おおよそだいたい、合唱のこと。

ようこそお越し頂きました。
主に、管理人が参りました、合唱団の演奏会のロングレビューを掲載しております。
また、時折、気分に応じて、合唱如何関係なく、トピックスを記事にしています。
合唱ブログのつもりではないのに、気付いたら合唱ブログみたいなことになってきました。
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ゆっくりしていってね!!!

2018年3月5日月曜日

【混声合唱団愛知学院大学グリークラブ第53回演奏会】

2018年3月4日(日)於 熱田文化小劇場

いやぁ、弊団に宣伝でお越しいただいた際にですね。貰ったわけですよチケットを。
それもたっぷりと、占めて10枚程度。
なのにね私、家出る時急ぎすぎてね、
全部忘れてしまってね

……まぁそりゃ、払いましたよ、500円笑

・ホールについて
否、もう、何度書いたかわかんない感じになってきましたし(と思ったら、わずか3回しか書いていなかった模様……まぁいいや←)、どんどん書くこと減ってくるんですよねぇ……ということで、周りの知り合いに、何書いたら良いか聞いてみました←
◯団旗つけられない問題
そう、学生団だと、結構大事な問題。普通だと、天反と正反の間からバトンを降ろして団旗をかけますが、このホール、反響板がホール組み込みのこともあってか、この形で団旗がかけられないんです。学生団たるもの、団旗かけとかないとOBとかうるさいですからね(コラ)。そんなわけで、このホール、普通の団だと、ロビーにある間仕切りのある場所に団旗をかけていることが非常に多い。そんな今回はどうしたかというと、ステージ上にボードをおいて、そこに団旗を掲示。なるほど、愛知県合唱祭でも似たような形でやっていますが、この手があったか……笑
◯椅子がいい感じで座りやすい
というのを以前わたべが書いていて、確かに今回座りやすさを感じた、と言われたのですが、で、過去の当方の記事を見返してみたのですが、うん、やっぱり、そんなこと、どこでも書いた記憶がない……←
そうそう、今日、なんか割と響きに助けられていたような気がします。ステージのあたりでフワフワしていましたけど、やっぱり、残響時間は充実している。その意味で、一番最初に書いた、響いている気分を味わうという意味では、やっぱり優れたホールなんだよなぁ……。

・エール
「我が歌 Das Lied」
「愛知学院大学校歌」

一番最初の段階で、くぐもってしまっているような声が聞こえ、低く聞こえるのが気がかりです。上がったら上がったで自然に上がっていないで、喉を締めているように聞こえる。勢いが足りないのかなぁ、と、この段階で思い立つ。もっとも、以前よりはよく整理された音には聞こえるのですがね。

第1ステージ:アラカルトステージ
信長貴富「しあわせよカタツムリにのって」(『旅のかなたに』より・やなせたかし)
田中達也「レモンイエローの夏」(『レモンイエローの夏』より・みなづきみのり)
BUMP OF CHICKEN(arr. 牧戸太郎)「花の名」
石若雅弥「ありがとう」(『ありがとう』より・谷川俊太郎)
指揮:間瀬奈月
客演ピアノ:天野穂乃香

そう、勢いだけが全てではないんですが、きれいに音を揃えられる団は、皮肉にも、勢いだけで解決できる問題というのを抱えていることもあるのです。以前とあるところで「息の少ないリコーダーという例えをしたことがあります。リコーダーって、息を少なくして、か細い音を出すと、音が低く聞こえることがあります。そして、息を充実させるという意味では、音を出すのを躊躇すると、その分息のスピードが減衰し、テンポへの食いつきが悪くなったり。
息の流れとか、頭声の響きで、とか、色々ない異様がありますが、とどのつまり結論としては、それは単なる「勢い不足」とすら言えてしまう問題かもしれません。
この演奏もね、比較的キレイだったんですよ。キレイにしようとする、そのことを十分意識しようというのも、よく見える演奏とも言えます。でも、逆に言えば、特に高声、綺麗さを意識する余り、丁寧に出そうとして、皮肉にも息のスピードがどんどんと落ちてしまう。
でも、「ありがとう」の歌詩に対する表現は目をみはるものがありました。特に「ありがとう」という言葉の扱い方が非常にうまく、しっかり言葉として聴こえてくる上に、アンサンブルでもうねりがよく聞こえてくるのは秀逸でした。その意味では、この曲に関してはしっかり息が流れていたといえるのかも。

第2ステージ:学生指揮者ステージ
信長貴富・寺山修司の詩による6つのうた『思い出すために』(寺山修司)
指揮:間瀬奈月
客演ピアノ:大本絢子

勢い、と、その意味では親しい問題なのかもしれません。この曲に関して最大の課題は、ピアノに負ける、その一点でした。特に一番最初とか。小さい中で徐々に存在が知覚されていくように、声が上がってくるこの組曲のオープニング。この効果が最大限発揮されるためには、声も声でちゃんと聞こえてきて、ピアノの中から這い上がってこないと効果とならないわけですが、それが負けてしまっていたのが残念でした。20人はいる合唱団。決して、人数の問題とは言えません。結局、欲しいのは、音圧であり、勢いである。
勿論、叫んで良いわけじゃないし、がなってどうにかなるものでもないけれども、皆で息を合わせて、大きな声を出すことで解決できる問題というのが、しっかりあると思うんです。それを証明する場面というのは、皮肉にもこの組曲中にあって、比較的勢いの出しやすい「思い出すために」は、比較的音圧豊かに聴くことが出来る。それより前の、弱めの音が続く楽章で、しっかり歌いきれるかどうかというのが、一つ要となってきそうです。
その将来形を垣間見ることができたのが、「種子」冒頭にあるソプラノのヴォカリーズ。しっかりと鳴りながらも、自然に高い響きが鳴っていたのは、非常に安心できるものでした。
否それにしても、この曲、なんかすっごく久々に聞いた気がするなぁ。なんだか、物凄く最近の曲のように思っていますけど、軽く見積もっても15年近く経ってるんですよね、この曲が出来てから……すっごく歳取った気分だと、周りで話しとりました笑

インタミ15分。

第3ステージ:同声ステージ
・女声
久石譲(arr.白川雅樹)「風のとおり道」(『スタジオジブリ名曲集』より・宮崎駿)
大中恩「うたにつばさがあれば」(『うたにつばさがあれば』より・春口雅子)
木下牧子「きんいろの太陽がもえる朝に」(『愛する歌』より・やなせたかし)
・男声
多田武彦「月から見た地球」(『月に寄せる歌』より・北原白秋)
タケカワユキヒデ(arr.猪間道明)「銀河鉄道999」(「アニソン・フラッシュ」より・奈良橋陽子、山川啓介)
指揮:間瀬奈月
客演ピアノ:天野穂乃香

2年前、うちのブログで確か、ポップスだけで時代も変わったなぁとか書いたんですよね。そしたら、なんか、ちゃんと合唱曲も並べていて……なんか、別に僕として間違ったこと書いたつもりもないのですが、妙な罪悪感が笑
女声合唱1曲目は、独特な雰囲気から自然に膨らむ音が見せるフレージングがいい感じ。でもって、全体として女声合唱響きが明るく、非常にしっかりとした音が鳴っていて、好感が持てました。なんか、混声のときよりも鳴っていたような気がする……笑 むしろいっそのこと、その音圧を活かして、特に後半2曲はもっとしっかり歌い込んでやってもよかったかも。これは以前のステージからそうで、少々淡白と言えるのかもしれません。
そして男声……えっと、「さて、ここからは宇宙旅行の時間です」とかブチ上げるから、こちとら笑えてきて(失礼w←)まともにきけなかったやないか←
どうしても協和音でゴリゴリ攻めるタダタケだけに、内声がバラけている様子が手に取るようにわかるのがとても残念。もっと聴き合ってアンサンブルしたかった。加えて2曲めでは、どしょっぱから遅れていっていたのが本当に惜しい。もっと食らいついて行きたい。そして、勢いとはいえ、怒鳴っちゃいけないよね、というのもまた、2曲目。高音が思いっきり喉に上がっているのはいただけない。無鉄砲な勢いとは、ちゃんと縁を切っていくべきか。うーん。

4ステ始まる前に、石若先生と団員でプレトーク。愛学のことを、「音源を聞いて、とてもキレイでクリアな音を出しているイメージ。少人数ながらしっかり歌えている」と評したこのトーク……えっと、軽妙に用意していない(褒め言葉)インタビュアーによる、愛嬌だけでどうにかしようとする(褒め言葉←)巧妙な掛け合いが笑 上の石若先生の言葉に、「ほめられすぎている」と団員、そして石若先生がひとこと「――ここでケナしてもネェ」……御意←

第4ステージ:客演指揮者ステージ
石若雅弥・無伴奏混声合唱曲集『風のマーチ』(谷川俊太郎、与謝野晶子、新川和江、伊藤一樹)
客演指揮:石若雅弥

さて、石若先生、コールドラフトに顕れるような、ガッツリとした総合芸術(!?)にも顕著なように、作曲でもキャッチーな路線に留まらず(否ドラフトはキャッチーだけどさ←)、比較的色々なことをすることの出来るマルチさが故か、非常に豊かな表現の引出をもっています。その表現の引出の多さが非常によく生かされていたように思います。で、何がよかったかというと、その表現の引き出しの多さを、非常に秀逸に整理されている点。表現がこれからどこへ向かって、どう着地して行くのかを、音がなる前のアインザッツで着実に表現できていた。だから、最初の音から最後の響き方まで、ちゃんと管理された中で自由な表現で音が鳴っている。
「楽譜に書いてないこと」に対する表現、解釈が、非常にしっかりしていたんですよね。だから、でも、しっかりと準備してから鳴らさなきゃいけないから、漫然となる音がないんですよね。鳴らす前から準備が出来ている。だから、最初から勢いのある音が鳴っている。――とどのつまり、先程から申している「勢い」っていうやつは、事前準備って言うことなのかもしれません。
事前の準備したことを、思いっきり表現するためには、音の一番最初から最後まで表現を載せ切らなきゃいけない。それが、結果として音楽としてしっかりなるようになる。石若先生の指揮は自由でありながらにして、しっかりと鳴らすためのヒントに満ちていたように思います。そして、実際に、そのヒントを、知ってか知らずか拾えていたのが、このステージであったように思います。

団長挨拶を経て、アンコールへ。

・アンコール
石若雅弥「夕暮」(谷川俊太郎)
指揮:石若雅弥
瀧廉太郎(arr. 信長貴富)「花」(武島羽衣)
指揮:村瀬輝恭(技術アドバイザー)
信長貴富「歌になりたい」(一倉宏)
指揮:間瀬奈月

そして、学生団。アンコールになると、途端に演奏が良くなる、という噂――否、今回に関して言えば、石若先生の指揮に引きずられてか、アンサンブルの自律性が少々増していたように思います。だからか、だいぶ表現が豊かになっていたように思います。しかし、そろそろ、「花」を聴くに良い、穏やかな季節になってきましたねぇ……

・ロビーコール
「いざたて戦人よ」
北川昇「翼」(みなづきみのり)

「翼」は、コンクール自由曲。愛知県コンクールの結果は銀賞。否、選外でも、どの賞がつくかって意外と大事。しっかりと銀賞を持ち帰ってくるのは、やっぱり、十分、努力の証なんです。

・まとめ

不思議なもので、こういう演奏会って非常に多いんですよ。
何か、客演の先生が出てくるまでの間は、どうも煮え切らないヤキモキしたものを感じつつ、いざ客演の先生が出てくると、会心の演奏をしてしっかりと締めてくるみたいなところ。なんだ、この団、ちゃんとこういうことできるんじゃなの、と感心させられながらも、一方で、なんでこれより前のステージでは、このアンサンブルができなかったんだろうと、頭に少し疑問符を浮かべてしまう感じの、結局なんとも煮え切らない感じで終わる演奏会。
否、ある意味スッキリしてはいるんですよ。どう考えたって上り調子で終わってくれるから。多分、団員たちの爽快感も良いものがあるだろうし、それはそれでいいんですけれどもね(特に学生団だし)。でも、正直に言えば、この、先生との演奏から学んだことを、他のステージで応用できないのかな、というのを、ちょっと思ってしまうんです。
今回の演奏会も、ご多分に漏れずそんな感じ。しっかりと勢いのある音を鳴らせていた最終ステージに対して、他のステージ。ここで、ちゃんと、客演ステージのような音が鳴らせていれば、演奏会全体で、もっと音を引き締められたはずなんです。
否なにせ、もう終わった話だし、最終ステージが楽しめたからいいじゃないのと言われれば、ぶっちゃけ確かにおっしゃる通りではあるんです。でもなんか、もったいないようなきがするんですよね。だって、それができるのにやっていないっていうのは、そりゃ、潜在能力って言えば、聞こえは良いんだけど、さ。
客演の先生ってやっぱりスゴいねってところから、さらに一歩上にいくためには、とどのつまり、客演の先生から教わったことを、次にどんどん応用していく、その力が大事であるのだと思います。学んで、よかった、でおわるだけじゃない、それを、次に活かすことの出来る。そうすることで、自分たちでできることがどんどん増えていくだけでなくて、先生からも、もっと深いことをどんどん引き出せるようになる。
否、潜在能力はあるんです。だからこそ、これからもどんどん伸びていって欲しい。その願いがあるからにして、この演奏会はとても示唆的なものだったのだと思います。
否、いい演奏会でした。それだけはしっかり最後に申し上げておきましょう。

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