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2016年2月29日月曜日

【愛知教育大学混声合唱団第46回定期演奏会】

2016年2月28日(日)於 三井住友海上しらかわホール

読んでて思ったんですよ。
昨日さ、書きすぎた←
だって、あれ、5,500字くらい書いてるんですよ? アホちゃうかと笑 最近記事が長くなりすぎているという、良くないクセですね。書かなさすぎもダメなんですけど、書き過ぎもダメなんですよ、こういうの。
今日はそんなこともあってか、昼過ぎも昼過ぎ、課題曲発表始まって少し経った頃にようやく起きたくらいで、そのままラーメン作りつつ番組を見て、しらかわホールへ。今年のNコン課題曲については、いい意味でソツなくまとまった名曲揃いだなと思いました。ディナーミク的な意味で、小学校が少し難しいですかね? 高校は、ある意味で古典的な、しかし随所に技巧を求められる、そして詩もストレートかつ深い(去年のトラウマが……?笑)、よくまとまったいい作品だったように思います。
って、愛教混ですよ、愛教混笑

・ホールについて
さて、しらかわホールです。相変わらず、響きの美しいホールです。ちなみに、以前適当なこと書いていた独特な形の折りたたみ椅子なのですが、その所以はどうも響きにあるみたいです。どこで読んだんだったかな、それも、具体的に何がどうとかいうことはよくわかっていないのですが……椅子の隙間が出来ない分だけ、響きが隙間に逃げていかないのかな、などとこれまた適当なことを言ってみたりして……笑
そういえば、以前名古屋混声で書いた時もそうだったようなのですが、このホール、以前からひな壇が変わりました。材質が変わったのと、段の構造が典型的なものと異なり、箱馬で積み上げる様式で無く、段そのものの大きさが3種類あり、それを並べるだけで3段積み上がってしまうというアイディア。しかも最上段には手すり付き。使った感覚としては、台を嵩上げする噛ませがない分、足音が鳴りづらいように思います。入場時問題になる革靴の足音が軽減される分、ストレスも軽減されるかもしれません。あ、大丈夫です、ストンプはちゃんと鳴りますよ!笑

・エール
「愛知教育大学学生歌」

この曲以来、一貫して内声は響きを作らない、地声ともいえる自然な発声でした。少々後鳴りするような感じ、そして、フレーズの切れ方が少々ブツブツと切れてしまっているような感じこそあるものの、音楽全体を通してよくボリュームの通った充実したアンサンブルをしていたように思います。ただ、このグ◯ンツェに負けず劣らずキャッチーな学生歌、なぜか一時期、うちの団で流行ったんですよね……否いい曲なんだけど、何だったんだろう、アレ笑

第1ステージ
千原英喜・混声合唱組曲『あなたにあいたくて生まれてきた詩』
指揮:杉山和泉
ピアノ:篠田文菜

最近人気の同曲。実は聴くのは初めてでした。何かこう、千原先生のこういう曲って「なぜか」キワモノ感がするんですけれども(笑)、決してそんなことはなく、とてもキャッチーで明るく爽やかな、第1ステージに、そして、この合唱団にとても良く合っている曲でした。発声は、非常に軽く、その地声チックな雰囲気もまた、この曲にとってはこれでいいのかもしれません。いい曲だな、と思います。特に個人的に好きなのは3曲目「あげます」(谷川俊太郎・詩)。鈴とグロッケン(実際の編成では「所謂のど自慢の鐘」チューブラーベル)が奏でる雰囲気もおしゃれに、この曲独特の華やかさを出すにはちょうどいい声でもあったようにも思います。季節感こそ少し外れてはいるものの、それは仕方ないですね笑
1曲目「あなたに〜」(宗左近・詩)では、ヴォカリーズが少し気になりました。決して間違っているわけではないものの、どこか、表現的に必然性に欠けているような気がしました。言葉にない感情というとオカルトチックですけれども、ヴォカリーズの音程、そして和声のもつエネルギーというのを、千原先生はとても鮮やかに描き分ける作曲家です。6曲目「きりん」(天野忠・詩)でも「ダバダバ」が「ダバダバ」とカタカナのままに聞こえてしまってはジャズの雰囲気が落ちてしまうことからしても、それぞれのヴォカリーズにはなにかしらの意味を持っていると考えるべきでしょう。他にも、2曲目「雲は雲のままに流れ」(工藤直子・詩)では、クレッシェンドとデクレッシェンドの連続・通称「松葉」(「三善アクセント」もビックリの謎通称←)のが、ついているからつけた、というような表現に留まってしまったのは惜しいところ。そこに「松葉」がいないとおかしいよね、というくらいの必然性をうまく表現してみたいところです。

「只今より、舞台転換を行います」というアナウンス。うーん、ない演奏会に慣れすぎているだけなのか、しかし、このアナウンス、要るのかなぁ、と、どうしても思ってしまうところ……。

第2ステージ
大田桜子・混声合唱組曲『母の手』(星野富弘)
指揮:大矢真広
ピアノ:佐藤有紗

大田桜子さんといえば……Nコンですね!(今週末2度目)
再演の機会は決して多いわけではない、いわば発掘品。1曲目「たんぽぽ」をはじめとして、こちらもキレイなハーモニーで合わせてくるタイプの曲。しかしその中に、「いわし」のように諧謔的な曲もあったりして、表現の幅は意外と広い曲でもあります。そういう意味では、1ステと同系統で続いていた曲ということもあるだけに、もっと表現で遊んだ方が、ステージ全体としてもあまりダレなかったかもしれません。特に3曲目と4曲目「母の手(ばら・きく・なずな)」の間での落差をより出せると、より表現の幅を広げられたかも。しかし、それにしても、基本的には音程・ハーモニー・フレージングと、そつなくこなしているのが印象的でした。とはいえ、「木のように(老木)」の最後は、もっとしっかり歌い上げちゃってもよかったかなぁ……欲張り?笑

インタミ10分。短い! と思ったけれども、考えてみたら、次が仕込みや後片付けに時間のかかるステージだし、これでいいのかもしれませんね……笑

第3ステージ
演出付きステージ「Into the book」
演出:笹口滉平
原作:内藤和佳、近藤晴香
愛(arr. 佐藤有紗・他)「さくらんぼ」〈抜粋〉
Fukase(arr. 西村翼)「RPG」(Saori/Fukase)〈抜粋〉
上田真樹「僕が守る」(銀色夏生)

さて、プロたちの演出付きステージ。というのも、この大学、文字通り教育大学なので、特に初等科の子たちは、今後将来学芸会などで本職としていくであろう……という、文句のつけようもない、ただの余計なお世話ですね笑 ともあれ、この団の演出付きステージは、いつ見ても面白いんです。それでも、この団、過去2年ほど演出付きステージを封印していたそう。したがって、久々の演出付きステージ。しかし、そんなことは微塵も感じさせない素晴らしい演出付きステージでした。言葉もしっかり飛んできて、それで、力を抜くべきところではちゃんと力を抜いて演技が出来ている、そして、それぞれの歌もしっかりと練習されていて(あえていうなら、僕が守るは難しいのだなぁ、と笑)、加えて、笑わせるところではしっかり笑わせてくるこの感じ。しかも、その笑いも、無理に笑わせるのではなく、しっかり脚本の大筋の中に収まっているのがなおさら良いのです。少し展開が拙速なのは、演出付きステージあるある、ということで笑 とても面白く見せていただきました。しかし、笑いを取るネタが「ツムツム」……なんか、歳取ったなぁ……笑
ちなみに、どなたかは公開されていないのですが、演出ステージのBGMでピアノを弾いてらした方がめちゃめちゃうまかったです。いやぁ、贅沢なBGM。

再びインタミ10分。

第4ステージ・客演指揮者ステージ「Bob Chilcott Songbook Selection」
O Danny boy
Over the Wave
The Runner
The Skye Boat Song
Aka-Tonbo
The Lily and the Rose
指揮:友森美文(客演)
ピアノ:平松八江子(客演)

やっぱりさ、僕思うのよ。今年、絶対、「Danny Boy」の流行り年だって笑 CMでも、「ヒト・コミュニケーションズ」と「JR東海ツアーズ」で使われたりしてたし、今度だって、アレンジ違いだろうと、3本目ですよ、3本目。……うち1本は弊団なんですけれども、まぁ、それは、それということで笑
さて、メロディがしっかりしているのが、チルコットの歌モノの最大の特徴。ともすると、例えば、言葉の問題だったり、フレージングの問題だったりというのが、全くごまかせず、いざ失敗してしまうと全面に出てくるのがなかなか曲者だったりもします。逆に、うまくいったら、それはそれで自然に聞こえるだけなので、すげえ、と思わせるのも難しいんですけれどもね……苦笑
実際、この団は、フレージングの問題は特に無いんです。特に「赤とんぼ」なんかは、ヘタにイギリスの合唱団に歌わせるより上手ですよ、これ(当たり前?笑)。でも、他方で、1曲目「O Danny Boy」なんかに代表されるのは、言葉の問題。どうしても、カタカナに聞こえてしまうのが気になりました。もっとも、ヘタな母音を出してしまって音が篭もるのを防ぐという意味では、カタカナは「次善の策」とも言えなくもなかったりしますが……笑
曲としては特に、3曲目が面白い! チルコットというと、明るく豊かな響きのメロディが特徴的な曲が多いようなイメージがどうしても先行しますが、この曲では縦のリズムがすごく大事になってきます。今日は少し緊張気味だったかしら? 昨日と言っていることが逆行するようですが、自分たちが楽しんで歌うことで、こういった曲は、テンポがおのずと生きてくるような気がします。それでも、十分楽しく聴くことが出来ました。加えて、6曲目「The Lily and the Rose」のフォルテが今日イチ。発声の位置が変わらないままに自然にボリュームが増えていくのは、まさにお手本のようなフォルテ。あやかりたいものです。

団長挨拶。奇を衒わず、しっかりと実直に話されていたのが印象的でした。

・アンコール
大谷)森山至貴「春の天使」(みなづきみのり)
友森)新実徳英「母の手(ばら・きく・なずな)」(星野富弘)

弊団初演曲ですね。再演ありがとうございます!笑 最近雑誌付録で出版されたのですよね、そういえば。さすがに取り組んだ曲だけに、いろいろ言えることはあるにはあるのですが笑、とはいえ、この曲、学生団のアンコールにすると泣けてくるんだろうなというのは想像に難くないところです。友森アンコールは、星野富弘さんの詩からの連想。今日の『母の手』もよかったのですが、やはり『花に寄せて』も名曲ですね。この団に合うんですよね、この曲は、やはり――。

・ロビーコール
「ジェリコの戦い」
「夜のうた」
「ロマンチストの豚」

ある方と話していて、「テナーの豚の処理が上手い」(ブタ、とテナーが単独でリフレインするあの部分が上手という意味ですね笑)と表現したらなぜか大層ウケましたので、ひとまず掲載しておくことにします笑 あのホール、夜のうたが合いますねェ……って、ロビーか← めちゃ響くんですよあのロビー←

・まとめ
爽やかな演奏が印象的な、そして、どの曲もそつなくこなす、非常に優秀な演奏を見せてくれました。まさに学生団のお手本とでも言うべき温かさと親密さが、サブパンフや、果ては演奏からも感じ取ることが出来て、とてもあたたかい気持ちで聴くことが出来ました。プログラムとしては、最初から最後まで、強みを活かす選曲こそ出来ていたものの、同系統の曲が続いたこともあり、変化をつけるのが大変な構成。ともすると、もっと各曲の個性を豊かに曲を作っていったほうが、ステージ全体が締まるような気がしました。もちろん、プログラムに変化をつけるのもあり。
しかし、今年は今年、来年は来年、ですもんね。今年の団スローガンが「わ」だったとのこと。その言葉のままに歌う、これはこれで、全然悪くはなかったのだと思います。温かい気持ちにさせてくれる、とてもいい演奏会でした。

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