おおよそだいたい、合唱のこと。

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主に、管理人が参りました、合唱団の演奏会のロングレビューを掲載しております。
また、時折、気分に応じて、合唱如何関係なく、トピックスを記事にしています。
合唱ブログのつもりではないのに、気付いたら合唱ブログみたいなことになってきました。
やたら細かいレビューからノリツッコミまで、現状、合唱好きな方の暇つぶしには最適です。
ゆっくりしていってね!!!

2016年3月18日金曜日

【Farewell Concert 2016】

2016年3月17日(木)於 港文化小劇場

静岡で執筆の予定でしたが、未だ名古屋で執筆しています。
(訳・豊橋行き座れたfoooooooooo!!!!!)

さて、今日は東混の演奏会を聴くために東海道線まわりで東京へ向かっています。新幹線? なにそれ(車販のサンドイッチが)美味しいの?
じゃあ昨日はゆっくりしていy……んなわけなかろう! 演奏会があって行ける以上、私が動かないはずがない(これまで行けるのに行かなかった多くの演奏会に血の涙で土下座しながら)!
「名古屋の」フェアウェルでした。割と各地で行われているようですね。大学合唱団をその年卒団する人たちが集まり、最後にどんちゃん騒ぎともに歌い収める演奏会です。ともに過ごした日々を懐かしむのが団内の卒業演奏会(卒演・追いコン)なら、この演奏会は、上級生から下級生に向けたエールとでもいうべきでしょうか。名古屋は、連盟とは独立したイベントとして、例年この時期に行われます。大阪は府の連盟大学部会のイベントとして、でしたっけ。季節も秋に行われるイベントでしたね。そちらは残念ながら伺えていないのが心残り……。
毎年、大体文化小劇場クラスのホールで(見た中では1回だけ確かザ・コンサートホールだった)行われるイベント。今年は港文化小劇場でした。今日が早起きだとかそんなのどうでもいい! とばかり、片道1時間自転車で漕ぎまくりました。脚が……笑 電車代浮かせたお金? ぶっかけうどん(290円)に消えましたかね……(遠い目)

・ホールについて
文字通り、名古屋市港区にある文化小劇場。港区役所が近くにあります。そこまで雨が近いわけでもなかったのに、近くからは水の香り。名古屋港は商業港湾だけに、なかなか海の姿を見せないのですが、さすがにその点、港風情を感じさせるものがあります。
これまで、割と(音楽的に)質の良い文化小劇場を取り上げることが多かったのですが、このホールは、言うまでもない、「ザ・文化小劇場」。ブザーは皆様のご期待通り(?)「b--------------------」(笑)。アナウンスの方も今日は会館備え付けの原稿を読んd……あ、それは関係ないですね←
実に文化小劇場らしい、多目的ホール。比較的古めなホールに位置します。ステージが相対的に小さく、加えて舞台上部の壁がよく開けていて、ステージが小さく見えるのはひとつの特徴と言えるでしょう。しかし、何よりこのホールの特徴は、響かない、まさにその一点。これまでいろんなホールで「響かない」問題について論じてきましたが、真に響かないホールとはこのことを言うのです……本当に、まさに、目の前で歌われているような錯覚に囚われる笑 ここまで響かないと、歌詩が飛ばんだとか、フレーズのアタマが見えないだとか、そういう細かい話は特に気にしなくてもいいんじゃないですかね笑
とはいえ、こういうホールって、飛ばそうとちゃんと意識しない限り、本当に鳴らないだろうなぁ……と、プログラム中、「メイプルシロップ」を聴いていてふと思ったのですが、このホール、瀬戸に似ている。とすると、だ。皆が皆、岡高みたいに鳴らせたらなんてことはないってことだな!(暴論)

入場の歩くスピードは結構早め。さすが上回生といったところ。特に狭いホールだと、スタスタ歩くオーダーはよく映えます。
1ステの男声は、各団の団服を持ち寄って。バラバラなんだけれども、だがそれがいい。

ピアノ:野村七海、山田倖生*

第1ステージ・アラカルトステージ
松下耕「俵積み唄」
指揮:浅野景子
松本望「メイプルシロップ」(穂村弘)*
指揮:水谷尚裕
三善晃「あやつり人形劇場」(原版、谷川俊太郎)
指揮:長琢也
荻久保和明「IN TERRA PAX」(鶴見正夫)
指揮:今泉渉

1曲目と2曲目の間で代表が挨拶するに曰く、「アラカルトのコンセプトがわからないとよく言われたが、特定のテーマというよりは、各団ではなかなか歌えないような曲を持ち寄った」とのこと。要するに、厨好み、ってことですねわかります!w
「俵積み唄」のはじめから、人数的な問題(ベースがやたら多い)とはいえ、女声がめだって小さく聞こえたのが気がかりでした。加えてこの曲では、曲の性質上、男声が飛び出やすいだけに注意したいところ。技術的には、ひとつ挿入される長いフレーズの箇所でもしっかりとフレージングを保持したいところ。然し1曲目からその厨好みはっちゃけぷりを存分に発揮してくれた演奏の次は、難曲が二つ控えます。「メイプルシロップ」では、ホールのせいもあるとはいえ、ダイナミックレンジがせまく感じてしまったのが残念なところ。縦の音程そのものは悪くないものの、旋律の掛け合いを中心とした箇所のパートバランスだったり、パート内の音色だったりというのが、少しバラけてしまっていたか。今ひとつ統一感に欠けた感のあるのは、ひとえに集中力の問題でしょうか。普通の曲より大きな集中力を求められるだけに、尚更。「あやつり人形劇場」は、代表さんが「ヘタだと思っても大目に見て」とエクスキューズをつける程の難曲(伝わりづらい?w)。しかしそれでも、十分聴かせてくれるいい演奏でした。ただ個人的には、もっと遅いテンポの同曲が聞きたかったか。否、このテンポでいい部分もある。例えば「あやつられていると知って君は」とか。どっちかというとアッチェレランド、かもしれませんが。ただ何よりこの曲を表現する上で大事なのは、テンポを揺らしながら曲の中を揺蕩い、哀しくも暖かく、ゆったりと諧謔に満ちた世界観を表現すること。ここから先の表現は、詩と曲の対照の中に生まれるような気がしました。「IN TERRA PAX」の最初のファンファーレは、とてもいい意味で華々しく鳴っていたように思います。一方で、Aメロ(っていうか)の先に現れる16分のマルカートなどがもっと歯切れよく鳴ってくれると、とてもよかったような気がしました。しかしながら、この課題は、マルカートにあるというよりは、それに対比されるレガートにあるような気がしました。全体的に平板になってしまいやすい曲。いかに情感的にレガートを歌えるかが勝負のような気がしました。

インタミ10分。社会人がここらへんで演奏会に到着し出しました。平日でしたからね笑
このインタミ中、カラフルな傘が刺さった傘立てが。何か演出付きかな、と思ってワクワクしていたら傘立てが一旦引っ込み……そしてインタミ終了直前にまた出てくる……なんだこれ笑
完全に余談ですが、ちょうどここらへんで東京への旅、静岡県へ突入しましたw

第2ステージ・男声・女声ステージ
女)森山至貴「傘立てに」(木坂涼)
指揮:今泉渉
男)前田憲男「いうやんか」(島田陽子)
指揮:水谷尚裕
男)木下牧子「虹」(高見順)
女)佐藤賢太郎「つながり」
指揮:浅野景子
混)Larson, Jonathan(arr. Roger Emerson)”Seasons of Love”
指揮:長琢也

真白な美しい衣装で登場した女の子たち(と真っ黒な男声指揮者)が見せるのは、美しいアカペラと、そして、傘を使ったラインダンスがカワ(・∀・)イイ!!「傘立てに」。アカペラではフレーズの収め方が絶品で、加えてジャズのテンポにもよく乗って、とても楽しく聴くことができました(とはいえ、真っ黒な指揮者が実は一番ノリノリで踊っていたんじゃないかという噂w)。いい曲だなぁ、コレ。最後、傘立て(と真っ黒な指揮者)を中心にしてポーズを取って会場拍手(を真っ黒な指揮者に煽られた)ののちに、「どけどけぇ!」と追い払うように登場する男ども。一部の男性観客からはココロの中でブーイング。「いうやんか」では、全員黒・黒の衣装に身を包み、こちらはコテコテの関西ノリでラインダンスを披露。何なら声芸もアリ。なんかこのノリ、バッカスでも見たぞ……?笑 こういう場所で生む、失笑にも似た会場の笑いは、多分ホンモノだぞッ!w 割にアッサリしたアンサンブルも華を添え、良くハマったいい演奏でした笑 演出に伴い照明が暗転した後は、そのまま「虹」へ。いやぁ、いい曲ですよねホント……ステマしたくなるくらいいい曲ですよね……ステマしなくてもいい曲ですよね……というくらいハマっている当方ですがそれはさておき笑 照明暗転の状態から生まれたあの緊張感、その中から生まれるアンサンブルの集中力。もっとゆっくりやってよかったような気がします。否、もっとゆっくり聞きたかった。例えば僕の隣で聴いていたある人は「聴きたい和音が聴けるテンポ」と表現していましたが、めくるめくあらゆる和音が、この曲の聴かせどころの一つ。1拍目のナインスの時点で、まずこの曲の雰囲気へ持って行ってあげないと行けないわけです。とすると、この曲はもっと、もっとゆったりと、それこそ「あやつり人形劇場」のようにテンポを揺らしながら表現をつけていくことで、その表現の付き方が何倍にも膨れ上がっていくわけです。こういう曲って、本当難しいんですけど、決まった時の感動って、ホントスゴいんですよね。他にも、フレーズ終端だったり、フレーズの長さだったり、細かく詰めたらたくさん出てくるんですけど、最近の僕の、この曲に対する評価基準は厳しいので……笑 十分聴くことは出来る、優秀なアンサンブルでした。続けて上手から登場した「つながり」は、高声のフレージングに低声がもっと付いて行きたかったところ。どうしてもボリュームが小さく聞こえてしまうだけに、如何に伸びやかな声とフレーズで聴かせるかが一つの大きなポイントになってきます。ちゃんと膨らませると、ホール負けもしないような気がする。最後は混声揃って「Seasons of Love」。通称「コーヒーのアレ」笑 音色の使い方に好感が持てます。曲の各所で適切な声をうまく使い分けられているのが印象的でした。曲を追うごとに英語がカタカナに聴こえてくるのは、まぁ仕方ないとして笑、せっかくなので、最後はもうちょっと盛り上がっても良かったかも。

インタミ10分。3ステ構成ならまぁよくある感じですね。
これまた完全に余談ですが、ここまで名古屋から浜松まで全部座れているという僥倖。問題は次からの静岡ロングシート区間……(って、このブログは何のブログだw)。

第3ステージ・メインステージ
千原英喜・混声合唱組曲『明日へ続く道』(星野富弘)
指揮:水谷尚裕

男声は正装・黒礼服へ。曲としても格式高く、自らの「明日へ続く道」を歌い上げます。
1曲目「君影草」から、全体的に、ソプラノに特に歌いあげて欲しかったというのは、全体的な課題と言えそうです。特にこの曲と次の曲は、横の歌い方が美しい曲で、実際よく歌えていたからこそ、全体的にもっとボリュームを求めてしまうと言えそうです。加えて、特にスタッカート部では、もっと母音をせまく歌うのもアリだったような気がします。全体としてボリュームが小さい、あるいは散ってしまう傾向のあった一方で、「誰かを恋しているような」のクレッシェンドは見事でした。2曲目「もう一度」のボリューム不足もやはり課題。「翼はないけれど」以降は、若干苦しそうに聞こえましたが、発声をよく流すなどして、これでも、もっと欲しいと思わせる箇所。全力で歌いあげなければならない部分です。とすると、全体的に細いところ、ディナーミクのバリエーションを増やしたいところではあります。「せめて」、フレーズをもう少し長くしたかったか。具体的には、3曲目「悲しみの意味」程度のボリュームは欲しいところなのです。この曲に加え、4曲目「明日へ続く道」のボリューム設計は良く出来ていたように思います。あえていうなら、同曲前半「すずらんの花〜」の部分は、フレージング等の問題含めもっと欲しかったか。「私にはまぶしすぎる日がのぼる」以降の部分で鮮烈に聴こえてきたフォルテ以降の訴求力は十分なものでした。もともと演奏効果の高い「改訂版」に加えて、それぞれの思いもうまく乗ってくれたのか、鮮やかなアンサンブルを聞かせてくれました。

代表あいさつ。しかし、ここまで老けて円熟味を増してくると、挨拶も手馴れてるってもんです笑

・アンコール
松井孝夫(arr. 榎本潤)「旅立ちの日に」(混声四部、小嶋登・詩)

原曲とは結構テイストの変わっている同曲四声版。三声版とは調も違い、もともと存在しなかったオブリガードもありと、とてもおもしろい仕様になった同曲。その点、この曲におけるソプラノは今日イチの出来! キレイな高音を思いも乗せてしっかりとハメてくれました。

・ロビーコール
宮城県民謡(arr. 竹花秀昭)「斎太郎節」

ロビコはない、という雰囲気の中で突然始まった男声ゲリラ! きたああああああああああっ!とばかりにウキウキで手拍子叩いていたら、誰も乗ってくれなくてひとり浮くという……おかしい……この曲ではコレがお決まりなハズ……なぜだ……というのも当然の話、愛知県の大学合唱団では、なんと男声合唱団が「絶滅」してしまっているのでした。あな悲しや……消えゆく文化に哀愁……否でも、ノスタルジー押し付けるのも良くないような気はしますけれども、それでも、なんだか寂しいような気がしました。他の地域だと、未だにこの曲と言ったら手拍子&ソロ拍手、だし……え、某録音にはそんなのないって?(てへぺろ)

・まとめ

今年もフェアウェルが終わりました。このフェアウェルを機に、名古屋の大学合唱団は本格的に新歓、そして新年度へと突入していくことになります。そうでなくても、この時期、卒演・卒業式を経て、新年度を迎えるこの頃。(おおよそ)学生生活を終えた卒団生たちは、新たなステージへと旅立ってゆくことになります。
それこそ哀愁だけでは語れないような気がします。大学合唱って、ひとつ、文化的な側面が強いですから。これまで得てきたものを還元し、そして旅立って、それぞれの立場で新しいステージへと向かう。そのエールとして、そして、宮沢賢治「告別」じゃないですけれど、最後のメッセージ、答辞として、この演奏会は位置づけられているように思います。
今回も、いつもの調子でレビューさせていただきましたが、彼らが、この団の中でそれを還元する機会はありません。しかしながら、この課題は、そしてうまくいった点は、なおも生き続けるものでもあります。ある人は合唱を続けその中で、ある人は合唱を続けないかもしれないけれど、それぞれの生活の中での細やかさとしてきっと生きてくる。そして、観客の中に多くいる下級生たちも、それぞれの思いを胸にこの演奏会を聴き、そしてそれぞれの思いを胸に、この演奏会を自分の団に還元していきます。
文化とか伝統って、そういうものなのだと思います。しっかりと文字にしなくても、あるいは、文字にしないからこそ、それぞれが、思いを、考えを付加して、引き継ぎ、発展していくもの。だからこそ、伝統の更新があり得るわけですし、だからこそ、これから先も新しい文化を創造していく大きな力になる。毎年、まるで惰性のように見えてしまう演奏会も、そうやって、観客を含めた当事者たちのココロの中で、大きく発展し、花を咲かせるものなのだと思います。
卒団生の皆さん、卒団おめでとうございます。これから先、様々な道を歩まれる皆様、苦難こそあれ、その道が晴れやかなるを祈って、否確信して、ともに、未来をつくって行きましょう。

掛川で書き終わり、金谷で編集も終わり、上梓。さて、此処から先、あと半分はロングシートってとこですかね……(白目)
なお、東混のレビューは、中央本線を経由して信州へと向かう途上で書き上げる予定です。お楽しみに!(?)wもうすぐ島田だァ(・∀・)!

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