おおよそだいたい、合唱のこと。

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主に、管理人が参りました、合唱団の演奏会のロングレビューを掲載しております。
また、時折、気分に応じて、合唱如何関係なく、トピックスを記事にしています。
合唱ブログのつもりではないのに、気付いたら合唱ブログみたいなことになってきました。
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2015年4月19日日曜日

【コーラスめっせ2015・さくやこのはなコンサート】

2015年4月19日(日) 於 いずみホール

やっぱりアトリウムだけじゃ終われねぇ!
さて、アトリウム終わって今度は、さくやこのはなコンサートへ。なんだか思わぬ知り合いから、こっちのことを半分忘れかかってる知り合いまでたくさんいました。合唱人あるあるですね笑

コーラスめっせ
毎年春に行われて、気づけば定番イベントになってきました。伊東恵司先生を実行委員長に、毎年様々な講習会や演奏会が開催されます。なかに話題になるイベントも盛りだくさん。特に今年は歌曲『美しい水車小屋の娘』を合唱で歌おう、という中々ぶっ飛んだ意欲的なイベントが注目を集めました。他にも今年は、ワールドユースでもタクトを握る実力を持つフィリピンの Velasco 先生によるドイツ語曲、パミントゥアン合唱曲の講習会、さらに定番のコンクール課題曲講習会、さらに合唱指揮者講習会に合唱伴奏者講習会と、本当にイベント目白押し。この2日間は、大阪ビジネスパークが合唱の街に変貌を遂げます。
そんな中、無料で聞くことの出来る「TWIN21」でのアトリウムコンサートに加え、OBPのはずれに位置するいずみホールでは、期間中何個か演奏会が開かれます。そのフィナーレを飾るのが、この「さくやこのはなコンサート」。実は、時間の都合もあると思い、アトリウムコンサートだけ聴いて帰ろかなと思ったら、朝講習会で貰ったパンフに記載された、予想以上に魅力的な団体の面々。こりゃ行くしかねぇやとばかりに、途中まででも聴いていこうと思い立ったのでした。見事にマーケティング戦略にやられた感じですね笑

・ホールについて
もういい加減省略したいんですけどね……?笑 このホールで何度書いたというのだろう笑
中座する際に、ホワイエのバーカウンター前を通ったのですが、そこにはテーブルとお酒を囲んで談笑する人たちが。
目当ての演奏が終わったからでしょうか。なんだか、新鮮な風景だなぁって思いました。
普段演奏会を中座するってことをめったにしないので、あのような風景を見るのはなんだかとても不思議な感じでした。一種の合唱祭みたいなものだから、というのもあるのでしょうが、お酒を囲みながら、ゆっくりと過ごすには、確かにホワイエってとてもいい場所なんですよね。特に、いずみホールのホワイエって、場所がよくて雰囲気も素晴らしい、いい場所なんです。なんだか、贅沢な時間の過ごし方だなぁって思いました。

コーラスめっせは今年で6回目になるそう。そうか、そういえばちょうど自分が所属団入ったあたりからやってるんだなぁとしみじみ。なんとなーく、深い理由もなく、避けてる向きがあったにはあったのですが。その後の印象については、あとで笑
アナウンスはフリーアナウンサーで活躍されている木谷美帆さん。そりゃもう、抜群の実力だったのですが、ひとつ、「みなづきみのり」のアクセントが「み↑なづきみ↓のり」となっていたのはちょっとおもしろかったです。その、なんていうか、斬新で。ああ、そうとも読めますね確かに! と笑

・オープニング:混声合唱団合同演奏
神戸大学混声合唱団アポロン、関西大学混声合唱団ひびき、立命館大学混声合唱団メディックス、大阪大学混声合唱団、貝掛混声合唱団
千原英喜・児童合唱のための「うたおう」(みなづきみのり)

まずは、アトリウムコンサートの最後に披露兼リハーサルした曲の成果発表でオープニング。関混連、通称・KKR(どっちも通称や)のうち4団と、KKRと響きを近くする貝混のジョイントです。KKRはもちろんのこと、その響きからも、ノウハウを共有していることが明白に分かる団員たちによる同声3部のカノンは、音質がとてもフラットになり、まるでひとつの合唱団のように揃った音を鳴らしてくれていました。特に千原先生の曲ということもあり、和音として鳴るところはとても贅沢に倍音を含み、まさに、オープニングにふさわしい爽やかな演奏でした。
弱点としては、カノン部がごく一部ズレかかったところ(これだけ続くと敏感になってしまいますね)、なるとどうしても音量が小さくなること。小さくまとめようと思ったら、その以前の tutti の音量を落とせば解決しないこともないのですが、それだと少々音楽的につまらない曲。そうすると、結局カノンの部分の音が大きいと音楽的にも映えるということになります。なかなかそのバランスは難しいところ。とはいえ、小さなことですけどね。千原先生が客席にいるというプレッシャーの中(伊東先生がそのことで公開レッスン中しれっと脅していた笑)、十分応えた演奏だったのではないでしょうか。

第1ステージ
武庫川女子大学附属高等学校コーラス部
信長貴富・女声合唱とピアノのための『百年後』―タゴールの三つの詩―より
「光よ」
「百年後」
指揮:岡本尚子
ピアノ:多田秀子

演奏会を聴きに行って散々感動を書き散らしたあの団にこんなに速く再会出来るなんて!笑 以前は海外公演でびっくりしていたら、なんとこの団、2年に1回「も」海外公演をしているらしく、ついこの間もライプツィヒに演奏旅行に行ったそう。なんてこった。
しかし、何度聞いても美しい演奏でした。すごくしっかりとした発声をする団、以前の学内の響かないホールで聞いた時も明瞭なサウンドを鳴らしていた団が、いずみホールというよく響くホールで演奏すると、本当に凄い。鳴るってこういうことだ、響きがホール全体を包み込む! 以前、なにコラをいずみホールで聞いた時の印象と近いかもしれません。
ちょうど学年変わり目の時期で大変な頃だとは思いますが、この曲をかつて演奏したのは中高合同演奏。なんとなーく、新高校1年生も混じっていたかな?という感じがしました。3年生が抜けてからの新生・高校コーラス部。変わりのないその不朽の響き高いサウンドに、やっぱり思わず笑うしかない。ごくわずかな音の入りの狂いが少々聞こえてきたことには聞こえてきたのですが、それは、これからの課題というに相応しいでしょう。再演とはいえ、複雑で圧倒的な音感の求められるこの曲をしっかりと決めて歌えるということ、そのことがなによりこの段階での財産です。しっかりと聴かせつつ、今年のシーズンも期待して待っていられるな、そんな演奏。しかしこの2曲、本当にいい曲ですね――。あ、楽譜販売しはじめるそうです笑

第2ステージ
Choeur Chêne
F. Mendelssohn Barthody・3つの詩篇 op.78 より第2曲「Richte mich Gott」
木村弓(arr. 若林千春)「世界の約束*」(谷川俊太郎)
Ola Gjeilo「Evening Prayer**」(St. Augustine)
指揮:上西一郎
ピアノ:浦史子*,**
サックス:辻本純佳**

すっごい個人的な話ですが、「Premire Vol.1」で松波千映子『箱船の教室』を演奏しているCDの音を聞いて以来、ずっと、この団の演奏を聞かなければと思い続けてきました。記憶の限りでは、ようやく念願叶ったといったところ。なぜかずっと聴けずにいたんですよねぇ……。
まったく毛色の違う3曲を演奏。ドイツ語の男女交歓するサウンドに始まり、穏やかに始まった「世界の約束」は途中からジャズエディション、そして、タイトルの如く夕べから夜のバーに合いそうなジャジーサウンドまで。まさに、シェンヌがどこまで出来るのかというのを如何なく魅せつけてくれました。まず何よりプログラムの流れが、まるでひとつのコンサートをみているかのような、充実の内容でした。特にヤイロの曲は、本当に場の空気が一気に変わったかのような錯覚にとらわれました。まるで、近場のオシャレなバーにいたかのような。もう、まるでコンサートホールではありませんでした。いい意味で。
そして、演奏は、予想通りの予想以上! ベースはテナーの、テナーはアルトの、アルトはソプラノの響きを持ち、ソプラノはそのすべてのパートの響きを聴いてひとつに纏める。こんなにも各パートの響きが融け合って一つの楽器として鳴らせる合唱団を聴いたことがありません。思えば、『箱船の教室』でも、一番感動したのは、内声がユニゾンを歌うところでした。メンバーが大幅に入れ替わったと伺っていますが、それでも、実力はそのままなのですねぇ……実際、今でもコンクールで抜群の実力を発揮されておられる。今日も、メンデルスゾーンのドイツ語の飛ばし方や途中ピアノに音量を落とすところなど、自然に音量が小さくなるんだけど、一切推進力を失わず、それどころか、それ以前よりも力をまして、しかし音は確かに小さくなっている。そして、「世界の約束」の、旋法からピチカート風のアンサンブルへと遷移した時の音の出し方の切り替え、そして、音量の大きいサックスとの、主旋律・副旋律の交換における立ち位置の妙など、まさに、思った音をそのまま鳴らしているかのような美しいアンサンブル。まず鳴らしたい音が先にあって、そのためにはこういう楽器を使うといいよな、というのが自然のうちに選択できている。人数規模といい、音色こそ違えど、そこに東混の姿すらダブる。まさに、プロ顔負けの実力。

あまりにもすごすぎて(?)ここの曲紹介の間でトイレ行きました←
いやぁ、次のプログラムは、集中して聞かないと、ね?笑

第3ステージ
アンサンブルアカデミー京都
千原英喜・混声合唱のための『京都人の夜景色』(村山槐多)〈初演〉
〈其の一〉
〈其の二〉
〈其の三〉
〈其の四〉
指揮:桑山博

千原先生の初演ですもの笑 京都の夜、さりげなくそこにある景色を、和声の美しさが表現する。詩の複雑な情景を、時に輝き、時に妖しく、時に反射し、時に自己へ還っていく繊細な、はんなりとした音の響きが描き込みます。確かに詩がしっかりとある歌もので、時折京ことばで語りも入るのですが、音楽をして、京都の世界観を見事に描き切った佳作。世の中には「小京都」と呼ばれる京都と似た地域がいくつもあるそう。せっかくだから、全国の「小京都」合唱団を集めて再演、とかいかがですかね?笑
合唱団は、昔のコンクールで一世を風靡した団体。再結成から10年ほどの月日が流れているとのことです。演奏は、しっかりと個人が声を響かせる、昔ながらのベル・カントなスタイル。しかし、だからといって音が散らかること無く、四声が束になって堅実で骨太なアンサンブルを聞かせてくれます。ちょうどシェンヌの音作りと対局的に、ベースに重きが置かれ、文字通り力強い土台を作ってくれています。しかし、その上に乗っかるアンサンブルが、京都よろしく、とても繊細で華やか。歌の旋律がしっかり伸びながら、和声もちゃんと構築する。いつかは誰もが目指した音楽です(ですよね?笑)。新しい曲ながら、どこか安心感すら持ちながら聞いていられたのは、ひとえに、その響きのなせるところなのかもしれません。

インタミ10分。このインタミへ向けて我慢することが出来たなら……苦笑 しかし、裏方に「あの方」がいらっしゃる演奏会は、やはりインタミが短いのです。あるいは、実行委員長かどなたかがインタミ嫌いなのかしら。15分はあってもいい。
このインタミで、ついにあの方とご挨拶することができました。僕とのエピソードはともかく、めっせについてはおそらくしばらくしたらブログに書かれるかと思いますので、そちらにもやはり期待ですね!笑

第4ステージ
ヴォーカルアンサンブル《EST》
Francis Poulenc『ト長調ミサ』より「Gloria(栄光の賛歌)」
Pietro Ferrario「Jubilate Deo(神に歓喜せよ)」
Arnold Schönberg「Friede auf Erden(地上の平和)」(Conrad Ferdinand Meyer)
指揮:向井正雄

向井先生の懇切丁寧な(これがまた本当に)解説とともに。1曲目と2曲目の間には、「プーランクは第一次大戦前のフランスで作られた宗教曲、フェッラリオは若い世代のイギリスの曲。是非聴き比べてください」と。
プーランク、何気なく注文したこの曲の楽譜は家に置いてあるのですが、こんなに難しい曲だったんですね……笑 縦横無尽に音が飛び移りまくる複雑なメロディと和声を、うまく一つにまとめ切れていました。そして、2曲目は勢いも十分に、しっかり縦を刻む音が鳴っている。全体として、人数こそ減ったのですが(セレクションかも?)、ボリューム、音の刺さり方については以前以上の実力を兼ね備えていたように思います。そして、込み入った和声から解決に持っていく時の、各パートの音量バランスをまとめるうまさという、クレバーなアンサンブルも健在。そうすると、ESTの一番の課題は、言語の発音ということになってくるのかもしれません。そこは少々気になるところ。しかし、ボリュームも今日コレまでで言えば武庫女に匹敵する強さですし(実際武庫女はそれくらいに音量が豊か)、聞いていてスカッとするアンサンブルでした。
シェーンベルクのこの曲には、4つの部分があると解説。およそ聖書にしたがって、地上に平和が訪れるさまを描いたものだとのこと(かなり意訳しましたし、間違いでしたらご教示ください)。それぞれの部分に入ったところで指で番号示しますから! という粋な計らいもありました。ちょっと笑っちゃうようなことですけれども、でも、マジメな話、オペラの字幕みたいでいいかもしれませんね。パッケージすれば、新しい音楽の聞き方になりそう。ところで向井先生、スミマセン、4番を示されるところを華麗に見落としてしまいました……実は4番だけ忘れておられる?まさか笑
他に対してこの曲については、音が最後の当たりでバラけてしまったような気がします。また、「Fride auf Erden」と歌うところと他の場所の間に持つ「落差」を、もう少し明瞭に示せると、アンサンブルとしてよかったのかもしれないな、と思いました。後者は譜面見てみないと詳しいことはわからないですけれどもね。――しかし、先入観でしょうか、でもやはり、この曲には魔物が潜んでいる、気がする。

当方はここで中座。バスの時間が迫ってましたからね。たぶん、実際はよどこんも聴くことが出来たかな……? まぁ、それは結果論、ということで。
後ろ髪引かれながら、大阪駅で空きっ腹をシードルで満たして、回ってるなぁと肌身感じながら大阪を後にしたのでした。
ひとまず、プログラムだけこちらに書いておきますね。

第5ステージ
淀川混声合唱団
松下耕・無伴奏混声合唱のための『うたおり』(みなづきみのり)より
「星」
「薔薇」
「崖」
「戦場」
「夕餉」
指揮:伊東恵司

第6ステージ
パナソニック合唱団
Eriks Esenvalds「Stars」(Sara Teasdale)
arr. E.Esenvalds「Amazing Grace」(John Newton)
三善晃・混声合唱のための『地球へのバラード』(谷川俊太郎)より
「地球へのピクニック」
指揮:本城正博

・まとめ
実は、それとなーく、このイベントを避けていた向きがある。ホントに、とくに理由もないんですけれどね。でも、ちょっとだけ後悔しました。いやぁ、とても楽しい! これ。自分なぞ1日いただけだけれども、なんだか普通の合唱祭よりも、歌って、聴いて、学んで、という三拍子の密度が濃いような。この2日間合わせたら、合唱の酸いも甘いも全部(?)楽しめるんじゃないかなって思える感じです。合唱にはいろんな楽しみ方がある。いろんな音がある。そのどれもを感じ、そして体験することで、また自分の中に新たな気付きが生まれて、新たな音、新たな世界と出会うことが出来る。そんな、合唱のお祭り。来年も参加したいな、って思える、そんなイベントだったのでした。目的の半分くらいはバスチケット消化だったけれども、とても楽しかった!笑

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