おおよそだいたい、合唱のこと。

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主に、管理人が参りました、合唱団の演奏会のロングレビューを掲載しております。
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合唱ブログのつもりではないのに、気付いたら合唱ブログみたいなことになってきました。
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ゆっくりしていってね!!!

2018年3月25日日曜日

【岡崎混声合唱団・岡崎高校コーラス部第39回定期演奏会】

2018年3月24日(土)於 刈谷市総合文化センターアイリス大ホール

予定って、基本、先着順で入っていくものですよね。特に最近、土日がとてつもなく忙しいことになってたので、どうしようもなく入ってしまう予定から順番に入れていっていたんですよね。全国でも知らない人はいないくらいの団の演奏会、そりゃ、チケット買ってと言われたら、買いますよ。やっぱり、蓋開けてみたら文句なしの満席ですもん。
でね、そしたら、やっぱりあるんですよ。
チケット買ってた演奏会の日に、練習が入っている、とか←
……午後・夜間でやってたので、夜間はちゃんと行きましたからね?笑

そう、今日も忙しかったんですよ。ビラ込みにクルマで行って、レンタカーだったから一旦帰って、また電車で出直す感じで。そう、でも、電車で行ける場所。なんでクルマで行ったんだって言われそうですけれどもね、理由がちゃんとあるんです。
なんでって、2団体分持ってってるから爆
しめて2,500部程度。スーツケース最初持ち上がらなかった……笑

・ホールについて

そんな、クルマでのアクセスもバッチリなこのホール、車の駐車場は非常に充実しています。5〜6層くらい駐車場あって、身障者専用のスペースもある。駅前は再開発で走りやすいし、名四国道の交通量は、なにより利便性の良さを証明しています。帰り名古屋方面渋滞してて少々焦ったけど笑
このホール、立地については言うことないんですよ。名古屋市の外にあるとはいっても、快速で1〜2駅だし、鈍行で行っても名古屋駅から20分くらいあれば十分辿り着く。むしろクルマの方が時間かかるくらいで、駅前すぐそこにあるし、コメダは2件あるし、飲み屋はそこまでないような気もするけれど、でも、住むにもいいし、聞きに来ても、素晴らしい残響のある響きに包まれることが出来る。天井の高さと会場の広さ、そして、それに十分応えてくれる響き。中にリハーサル室をたくさん取ることも出来るし、ここまで、いうことない感じ。
そこで、唯一?のデメリット。バスを停めるのが大変っていう点。例えば愛知県でコンクールをやろうってなると、一番の問題点が、大量に来る中高生のバスをどうやって捌くか、という問題。確かにこのホール、駐車場はいっぱいあるのですが、その駐車場はすべて立体駐車場。ホール前にバスを貯めとくことの出来る場所がないから、コンクールのような場合だと、それを捌くのが大変なことになる。実は、県コンクールが一回だけこのホールで開かれているんですが、一回だけで終わってしまった理由は、ひとえに、このバスの問題をクリアできなかったことにあります。動線さえクリアできれば、このホール、絶対にコンクール向きのホールだと思うんだけどなぁ……とはいえ、尋常じゃない量来ますからね、あの手のイベントでは。

で、全国クラスの団。非常にいい席を用意して貰って、さぁ、楽しむぞといったところだったわけなのですが。

第1ステージ
arr. 信長貴富・無伴奏混声合唱のための『三つの南九州民謡』
指揮:近藤惠子
演奏:岡崎混声合唱団

なんていうか、この演奏を評価している人もいたところでなんなんですが、アレ、岡混、どうしちゃったの、というのが正直な感想。
否、そりゃ、普通じゃないことを普通にやってしまう、すごく上手な団なんですよ。そんなことわかってる。でも、岡混、これはさすがに、練習不足なんじゃないの、というのが正直な印象。もともと、響きを合わせるというより息を合わせるタイプの合唱団だから、時折響き方がズレていrかな、という部分は正直目を潰れるんです。でも、時折聞こえてくるミスした音が、あまりに準備不足なような気がしてならない。他にも、男女のボリューム差が気になるとか、テナーがうるさいというべきか女声が小さいと言うべきか。いずれにしてもバランスがっとなわない。出しやすい音を出しやすいように出すというのは、時に芸術性を失った音を作ってしまう可能性もあるのだと思います。
否、うまいんですよ、決めてくるべき和音はちゃんと決めてくるし、今回はその意味では、叙情性のある歌については比較的よくハマっていたような気もします。あと、あえていうなら、3曲目は非常に完成度が高かったとも言える。でも、そんな中にあるからこそ、どことなく滲み出ている気がしてならない細かい部分の詰めの甘さが非常に目立つ。それも、民謡的な破綻とか、そういう、意図的なものではなくて、本当に無意識な、不注意、というべきもの。そんな状態にあるからして、つまりいえば、このステージは勢い不足と言わざるを得なかったし、準備不足と言わざるを得なかった。

団員、演奏が終わると上手に捌ける。そう、入れ替わりで入ってくるのが、この演奏会の特徴ですね笑

第2ステージ
信長貴富・無伴奏混声合唱のための『After…』(谷川俊太郎)
指揮;藤田魁人、小川実侑香
演奏:岡崎高校コーラス部

1曲目が今年の課題曲でした。私にとっては、札幌以来のこの曲。
否、岡崎高校の音のイメージと比べると、だいぶ明るい音を出しているな、というのが正直な印象です。暗いとは言わずとも、比較的しっかりと鳴らすタイプの音を持っているようなイメージを持っていたのですが、ともすると、リトルスピリッツのときのように、ちょっと明るすぎて深刻さが足りない、という印象も考えられる。事実、このステージに関してはその向きもあったような気がします。特に、後半になってくると疲れもあったのか、少しずつ深刻さを失っていくのがちょっとばかり気がかりでした。
でも、この団のスゴいのは、そんな懸念を、技術でカバーできてしまうという点なんですよね。特にすごかったのが、分散和音を各パートが鳴らして縦に構築するアルペジオ。あんなに同じ音質で、同じ音量で、同じ流れの中にあるアルペジオを、なによりあの速さで、さも自然に鳴らしているというのは、最早奇跡といってしまってもいいくらい。そして、この組曲の中でもっとも完成度が高かったのは、2曲目。完璧にクラッシュした縦の和音が、束になって迫ってくる。リトルスピリッツとアプローチは違うけれども、それでも確かに、この団の特徴を活かしきって、この団ならではの咆哮を生み出しました。
さすが、非常に安定した演奏でした。キレイ過ぎかな?と思わんでもないけれども、そこは、高い演奏技術で見事にカバーできている。それこそ、リハーサル時間はあるもので笑

インタミ15分。
も、あったのに、「準備ができるまでの間〜」とかいって、開演前に幕間はじめちゃう。

・幕間
「民衆の歌」(『レ・ミゼラブル』より)
演奏:岡崎混声合唱団東京支部

アンサンブルってきいていて、最初は確かに8人くらいからはじまっていたんですが、気付いたら少しずつ人が顕れてきて、気付いたら壇上には2〜30人程載っていて、フランス国旗をたなびかせながら舞台上を占領している。否、見事な大団円。しっかり団員皆さん歌えるから、聞いていても非常に力強く、見るに美しいアンサンブルが魅力的でした。

で、終わったら、急いで指揮台準備している笑 幕間する時間あるなら正直もう少し早く始められただろう!(無粋
以降、合同演奏。

第3ステージ
arr. 三善晃・『唱歌の四季』
指揮;近藤惠子
ピアノ:平林知子(客演・pr.)、水野みか(客演・sec.)

この演奏会唯一のピアノ登場。それも二倍増し笑 アタッカでつながれて5曲。
全体的にかわいらしく、美しい表現が光ります。何、この団に歌わせてしまったら、これくらい、小品みたいなものですからね笑 特に後半2曲はすごかった。何かって言うと、やっぱり、技術力なんですよね。あんな高速で、それでもガッツリハマっていく4曲目、そして、あんなりゴリゴリと鳴る5曲目のhiCなんて、世の中絶対ここぐらいでしか聞けませんよ笑 ほんと、hiCがうるさいくらいですからね笑
まぁでもその一方で、もう少し前3曲は歌い込んでも良かったのかなと思います。アッサリとした感じで、悪くはないんですけれども、でも、ほんとにアッサリと終わってしまったような印象。もっとフレーズ歌ってしまってよかったような気がします。何か、淡々と歌いすぎてしまったのが気がかりです。それか、単に人数の問題で表現の幅が広がらなかったりしたのかなぁ。否、でも、活かしてこそ、この人数でしょう。

第4ステージ
Penderecki, K.
"Agnus Dei"
"Иже херувимы"
指揮:近藤惠子

否、ある意味、淡々とし続けていたのは、このステージのためだったのかもしれません。
淡々とミニマルな展開で、あるところでぱっと展開し、とてつもなく巨大なクラスタを作り出す。
音圧、フレーズ、そのまとまりと表現のみせる深刻さ、シリアスな音楽。ベースの通奏が見せるたっぷりとした響きが見せる、そこはかとない音楽性。
コンクールで扱ったから、とかではないのだと思います。本当に、完成度の高い演奏でした。特に、この曲のテーマは何より深い。そのテーマと十分向き合っていることが本当によく分かる演奏でした。今回の演奏会では、割と浅めの響きが鳴っていたような気がしましたが、一方で、この演奏では、非常に深くて、非常に重くて、非常によく鳴る、充実したサウンドが鳴っていました。この曲聴いたのは初めてなんですが、それでも、この曲がどういう構成で、どういう流れで音を作り出しているかというのがよく分かる演奏。非常に、整った演奏である一方で、形式の中に、感情がうまく内在している。否このステージ、本当良かった。ようやく、岡混の演奏だ、と思わせられる演奏でした。……合同だけど笑
そして。
ありがとうございます文吾さん!!
文吾さんのおかげでこの記事にこの曲名載せることが出来ました!爆

・アンコール
三善晃「子どもは・・・」
arr. 信長貴富「あんたがたどこさ」
武満徹「さくら」

そして、この曲数の多さ。前は5曲くらいやってたような笑
で、このステージが一番良く分かるんですよ、団の実力が。コンクール課題曲と、おそらく何度も歌っているはずの楽曲たち。だからこそ、この曲達の仕上がり、ホントに素晴らしいんですよね。特筆すべきは、「あんたがたどこさ」。これ、アンコンでは何度聴くことになるかわからないくらいにありふれた曲なんですけど、例によって高速で動いていきながらも、すっごく整理された音が、取りこぼしもなく進んでいく。わざとらしさもなく、正に、歌われるべき音としてす歌われていく。この曲で一人ブラボーを叫んでいましたが、一人だというのが信じられないくらい。

最後、団員退場……とみせかけて、やっぱり戻ってくる。
何かと思ったら、近藤先生、来年の日程を発表してから終わる予定だったんですって笑 来年は3月16日土曜日、会場はやっぱり刈谷だそうですよ!

・ロビーコール
「ふるさと」
「Every Time I Feel the Spirits」

……だったらしいです。否、あまりの大行列に、ホールから出た頃には既に終わってた……苦笑

・まとめ

とはいえなぁ、なんかもやもやするんですよねぇ。
決して下手くそな演奏会ではなくて、そりゃ、間違いなく日本一うまいクラスの合唱団がガッツリ上手い合唱を披露してくれる演奏会だったはずなんですが、で、それは間違っていないんですが、なんだか、心の中では、妙に、満足できていない感じがある。
このブログを通して、色々な演奏に出会ってきています。その中で、少しずつ、合唱に対する価値観って、変わりつつある。良い意味では、耳が肥えてきたとも言えますし、悪く言ってしまえば、余計なこといって良いものを素直に鑑賞する心を失っているのかもしれない。
でも、たといそうだったとしても、自分の感情には逆らえないというのも正直なところ。今回の演奏、4ステは間違いなくよかった。でも、外のステージでは、必ずしも満足したとは言い切れませんでした。4ステは良いんです。更に言うなら、学生たちは今年だって努力が音になってちゃんと顕れていた。
何かって言ったら、結局、1ステの印象が、いつまでたっても足を引っ張ってしまう。否、決して、極端に下手くそなわけではないというのは、先程からずっと書いていること。でも、正直、もともと上手いことが分かっている合唱団って、聴く側としてもそのハードルを上げてしまうきらいがある。その意味では、結構損な立場できかせ始めることにはなる。
とはいえ、です。上位団なら、その期待に答えきって欲しいというのも、観客としての偽らざる素直な思いです。
しかしまぁ、贅沢な悩みではあるんですけどね。でも、こんなもんじゃないんでしょ?って思ってるんです。そうでなきゃ、演奏者として、追いかける側としても、張り合いないですもん。

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