なかよく(実際なかよさそう)、楽しくキリッとハモってくれるといいなぁと思います。

6:JDCAユース合唱団(大阪・大阪)
混声のための童謡名歌集「日本の四季めぐり」(arr.名田綾子
なんだか面白かったです。ピアノの旋律が非常に大きく動いていたのは、主旋律相まって新鮮でした。「夏は来ぬ」とか特に、嫌いじゃない。「夏の思い出」のソロの子が上手い&可愛い。合唱団、さすが、集まるところが集まっているだけ合って、よく聞きあえる人たちが揃っているんだなぁという感じです。音がとてもまとまっていたのが印象的。そういえば、こちらに知り合いの方が乗っていたのは気のせいではないですね。お疲れ様でした。

招待演奏:東京ユースクワイア
松下耕『混声合唱とピアノのための「やわらかいいのち」』初演
もしかしたら、2010年代最高の傑作の初演の瞬間に立ち会ったかもしれない、という衝撃に満たされています。曲の最初から最後まで、一貫して、詩の世界を捉えられていました。小気味よさだとか、単純な意味での楽しさは一切ない、ただひたすら、精神世界と向き合うための曲でした。難易度は恐らく、カワイグレードが余裕で「上」をつけるレベルの難しさではないかと。単純に音符をおっかけることに加えて、その深い音の世界を表現するのに、恐ろしいまでの体力を使う曲なのではないかと思います。でも、そんな問題を何とか頑張って乗り越えて、何度となく再演され、後世に語り継がれてほしい、そんな傑作中の傑作です。
本当に素晴らしかった。終曲の救いの演奏が終わり、演奏が終了した後、暫く何も考えられないくらいに、陶酔し、そして、心の奥底から感動が突き上げてきました。それを、恐らく誰もが共感できるほどの名演だったのでしょう。何時までも拍手が鳴り止まず、最後に松下先生が一礼された時の万雷の拍手は、耳が痛くなるほど大きかった。先生や団員が退場しても、拍手は鳴り止まず。先生舞台に出られて又一礼。本物のカーテンコールをみたのは初めてかもしれない。
この曲を聞くために、この曲誕生の瞬間に立ちあうために、アルティにいれたことが、何よりの幸せです。

総括:楽しかったですし、何より初演がすごかった。こういうイベント、名古屋にも欲しいなぁって思います。「関西から文化力」の言葉は、嘘ではないような気がしています。あと、アルティ面白いですね。インタミの舞台転換で舞台せり上げたり落としたりしていたのが不思議な感じでした。いろんな形で試してみたくなるホール。演劇用かと思ったら残響も悪くない。何なんだろうアレ。

明日は『やわらかいいのち』吹田初演。もしかしたら、また客席にいるかもしれません。……勉強しろよ←

2013年7月8日月曜日

【Joint Concert〜うたが むすぶ であい〜】


(内容冒頭一部削除いたしました。事実と異なる記述があったためでございます。ご了承ください。)
2013年7月7日 於 あましんアルカイックホール

本日は思いつきで行って来ました。ジョイントコンサートということで気楽に行ったら、開場の時点で300人くらい並んでいたのではないだろうか。そうだった、ここは関西だった。
ホールは、写真で見た時は、余り響かないホールかと思っていたら、残響については一秒程度残る、不思議なホールでした。音量はイマイチ届かなかったものの、悪くない環境でした。秘境温泉みたいな感じですね笑

Opening-エール交歓
これがあるのをすっかり忘れていました。
名古屋だと、大学生がジョイントしても、エール交歓を省略する雰囲気がある(個人の印象)ため、逆に新鮮。
頭のなかでは、古き良き文化、であったはずの文化が今もなおいきいきとステージ上で繰り広げられている事実に、なんだかうれしくなっちゃいました。
京大合唱団は団歌、阪混は校歌、パナソニックは新社歌でした。そういえば、最後のは一時期話題になりましたね笑WBSで取り上げられていた記憶があります笑
なお、このステージ(?)でのMVPは、「生駒の峰に〜」と阪混が歌っている傍ら、思わず口ずさんじゃった、パナソニック合唱団指揮者の本城正博先生(阪大OB)。

1st:京大合唱団
松下耕民謡ステージ。「湯かむり唄」に始まり「俵積み唄」に終わる、1ステらしい構成。爽やかで好印象。その間の「大漁唄い込み」と「安里屋ユンタ」も、骨太に決まっていました。総じて、よく曲の特徴を捉えていて、上手いな、という印象。和声のハマリが非常に明快だったのが印象的。普段同声で鍛えているからだろうか。あえて言うなら、相対的に女声がもっと音圧あるとよいのだが。
あと、木下亜子先生が学生指揮のもとピアノを弾いている点、さすが、歴史ある合唱団は違う……。

2st:大阪大学混声合唱団
高嶋みどり『愛のプロローグ』。終曲など、盛り上がる部分はよかった。ただ、弱音部の着想にやや難あり。「聴かせる」というより「こなす」音使いになっていて、ただ小さいだけだった。ともすると、出だしの piano も、もっと聞かせられたと思います。もっとも、人数が急に多くなっていることを考えると、十分及第点だとは思われます。普通に聞いててイイ演奏ではありました。
あとこれは、団のせいとは全く違うが、最近、個人的な趣味で『青いメッセージ』を聴き込んでいたのが災いした←

インタミ20分。合唱としては比較的多め。長いかと思ったけど、別にそんなことなかった。むしろちょうどいい。

3st:パナソニック合唱団
細川俊夫「Ave Maria」、團伊玖磨「岬の墓」。前半に対して観客の緊張感が一気に高まったのはいうまでもない(笑)細川俊夫は、もっと細かい部分詰められたと思います。演奏会用で、コンクールに乗せるのかは不詳ですが、あの合唱団ならもっと出来る。とはいえ、表現はカンペキ。鳴るべき場所ではしっかりハマる。実力をまざまざと見せつける感じ。「岬の墓」は筆舌に尽くしがたい。最近この曲を取り上げる合唱団でここまでの演奏をできるところは他にないのではなかろうか?レコーディングすべき水準。
ホールの使い方という意味では、アルカイックホールの場合、上二つ同様、若干前寄りにステージを使ったほうが鳴りがよかったかもしれません。

4st:合同ステージ
本城先生が「学生にも上質な宗教曲を歌ってほしい」との思いから選曲したという、Gjeilo「The Ground」「Ubi Caritas」「Prelude」、Bruckner「Christus factus est」。いずれも100名近い規模の合唱団が一堂に会したステージは、まず見た目に圧巻!観客1800人規模のホールなのに、ステージがパンパン。そもそも、最初から、ひな壇が8段近く組んであったわけで、そこから意味不明なわけですが笑Gjeilo氏が今日の録音を心待ちにされているらしく、活動水準の高さを思い知らされる。演奏は、最初と最後がよかったです。各合唱団とも、バリバリ鳴らしにいくような音作りをしないため、気持よく聞けました。なにより、スムーズ。ちゃんとハマるべき和音がハマっているので、安心できる。地味で目立たないけど、音作りする上で一番大切な点をしっかり踏んでいる。とかく気持ちでなんとかしてしまおうという悪弊がある中で、貴重な教えです。ただ、ラテン語がカタカナだったのは残念。
なお、Bruckner のこの曲は、本城先生が同氏のモテットの中で一番好きな曲だそうです。合同ステージ及び本城アンコールの曲目は、パナソニック合唱団単独演奏会でも演奏予定とのこと。

アンコール
京大学指揮竹中和也くん:木下牧子「鴎」
阪混学指揮磯野将吾くん:「いざたて戦人よ」
パナソニック本城先生:Busto「Ave verum corpus」
最後だけ選曲がアレですね笑 Busto先生は4月に来阪していたらしいですね。「鴎」がこのような形で、上の世代にも伝播して愛唱されるというのは、一人の若輩合唱人として嬉しく思います。作曲年次から考えて、恐らく、上の世代は我々が思っている程鴎を愛唱していないような気がしますので……。

総括
とても良かったです。学生らしい爽やかさと、社会人らしい円熟味。この言葉がこれ以上に似合う演奏会が他にあるだろうかというほど。とてもいい癒しになりました。Gjeiloは個人的にちゃんと曲の知識を身につけておきたいなって思いました。

のみーコール
珍しく一人酒。尼崎にはなさそう、梅田で一人で入るのも憚られる、結局、石橋「民芸そば処 一花」。同級生が同じ日食事に使ったらしい笑お店は蕎麦屋ですが、こういう、昔風に一杯引っ掛けられる店を開拓することが、自分の飲酒生活に良い効果をもたらすのではないかと思っています。名市混時代の「白雅」然り。辞めてから一切行かなくなってしまったが、今でも、あそこのラーメンが忘れられない。