おおよそだいたい、合唱のこと。

ようこそお越し頂きました。
主に、管理人が参りました、合唱団の演奏会のロングレビューを掲載しております。
また、時折、気分に応じて、合唱如何関係なく、トピックスを記事にしています。
合唱ブログのつもりではないのに、気付いたら合唱ブログみたいなことになってきました。
やたら細かいレビューからノリツッコミまで、現状、合唱好きな方の暇つぶしには最適です。
ゆっくりしていってね!!!

2019年3月3日日曜日

【混声合唱団愛知学院大学グリークラブ第54回演奏会】

2019年3月3日(日)於 熱田文化小劇場

私、ブログの手前もあって、最近、演奏会ははしごしないことにしてるんですね。
なにかって言うと、今日、裏でグランツェの演奏会やってるんですよ。否、もっというと、はしごできるような時間で、はしごしている人間も多かったわけですけれども。
それにしても、当方、前段の事情につき、どっちの演奏会に行こうかと逡巡していた所、どちらの側にも知り合いがいるものの、チケットを文字通り売りつけてきたのは、彼女ただ一人でありました。カネも渡す前から、ただでいいから、と受け取りを拒否する暇すら与えず、チケットをまずは渡してきた(もちろん、お金は払いました笑)。
で、今日、この演奏会に来て、まずはとばかりパンフレットを眺める。みるに、その、私にチケットを売りつけてきた某への他己紹介文、その一文目にあったのが、

「そう、誰もが知るコミュ力お化けである。」
言い得て妙、それであるからにして売りつけられたこの一席――この文才、俺に分けてくれ!爆

否、それにしても、その某の、「売りつける力」は見習わねばなりますまい笑
実はなにげにこのブログ最多登場、愛学の演奏会です。

・ホールについて
もうホント、このホール、書くことなくなって来てますね笑
否、ホールを否定するわけではなくて、単に、書きすぎて書くことなくなってきたってだけですねん笑 それこそ、愛学だけでこのホールに何回来てるんだって話ですから笑 せっかくだから、団旗とバトンのことでも書こうかと思ったら、もうこの前(というか去年の愛学で)書いたみたいだしさ爆、もうどうせいっちゅうねんと。
このホール、最寄り駅はどこと言われると、地下鉄名城線・神宮西駅という人が多いんじゃないかと思いますが、実はこれ、意外とそんなこともありません。ホールから最も近い駅は、JR東海道線・熱田駅。裏側からもアクセスできる道があるので、駅から徒歩3分は夢ではない距離にあります。最も、熱田駅は普通しか止まりませんが、名鉄名古屋本線・神宮前駅なら全種別止まりますから、名古屋・金山からのアクセスなら抜群にこちらのほうがいい。さらに、栄からなら、市バス栄21号系統・泉楽通四丁目行きの市バスが本数は少ないものの便利ですし、その他熱田巡回系統、金山19号系統、幹神宮2号系統のバスなんてのもあったりする(いずれも「熱田区役所」停留所)。加えて、基幹1号系統等停まる「堀田通五丁目」停留所から歩いても、15分程度で着きます。なんにせよ、地下鉄に限らず、様々な交通手段を検討すると、よりこのホールへのアクセスが便利で、楽しいものになる、かもしれない。
え、なんでそんなこと書いてるかって?
本当にネタ切れ間近なんですよ……笑
そういえば、このホールって、本番中ローホリ裏に仕舞えましたよね……?あと、前明かりなんかケチってない?……などと白々しく書いておきましょうか埋めるために笑

・エール
「わが歌」
「愛知学院大学校歌」

否、最初から思ってたんですよ。とてもきれいに収まっている、精緻なハーモニー。非常にブレンドされていて、和音がよくハマっているのが目に見えてきて、非常に優秀なアンサンブルだと。もっと歌ってもいいんじゃないかな?とかいろいろ考えていたんです。これだけハメられるんだから、もっと歌いこむことができれば、見えてくる世界が変わってくるんじゃないかな、と、凡庸に、そんなこと考えていました。

第1ステージ・アラカルトステージ
北川昇・無伴奏混声合唱曲「歌ひとつ」(立原道造)
平井夏美(arr.源田俊一郎)「瑠璃色の地球」(松本隆/コーラスで贈る混声合唱のための『ウェディングセレクション』より)
米津玄師(arr.田中和音)「アイネクライネ」*(『合唱で歌いたい!J-POPコーラス』より)
木下牧子「はじまり」*(工藤直子/混声合唱曲集『光と風をつれて』より)
指揮:山中壱晟、今泉達矢*
ピアノ:天野穂乃果(客演)

でも、そういうふうに考えていたけれども、どうなんだろう。これはこれでいいんじゃないだろうか、なんて、ちょっと考え直してしまうのが、今回の演奏でした。
小さく収まっているだけ、とも言い切れない、スルメ的な魅力があるのが、今日の演奏でした。なんとなく音量不足なような気がしたけれども、でも、人数考えたらこれくらいがぴったりな音量な気もするし、響きも浅すぎず深すぎず、フレーズもよくつながっていて、しかもそのフレーズがちょうどいい豊かさを持って鳴っている。大袈裟な表現とは無縁かもしれないけれども、でも、確かに寄り添ってくれる表現があります。
華々しい曲をやるには、やっぱり力不足な気もします。その、「筋肉」的な意味で。でも、この曲の並びだからこそ、穏やかな響きがよくあっていたような気がしました。「瑠璃色の地球」は、その意味でとても素晴らしかった!一方で、「アイネクライネ」は、長所とも言えた自然なフレージングが裏目に出た部分もあるでしょうか。後鳴りというか、伸ばしてから音が乗り出すのが露骨に出てしまいました。逆に言えば、自然にできているフレーズを、なんとなくやるのではなくて、自分でコントロールできるようになると、それでこの団の実力はひとつ確固たるものとなるような気がします。自分たちで鳴り方をコントロールすること。もっといえば、音の最初からちゃんと鳴らそうと心がけること。
アルトがよく鳴っているのは、評価しなければなりませんね。一方で、テナーが少々力不足かも。

インタミ15分。――15分!?

第2ステージ・同声ステージ
女声)
徳永暁人「渡月橋〜君思ふ〜」(倉木麻衣)
信長貴富・二部合唱曲「未来へ」(谷川俊太郎)
指揮:今泉達矢
ピアノ:山梨晴哉(客演)
男声)
藤原基央「魔法の料理〜君から君へ〜」
野田洋次郎「なんでもないや」
三沢郷(arr.猪間道明)「デビルマンのうた」(阿久悠/男声合唱のためのアニソンフラッシュより)
指揮:間瀬奈月
ピアノ:山梨晴哉(客演)

長いインタミを経て、このステージ。まぁ、でも、いろいろあるんですよね、ローホリ使って正反色づけたりとか笑
人数が少なくなると、どうしても、音量の問題が露見してしまうのが気になる所。
女声は、「渡月橋」はもっと、壮大な音が作れるはず。揃えるよりも鳴らすことのみを意識の中心に据えたとしても、この団の響きは、崩れず、うまく鳴らすことができたような気がします。
特に、女声は、その可能性を多分に秘めているんですね。「未来へ」のユニゾンが、特にそれを示唆している。特にこの曲の主題くらいの強さが、「渡月橋」でも欲しかった。一方で、男声も、もっとボリュームが欲しかった、その一点。女声はその点、声はうまく使えていたのだけれども、男声は、その点も、まだまだ追求できる点がある。特に、高い方の響きについて、狭いがために鳴り方が苦しくなってしまう。で、それでいてかつ、音の勢いもほしい。勢いが無いと、高音の響きが落ちてしまいますから。
男声のボリュームの理想は、「デビルマーン!」のあたり。あれでmfくらいだと思うと、ちょうどいいような気がします。でかいと見せかけて、そんなもんかな、と。個人的には。

インタミ5分。斬新だ……笑

第3ステージ・客演指揮者ステージ
横山智昭・混声合唱とピアノのための曲集『お菓子の時間』(みなづきみのり)
指揮:神田豊壽(客演)
ピアノ:吉田まつり(客演)

譜面台は客席にあるし、ピアニストは一人で出てくるし、何かあるなとは思っていたんですよ笑
もう、どこから出てくるかな、と疑心暗鬼にくれていたんですが、ステージ脇からちゃんと出てきました。チャイムのモチーフによるピアノから、かけ出てくるようにステージの上に集合、そこから、「只今からこの会場はお菓子の時間ですが、この会場は飲食禁止ですので――」という神田先生の子気味よい(?)アナウンスとともに、ステージは一気にお菓子の時間に引きずり込まれていく。
最初から、これまで聞こえていなかったような音が聞こえてきて、楽しく聞くことができました。後半に行くにつれ、体力的な問題か、タイミングや音程がずれてきたりして、技術的には、悪い面もそれなりに聞こえては来るのですが(後例えば、さっきのテナーの高音みたいなものとか)、でも、それ以上に捨てられない魅力がある。
なにかって、楽しそうなことと、楽しませようとしっかりと考えている、その二点。見せる表情が豊かで、数多くの引き出しがあるから、時間がめくるめく過ぎていく。しかも、崩れた部分があったとしても、ユニゾンがしっかりと鳴るから、しっかりと音楽が引き締まり、音楽の世界に私達を戻してくれる。
様々な工夫がこらされていて、とても楽しいステージでした。何より、心から、楽しませようという心意気に満ちていた。それを、振り付けだけでなく、音と動きで、確かに確認することができたのが、本当に印象的な、いいステージでした。

この後、神田先生がアンコール。マイクもなく、地声で挨拶された後、さぁアンコール……というところで、実は段取り上は団長挨拶だったということが発覚笑 非常にやりづらい中で笑、団長挨拶をやりきってくれました。とはいえ、やっぱり、挨拶していると、心に来るものがあるようで。笑いあり涙ありの、非常に素敵な団長挨拶でした。

encore
米津玄師「Lemon」(指揮:神田豊壽)
信長貴富「それじゃ」(木島始、指揮:村瀬輝恭)
なかにしあかね「今日もひとつ」(星野富弘、指揮:間瀬奈月)
中島みゆき「時代」(指揮:今泉達矢)

レモンは、神田先生の非常に貴重なポップスソロに続いて、卒団生ソロ回し。恒例なんですねそういえば笑
アンコールの演奏も、結構に荒削りなものが多かったです。正直。でも、そう考えると、最初の方の演奏が硬かったんじゃないかと思わされるくらい、非常にイキイキしていてよかったような気がします。
しかし、世代でもないのに、中島みゆき好きだよねぇ皆笑 若い世代のほうが積極的に取り上げているような気がします笑

・ロビーコール
「いざ立て戦人よ」
「ぜんぶ」
「遥かな友に」

最後は大団円。裏のグランツェの時間も迫っている中、皆さんよく残っていたのが印象的でした。否、グランツェだけが全てだけじゃないけどね。でも、非常にいいことのような気がします。

・まとめ

とある人が言っていた、伝聞によるとある一言がものすごく胸の中に残っています。
この団に直結する話でもないので、あえてここで、その言葉を披露するつもりはありませんが、でも、そこから想像を重ねて、この演奏会から見いだせる、私達アマチュア合唱人の「始まり」に寄せて。

学生団って、そういうもんなんですよ。
っていうと、いきなり何かの視野狭窄を疑われてしまいそうですが笑、どの学生団も、「そういうもん」なんです。
各団独自色を信じて活動し、やれ演出だ初演だアトラクだ、アンサンブルや同声合唱に挑戦してみたり、会場一円となって歌ってみたり、全国、否、愛知県のみをしても、非常に様々な学生団のステージがあり、それぞれの仕方で私達を楽しませてくれます。本当、合唱のみならず、心から楽しめるステージがとても安価に、非常に多くある、現代はとてもいい時代になりました。
学生のうちは、――私だってそうです、ここにある活動が唯一で、絶対に自分たちの活動はオリジナリティにあふれていて、自分たちこそが、最も人を楽しませることに注力していて、特別な存在だと思っていた。
否それ自体を否定したいわけではないんだけれども、語弊を恐れずに言えば、当時はなんて傲慢な考えでいたのだろうと自省させられるものがあります。決してそんなことはなくて、もっと良い言い方をすれば、「どの団だって頑張っている」。私達だけではなくて、アマチュアであれなんであれ、同じショーマンとして、ときに孤独に、ときに賑やかに、ステージを彩るために日夜努力を重ねている。
今日の演奏だってそうです。ポップスから合唱曲から、様々な曲を網羅するだけでなく(あえていうなら外国語はなかったけど笑)、3ステではパフォーマンスも豊かなメルヘンをしっかりと表現してみせた。
誰にだって、表現する権利があり、誰にだって、表現する喜びがあります。各団のステージは違えども、そこに、優劣などあるはずがありません。ステージに立って、少々熱くて眩しい照明を浴びる時、その浴びる照明は、いつどこの照明だって、その意味は全く変わることがありません。それは、大袈裟でもなく、新しい世界の始まりであり、私達の新しい船出にほかなりません。
学生団は、そんな船出との出会いの場と言えないでしょうか。学生団からプロの声楽家・指揮者の道へ行くような人もいる。それも、決して、全国大会を出たような団ばかりではなく、様々な立場から。でも、その始まりは、そんな、ささやかな始まりからなのです。
そして、そんな日々は、四年間で幕を閉じることになります(最近つとに怪しいけれども←)。期限があるから美しい、というわけでもない。でも、期限があるから、そのステージは特別で、代えがたいものになります。――だから、自分たちは特別だって思い込むのかもしれませんけどね。まぁでも、だから、それでいいのかも。今のうちは、自分たちが一番って風で。それが、ショーを動かす原動力になるのなら。

私が言えた立場かはわかりませんが、卒団生・在団生乃至退団者いずれも、これからの皆さんの前途は、想像以上に多難です。どうしようもなく悔しいことや、胸が潰されそうなくらいの挫折、別れの悲しみに、現実を見通してしまったときの、途方もなさ。これまでの合唱団で味わったもの以上の辛さがそこに控えているのは、事実と言い切ってしまえます。でも、皆さんが今日踏んだ舞台は、間違いなく、そこにしかないもの。その事実自体に、どうぞ自信を持っていただきたいと思います。なにを言われようが、客席を随分埋めて、しっかりと演じきった演奏は、皆さんが自分たちなりに努力してきた証です。
ステージに立つ以上、私達は同じ土俵の上に立っています。そして、同じ土俵の上で、がっぷり四つを組む権利があります。その意味でも、今日はまさに、大団円でした。どうぞ、今日のステージを作り上げたことに、自信を持って、これからを過ごしていただきたいと思います。
なにせ、ここから、すべてが始まるのですから。

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