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2015年6月4日木曜日

【名大祭特別企画ステージ 合唱と弦楽オーケストラの協演】

2015年6月4日(木)於 名古屋大学豊田講堂

ブログではお久しぶりです。4月以来ですね。ブログにいない間は名古屋ユースに参加してたり真面目に(?)練習してたり、歌う側に勤しんでおりました。明日はKKRということで……なんて思いきや、関西ではなく名古屋にいて、そんでもって大してお金もないものですから我慢我慢……ああ、お金こそすべて。ライフ・イズ・マネー。
って、世知辛い話はおいといて、名古屋だって負けちゃいませんよ! 今日から4日間名古屋大学・通称名大(めいだい・明大ではない)で「名大祭」が開かれています。その企画の一つとして企画されたのが今回の演奏会。年齢無制限の公募メンバーにより構成された特別合唱団による演奏で、披露されるのは厨好みいぶし銀の名曲・ドブロゴスミサ! ドブミサとかドブマスとか、果たしてこの綴りでどう読もうといったところですが(笑)なにせ、大学祭ですよ、大学祭! 豊田講堂の前に堂々とメインステージが置かれていた以外は特に大学祭を感じられなかったのはご愛嬌← 平日の1日目ですからね←

・ホールについて
名古屋大学のメイン講堂です。「とよだこうどう」と読みます。名前の由来は、名古屋ですし、まぁお察しください←
講堂というだけあって、横に幅広く奥行きに少し狭いステージは、多目的にカンファレンスから演奏会まで何でも出来る感じのホールです。なにせ、ヤマハのコンサートピアノが置いてありますからね(笑)CFシリーズではないだろう、という感じ。よかった←
さすが何でも出来るだけあって、照明系の設備が充実しているこの講堂、ステージ中央には大きなプロジェクターも準備されていて、名大の入学式・卒業式はいずれもここで開かれます。そんなここ、演奏会ホールとしての実績もしばしばあって、昔、グランツェが演奏会をやっていた実績もあります。改装に伴い壁面材が取り替えられた(んでしたっけ?)影響もあるのか、打ちっぱなしのコンクリに映える明るいブラウンの反響板がオシャレです。そしてなにより、ここは講堂のいいところ、簡易の机がある! レビュアー歓喜! 楽譜見ながらドブミサ聴ける(実際楽譜開いてた←)!
ただ、響きという面で見ると、さすがに講堂、天井が低いのもあり、なかなか響きが客席に返って来てくれません。響き方そのものは上に明るくさわやかなだけに、その点はなんとも惜しいところ。ちなみに器楽という意味では、鳴らした音はしっかり返ってきますが、器楽ですら、鳴らないと返ってこない、中々大変なホール。名大はここでリハーサルやってるから強いのかな……(笑)

指揮:川口昂彦
ピアノ:野村七海

本日は合唱団2段オーダー。幅広のステージを活かすにはこのオーダーがいいといったところでしょうか。弦楽オケは Cb 1人ほか 2人の9人+Pf。小編成ですが、合唱団の規模もそこまで大きいわけではない(約50人)ため、これくらいでちょうどよかったといったところでしょうか。

Steve Dobrogosz"MASS"
Introitus
Kyrie
Gloria
Credo
Sanctus
Agnus Dei

本日のメインステージ。最初からクライマックス(笑)なことで有名のこの曲です。とりあえず最初のKyrieがトコトン有名です。福島で流行った時代があるようで、その時を中心に様々な録音が残されています。中にはピアノリダクション版を某強豪高校の校内合唱コンクールで取り上げられた音源がリークされたことも……w
演奏全体として、表現のドラスティックさがもっと欲しかったように思いました。特に最初の「Kyrie」のテンポが少々落ち着いたところから始まったのは、表記上は良くてもいささか疑問の残る場所。勢いという意味では、もっとあそこでガツガツいってもよかったのかも。あとは全体に鳴りに苦しいホールということもあり、中々音が飛んでこなかったところがあるのは残念。ハーモニーという点ではもっと合わせられるというのは公募合唱団のご愛嬌、かたや、全体的に緊張感のあるパートでしっかりとアンサンブルが出来たというのは、この曲が好きな人達で集まる演奏会なだけはあったのではないかと思いました。
以下、楽譜を見ながら聞いていたことによるお小言みたいなものをつらつら笑
まず弦楽アンサンブルによる「Introitus」、最初のピアノの音に聴き惚れます。聴き惚れました(大事なこと)。最初楽器を温めておく暇がなかったのか、特に低弦を中心に音が低くなっていたように思います。リズムは秀逸でしたが、コンミスの最後のソロはもう少しルバートでもよかったかな?「Kyrie」は組曲中最も有名な曲。ピアノ、そして女声の突き刺さる緊張感の中に、明るく印象的な主題が高揚感を盛り立てます。今日は割とゆっくりしたテンポからはじまりました。もう少し早いほうが個人的には好みです。さらに言うなら、その勢いをもってして、もっと骨太のアンサンブルが聞きたかったか。全体としてソプラノの下降音型が投げ捨てがちになってしまったところとか、テナーが割に自由に、しかし欲しいところでは出てきてくれなかったりとか、あるいは低声の対位旋律があまり活きてくれなかったところとか。もちろん、ただいたずらに興奮してKyrieを歌うわけではないものの、出来ることなら、もっともっと充実の音で聞きたかったといったところ。「Gloria」最初の女声の旋律で、臨時記号の音がいずれも外れてしまったのは残念。緊張感こそよかったものの、楽譜上にも記載されている、段々と増していくパワーをどこまで表現しきれたか。この曲の正念場はここから先にあるとも言える。最終部、男声の「Patris」の副旋律にもっと集中力が欲しかった。そしてピアノのソロが素晴らしい。「Credo」最初の男声で「e」のピッチが落ちたのが残念。長い曲だからこそ、前半部は音が揃う瞬間をもっと大事にしたかったか。そして、鳴りがもっとも問題となったのはこの曲。鳴らないホールだからこそ、ディナーミクをもっと付けないと音が飛ばない! その点、もっともっとドラスティックに変化させて、音量の頂点をもっと高いところに持ってくるとよかったのでは。全体としてあっさりしていて、壮大な物語を語る表現という意味で、ある種の「Credo らしさ」は少なかったものの、66小節アウフタクトからの男声と弦のtutti「Et iterum venturus est cum gloria」を境に、演奏全体としていい音が鳴り始めたように思います。ここは、チェロが非常に良い働きをしました。最後の和声はベースが Good。「Sanctus」この勢いの半分くらいを Credo に欲しかった!笑 音が大きくなるとハモリが悪くなってしまったものの、この曲の表現という意味では十分な音だったのでは。でもだからこそ、この曲に出てくる「Kyrie」からの回帰は、もっと言葉を飛ばして表現したかった。加えて、104小節以降の内声はもっと合うとよかったか。「Agnus Dei」組曲を通して一番よかったのはこの曲だろうか。入りの弦楽アンサンブルから十分素晴らしく、全体として歌の推進力がもっともあった曲。ただ、21小節「pacem」に指示された「very calm」が少々分かりづらかったり、何度も出てくる「qui tollis peccata mundi」の描き分けが十分だったかなど、仔細に気になる箇所は散見される。いずれも、表現の機微に関わる部分、この曲の難しさが露呈したか。あともうひとつ。ピアノが本当に素晴らしかった(本当に大事なこと)!

ここでドイツ産ブロッコリーこと指揮者の川口さんが喋ります。この方、名大の研究員でもある手前、自分の研究室公開の宣伝をされつつ(そういえば名大祭ですもんね笑)、ドブミサについてのエピソードを披露。「9年前、名大グリーンハーモニーで下振りをしていて、今日は本番を振れるということに興奮していた」。そして、「日本ですので、ラテン語で終わるのもアレなので日本語を――」とおっしゃりながら、次にやる曲を披露。……半分ドイツ語やんけこの曲!笑

信長貴富「くちびるに歌を」(Cäsar Flaischlen(信長貴富・訳)、混声合唱とピアノのための『くちびるに歌を』より)

今日のもうひとつのステージ。この企画を初めて知った3分くらいは、オーケストラ版をやるものだと勘違いをしていましたが、普通の混声ピアノ版。解せぬ。実に解せぬ。管がいないのならエレクトーンを使えばいいじゃない← むしろオケ版だったら自分はオンステしていた可能性があるぞ(あれ?)
最近のこの曲のはやりの着想は「ねちっこい演奏」にあるのだと思っていますが、今日は打って変わって、あっさりとしたテンポ早めの演奏。日本語に入るとさらに加速(笑)愛唱曲のようなテンポでさわやかに駆けていったイメージ。長い曲ですけれども大人気な曲ということで、ある意味こういうテンポで歌うのもありなのかもしれません。もっとも、ドイツ語再現部で音が合流してタメルところは、強烈な協和音である上、実際いい音がなっていたから、もっと長さが欲しかったなぁと思います。逆に歌い慣れによる音の外れたところもあったけれども、演奏としてはこちらのほうがミサの大人しさより好きだったかなぁと思いました。何より、大学祭っぽさがありますからね。そしてテナー! 最後ガンガン飛ばしていたのはともかく、「言葉を」の高音部はもっと鳴らさなアカンでしょうが!w

・まとめ
大学祭で音楽というと、メインステージでのバンドライブやアカペラライブ、ダンス、あるいはのど自慢(?)、それにくわえてオケ部や吹部が演奏会をやったり、あるいは合唱団も演奏会を開いたりといったところ。あとは合唱団がチュロス売ってたりはしますけれども、どうしてもクラシック系の音楽はバンド系の音圧に押されがち。そんな中今回の企画は、大曲を公募でやってしまおうという意味でとても画期的なものでした。合唱人が集まるところで一般公募合唱をしようという企画はあるものの、色んなものが混ざり合った大学祭という場所で(それもメインステージの裏で笑)弦楽を交えながら演奏会を開くというのは、ひとつ画期的な企画だったように思います。様々な立場のお客さんが入り混じりながら、ひとつの音楽を聴くというイベント、これもまた、合唱にとどまらず、大学という場にあるべきものなのかもしれません。選曲も爽やかで、大学祭のオープニングに相応しいイベントだったように思います。

しかしおかしいなぁ、こんなにねちねちとしたことを言うつもりはなかったのだけれども……楽譜を見ながら演奏を聴くというのはこういうところでよくないのですね(苦笑)

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