おおよそだいたい、合唱のこと。

ようこそお越し頂きました。
主に、管理人が参りました、合唱団の演奏会のロングレビューを掲載しております。
また、時折、気分に応じて、合唱如何関係なく、トピックスを記事にしています。
合唱ブログのつもりではないのに、気付いたら合唱ブログみたいなことになってきました。
やたら細かいレビューからノリツッコミまで、現状、合唱好きな方の暇つぶしには最適です。
ゆっくりしていってね!!!

2016年2月28日日曜日

【混声合唱団愛知学院大学グリークラブ第51回演奏会】

2016年2月27日(土)於 熱田文化小劇場

なんか、久々に休日らしい休日を過ごしていたような気がします。
午前中は遅くに起きてまったりしつつ、午後の最初の方は、テキトーにパスタを茹でて、途中で思いついて「行列の出来る店」シリーズのアラビアータを温めて、それにタバスコかけて、日付切れそうな大根と豚肉の煮物(レトルト)をおかずに食べ、さらにそのままドリップでコーヒーを淹れて、しじみマドレーヌ(リアル)を食べながら、ああ、今日雨降るかなぁ、降るなら地下鉄で行くしか無いかなぁ、などと30分くらい悶々としつつ、テレビのグランパス初陣を見ていたらシモビッチの初ゴール&決勝点を華麗に見逃し(なんでサッカーってゴールに限って見逃すんでしょうね?)、時間になったので熱田文小へ。でも時間余ったので演奏会前に熱田神宮で柏手。そろそろこの運気鎮めてくださいませんか神様。

・ホールについて
以前もこのホールで演奏を聞いた様子をレビューしたことがありますね。……って、以前はミュージカルという相当な変わり種だったのでアレですが笑
このホール、ついこの前、リハーサルで行ったんですね。リハーサルということは、もちろんお客さんはゼロ。一般に、ホールは、お客さんが少なければ少ない程響きがいいという法則があります。つまり、人気公演であればある程、響きが悪くなるというジレンマを抱えているわけです。逆に、例えばリハーサルの場などという時は、めちゃめちゃ響く。それこそ、しらかわ以上の残響が鳴るんです。あっれー、このホールってこんなに響いたかなぁ? という疑問をいだきながら、今日、演奏を聞いてみる。お客さん8割。すると、全然響かない。このホール、どうも、お客さんが入ると途端に響きが悪くなるホールみたいですね。かたや、しらかわホールで歌っていた時は、お客さんが入ってもしっかり自然な残響が残っていた。そこがやはり、多目的ホールとしての性格を残す熱田文小の限界なのかな、とは思いました。あと、このホールは、鳴らない音も拾ってくれるようなホールではない。鳴らない音は徹底的に鳴らない。つまりは……?笑

・エール
Spohr, L「わが歌 - Das Lied」(三浦和夫・訳詞)
平井康三郎「愛知学院大学校歌」(小出有三・制定、折口信夫・詩)

ひとまずの印象としては、勢いに欠ける、というのが第一の印象。特にダスリートだとそれが目立つんですね。勢いがないために、ピッチが落ちて聴こえてくるのが、非常に残念でした。ただ、全体の音が整理されているのは好印象でした。しかし、愛学、もともとこんな音だったかなぁ……? もっとゴリゴリした音を鳴らしていたような笑

第1ステージ・副指揮者ステージ
松下耕「今、ここに」(伊藤玲子)
平吉毅州「ひとつの朝」(片岡輝)
久石譲(arr. 富澤裕)「旅立ちの時〜Asian Dream Song〜」(ドリアン助川)
信長貴富「夜明けから日暮れまで」(和合亮一)
指揮:大塚成将
ピアノ:吉田まつり

プログラム上では、2曲目と3曲目が逆順になっていたのは急な変更だったとして、なぜかプログラム解説では2曲目と3曲目の解説「だけ」入れ替わっていたという。なぜだ……笑 「今、ここに」や「夜明けから日暮れまで」など、声質によく似合った選曲。同時に、特にテーマはなさそうでしたが、どこかひとつの緩いテーマを感じさせ、かつ、シンプルながら深い音楽作りをする上でも十分歯ごたえのある、良い選曲。そういえば、「ひとつの朝」にかけて、Nコン課題曲発表ですね
「今、ここに」上述のように、発声的には非常に合っている選曲だが、内声がボリュームに対してもっと配慮のある音を出せると良かったか。……否、外声がもっと出すという意味での配慮、かな? なんにせよ、語尾ごとに旋律が切れる曲だけに、その語尾が逐一放り投げられる傾向にあったのは是正したい。「ひとつの朝」男声の出だしはもっと力強くありたい。曲中、「旅立ちは〜」の部分に求められるのもまた、結局、力強さ何だよなぁ。「旅立ちの時」例えばこういう曲では、丁寧さが逆にアダになったりもする。音は悪くないものの、なんだかよくわからないまま曲が終わってしまった。逆にテナーの第5音が最後ポーンと飛んできたのは浮いてしまったか。「夜明けから日暮れまで」最近に限らず、信長先生の作品は結構主従が動く作品が多い。そんな中で、詩的にも曲的にも、要点を掴みづらい演奏に鳴ってしまう感じ。キレイにできているからこそ言いたい、流すだけが音楽じゃない、と。

客席明転。4ステでもここで休憩か、と思ったら、そんなことは無く、直ちに開演前アナウンス、そして本ベル。……なんのための案内だったんだろう?

第2ステージ・正指揮者ステージ
木下牧子・混声合唱曲集『光と風をつれて』(工藤直子)
指揮:吉井優太
ピアノ:大本絢子

学生団に珍しく全員見譜。てっきり「けんぷ」だと思っていたら、青島広志先生が読売で「みんぷ」と読むべきだ、と主張し、でもどっちにしろ、そんな単語はそもそも辞書で出てこない。……つまるところこれ、「譜持ち」と言ってしまえば解決するんじゃ……←
「譜持ち」、賛否がわかれるんですけど、僕は嫌いではありません。実際今日の演奏でもそうなんですが、なんだかんだ、演奏は安定するんです。プロの演奏もそう。浅学を捻り出す限りでは、ついこの前横浜シンフォニエッタが暗譜演奏をやったくらいで、基本的にはオケの世界は見譜ですし(あ、そういえばこの時「見譜」って言葉がないと困るわ笑)。ただ、声楽だと、どうしても譜持ちで生じてしまう弊害がひとつ。持ち方が悪いと、どうしても姿勢が悪くなってしまう。今日見ていても、どうしても、腕だけあげていて猫背気味になってしまう子が見られました。逆に、超理想的な持ち方ができている子も。ここんところ、どうしても、個人の気付き次第なのだろうなと思いました。
って、譜持ちの話に割きすぎた笑
「いっしょに」約束された名演。この声に合わないはずがないんです。よく溶けたアンサンブルが、この曲の雰囲気をありのまま示していました。「秋のまんなかで」「おーい」の呼びかけがどうしても弱くなりがちな曲。1曲目とちゃんと切り替えなきゃいけないという意味で、割と難しい曲です。実際、この団も然り。加えて、音符が短いところでテンポを巻いてしまいがちになり、どうもチグハグな構造に。「雨」最初のピアノ(楽器的な意味で)のはじめ方がすごくいい! この曲は、ピアノが非常に大事な役割を持っていますね。アルトにもっとボリューム的な配慮を求めたい。しかし一方で、まだまだソプラノがピアノに負けてしまっている。雰囲気を取るか音量を取るか……否、そういう問題では無いはず。「あいたくて」、本日一本目……あ、もしかして選曲理由はそういうこと!? 流行りとかじゃなくて!?笑「それを手渡さなくちゃ」の前がしっかり聞こえてきたのが非常に好印象でした。「はじまり」出だしは非常に素晴らしい。アンサンブルの持ち味がよく出ていました。ただ一方で、六拍子に入ったあとのテンポが揃わないまま展開してしまいました。誰が合っている、とかそういう話ではなく、単純に「揃っていない」。拍がハマるだけで、もっと表現の幅が出てくるような気がする同曲。例えば、その後、三拍子に戻るという楽譜上の表現だけでも、そのことが言えるでしょう。
全体として、悪い演奏ではなかったように思います。何より、曲とアンサンブルの相性が非常に良かった。しかし、それに甘えること無く、より曲ごとの歌い分けを明白にすることが出来るとよりよかったか。とりとめないけれども、もっと自由に歌ってしまっても良かったような気がします。

インタミ15分。実は前半、最終ステージを振る神田先生を背にステージを聴いていたのでした……イヤイヤ、冷や汗だった……笑

第3ステージ・同声ステージ
女声
福山雅治(arr. Takahiro Iwase)「誕生日には真白な百合を」
梶浦由記(arr. Takahiro Iwase)「storia」
男声
谷村新司(arr. 西脇久夫)「いい日旅立ち」
米米CLUB(arr. 広田圭美)「浪漫飛行」
指揮:吉井優太
ピアノ:大本絢子

この団おなじみ。「混声合唱団グリークラブ」という、訳の分からない名前になっている理由は、ひとえに、嘗てこの団が男声合唱団だったことに由来します。混声への転換をしてもなお、今のところ、卒団生合同演奏は男声合唱。それもあってか、同声ステージはまだまだ大事な要素のひとつとなっているようです。今日は全曲ポップスで。そこんところ、ちょっと時代は変わりつつあるのかも。
「誕生日には」メゾの出だしをはじめとして、もっともっと聞こえてこないと、旋律を楽しめないか。全体として音の鳴り始めが遅かったことも含め、もっともっと積極的に歌いに行って欲しかった。「storia」「歴史秘話ヒストリア」のアレ、ということで笑 和声の中にメロディを見出すという意味で、とてもおもしろい曲ですよね。その再現はバッチリといったところ。ボリュームの問題については、よく出ていたとは思うものの、出だしの音はあくまでメゾピアノ程度であるという意識をもってくれるといいような気がします。一部の声が浮き立つという部分があって、非常に上手なのはよかったのですが、アンサンブルという意味では残念。でも、ボリュームはそれくらいに合わせとくべきかなあ。
「いい日旅立ち」この曲、男声に合うよなぁ……つくづく。女声よりボリュームはよく出ていたものの、トップはそれでももっと張ってくれていい。フレーズがわかりやすく鳴っているのがとても好印象。ただ、内声がやや無理する部分があったのは惜しいところ。真の意味で「惜しい」。「浪漫飛行」最初のテナーはもっと思い切って出さないと!笑 どことなくテナーとベースのテンションの温度差が気になるところ笑 ただそれ以上に、いったいどこか主旋律か見えないサビかなぁ。2番サビを超えたところで、全員が舞台前方へ出てきて歌う。この時、指揮者は振りながら歌っていたけれども、多分、10人あまりの人数だと、振らずに合わせたほうがアンサンブルも精緻になるし、トレーニングという意味でもそちらのほうが良いと思いました。楽しそうではあったんですが、自分が楽しいだけじゃ楽しい演奏って出来ないんだなぁ、とつくづく思いました。

明転。次は客演ステージだしすわ休k……「着替えのため、5分ほど休憩いたします」とアナウンス。普通の演奏会では入らないのですが――要る? このアナウンス。

第4ステージ・客演指揮者ステージ
相澤直人・混声合唱アルバム『なんとなく・青空』(工藤直子)
指揮:神田豊壽
ピアノ:吉田まつり

ピンクエコーも歌っていたというこの曲。このブログで初演を取り上げて以来、僕の中でグイグイ来てる同曲。名古屋でも流行の兆し。関係ないけど、この記事を見つけるために昔のブログ記事読み返したら、なんだか恥ずかしくなってきました(何
まずはピアニストが着席。誰も出てこないままステージ明転……と、奏でられる「あいたくて」の旋律に併せて団員の皆が仲良さげに出てくる。ちょっとこの演出、いいな、って思いました。この曲の世界観にも合っているようで。そんな中、指揮者の神田先生は某女声団員と腕を組んで……ってちょ、おま、そこかわれ!
そのままランダムオーダーではじまった「なんとなく・青空」。もうこの曲大好きすぎるので、この曲聞けただけでも評価はアマアマなんですが←、しかし、この団がもつ丁寧さをうまく曲に落とし込めていたように思います。しかし、最初の音量含め、この曲にしては少しおとなし目の設計。僕の印象が初演にあり、それが作曲家本人の指揮であるとはいえ、それはそれでありなのかも。「ひとりきりの心」の前で、女声前・男声後、低声中央・高声端という、あまり見ない特殊オーダーに並び替え。同曲の鍵は「縦」。語りの部分で縦がずれた点、またサビの部分でも、縦の音程が崩れてしまいました。後者の原因はたぶん内声。全体としては、もっと面白く歌ってもいいと思いました。なにせ、ほとんど全ての曲がおとなしく歌おうと思ったらそう歌えてしまうきょくですしね。「しゅっぱつ」この曲では、ソプラノがしっかり歌い上げたほうが、曲の空間が広がっていいのではないかと思います。その意味で、中間部はよく歌えていたのですが、前半はもっと効果的に鳴らせたような気がします。そうすることによって、自然に、中間部の表現もより精緻化されていくと思います。「メンテナンス」を前にSATBに並び替え。この曲は、何より中間部のテンポの早い部分が面白い曲。しかしこの部分で早くなったテンポに焦らないでしっかりメロディを歌えるかが肝。今回は、大事な歌詩が飛んでしまっていたような気がします。周りの鳴らしている音をしっかり確かめながら「私は現在進行形」をはじめとする、肝となる音に命を吹き込みたい。リズムで押し切るのはあまりに残念。最後の「あいたくて」の前には団員がふたり追加。さらに、客演したピアニストに神田先生の教え子がいるということで、オプションのピアノを付けての演奏。演奏は、何より、発声が、この曲のためにあるようにも思い、とても気持ちよく流れて行きました。入場時の演出も相まって、一種のリフレインのように「あいたくて/だれかに あいたくて/なにかに あいたくて/生まれてきた――/そんな気がするのだけれど」という言葉が、一種のリアリティを以て聞こえてきます。この旋律に、「あいたくて」――そんな気がして、揺蕩う音楽が心地よかったです。

・アンコール
相澤直人「ぜんぶ」(工藤直子)w/ pf.
指揮:神田豊壽
ピアノ:吉田まつり
信長貴富「歩くうた」(谷川俊太郎)
指揮:村瀬輝恭
畑中みどり「海とともに」
指揮:吉井優太
ピアノ:大本絢子

アンコールの前には、途中で出てきた団員の紹介(忙しくて練習に参加できなかったところ、最後だけでも、と乗ったのだそう。良い団だ)、さらには、新しく出来る名城エリアのキャンパスからの練習問題を紹介。いろいろ環境が変わる中、まずは、しっかりと歌いきった4年生を前に出してのアンコール。
神田先生アンコールは、もう、「なんとなく・青空」の段階で予想していました(ッて、初演も同じ流れだったんですね!笑)。このピアニストが、これまた上手いんだ!「ぜんぶ」のイントロのピアノを、あんなにも情感たっぷりに、溜めながらも、しかし音楽を動かしながら進めることが出来るという贅沢。最初のソロは4年生の歌いまわし。そして、tutti の合唱へ。どんなに予想されていた流れだったとしても、これほどまでにアンコールに合う合唱曲、そうないよな、と思います。大好きです。この曲。
2曲目アンコールの指揮者は、この団のチーフ技術アドバイザー。非常に久々にこの曲を聞いたように思います。一時期は食傷気味になっていた程なのですが……笑 この曲、多分、この演奏会の中で一番仕上がりがよかった。最初の音から、なんだ、この団、こういう声も出せるんじゃない! といった感じ。張った声だけれども、要所でしっかり音楽を仕掛けていける、面白いアンサンブルを聞かせてくれました。
3曲目は、調べた限りでは、3・11復興祈念ソングでしょうか? はじめて聞いた曲です。早い部分で言葉が――っていうのはいいとして笑、言葉のリフレインする箇所でしっかりと命のある言葉が返ってくるとより良かったなと思います。最後は卒団生たちが再び出てきてユニゾン。クールそうな男声2名が涙の熱唱を繰り広げているのが印象的でした。

・ロビーコール
木下牧子「どうしていつも」(まど・みちお)
グラナハム「いざたて戦人よ」(藤井泰一郎)
信長貴富「ほほえみ」(川崎洋)
木下牧子「鴎」(三好達治)

この団はロビーコールのタイミングで団長挨拶。なんだか言葉の選び方が面白かったです笑
「いざたて」以降は、ピッチパイプを間違えたこともあってか、どことなく調がバラバラだったような笑 否、それ以上に議論を呼びそうなのが、「ほほえみにはほほえみ」の部分で「ほーっ!ほーっ!えーっ!みーっ!」と完全にぶつ切りで歌い込んでいたこと。否、こういう言い方はアレかもしれんけど、正直、面白かった笑

・まとめ
なんだか、かつて鳴らすことこそ至上命題となっていたような団だけに、意外でした。でも、その意外さには、いい面もたくさんある。実際、この音が鳴らせるからこそ、『なんとなく・青空』が映えるわけだし、この音が鳴らせるからこそ、「いっしょに」も非常によくハマっていた。でも、この団は、音圧という、この団の魅力をなくしてしまう方向に動いてしまっている。いいこともある反面、それ自体は、とても惜しいことのように思います。音圧が全てとは言わない。でも、鳴らしたいところでちゃんと鳴らせるトレーニングというのは、今後共積んでおくべきだとは思います。しかし、オールマイティーにある程度なんでもこなせそうな雰囲気のある最近の愛学グリー。今後の演奏も楽しみな、未来に繋がる演奏会だったように思います。

そうこうしているうちに、すごい更新時間になってきました。こうして、久々にまったりしていた休日は過ぎて行くのでした……笑

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